バケット運用(バケツ戦略)
専門用語解説
バケット運用(バケツ戦略)
バケット運用とは、資産を「使う時期」や「目的」に応じて複数のグループ(バケット=バケツ)に分け、それぞれに適した運用方法をとる考え方です。資産全体を一括で運用するのではなく、「短期・中期・長期」といった時間軸に応じて資金を分けることで、リスクを分散しながら安定的な資産形成を目指します。
たとえば、1〜3年以内に使う予定の生活費や予備資金は、元本割れリスクの低い普通預金や定期預金、短期国債などの安全資産に置きます。一方、5〜10年後に使う予定の教育資金や住宅購入資金は、バランス型ファンドやインデックスファンドなど中リスク・中リターンの運用商品を中心に構成します。そして、15年以上先の老後資金など長期目的のバケットでは、株式や海外ETFなどの高リスク・高リターン資産を活用し、長期的な成長を狙います。
このように期間ごとに資産を分けることで、相場の変動による短期的な下落が生活資金に影響することを防ぎつつ、長期の資産形成も継続できます。また、運用成果を確認しながら各バケット間の配分を見直すことで、リスクを調整しやすくなる点も特徴です。
なお、「コア・サテライト戦略」と混同されやすいですが、両者は考え方の軸が異なります。コア・サテライト戦略は、資産全体を「安定運用のコア部分」と「高リターンを狙うサテライト部分」に分け、資産クラスや商品特性の違いでリスクをコントロールする発想です。一方で、バケット運用は「時間軸」や「資金の使途」を基準に分ける方法であり、同じ株式や債券であっても、使う時期が異なれば別のバケットに配置します。
つまり、コア・サテライトは資産の「性質」による分散、バケット運用は資金の「目的と期間」による分離という違いがあります。両者は併用も可能で、たとえば長期バケットの中でコア・サテライト戦略を採用することで、より戦略的なポートフォリオ運用を行うこともできます。