損金算入限度額
専門用語解説
損金算入限度額
損金算入限度額とは、法人税制度において、支出のうち税務上「損金」として計上できる金額の上限を示す概念です。
この用語は、法人の決算や税務申告を行う過程で、会計上の費用と税務上の損金を区別する文脈で登場します。特定の支出について、全額を費用として計上していても、税務上は一定額までしか損金として認められない場合があり、その境界を示す考え方として用いられます。役員報酬、交際費、保険料など、制度上の制約が設けられやすい分野で前提語として参照されることが多い用語です。
誤解されやすい点として、損金算入限度額が「支出できる金額の上限」や「会社が使ってよい金額」を意味すると捉えられることがあります。しかし、この限度額は支出そのものを制限する概念ではなく、あくまで税務計算上、どこまでを損金として扱えるかを定めるものです。限度額を超えて支出すること自体は可能ですが、その超過部分は課税所得の計算上、損金として認められないため、税負担に影響が生じます。この違いを理解せずに制度を捉えると、「経費にしたのに税金が減らない」という認識のずれにつながりやすくなります。
また、損金算入限度額が会計基準と同一だと考えられることもありますが、会計上の費用認識と税務上の損金算入は必ずしも一致しません。会計は企業の実態を表すことを目的とする一方、税務は課税の公平性や政策目的を反映してルールが設けられています。そのため、会計上は費用でも、税務上は一部が否認されるという構造が生じます。
損金算入限度額は、支出の妥当性を判断するための概念ではなく、課税所得を算定するための制度上の調整点です。この用語を理解する際には、「費用」と「損金」の違いを前提に、税務上どの範囲までが認められるのかを整理するための基準概念として捉えることが、判断を誤らないための出発点になります。