FOB価格
専門用語解説
FOB価格
FOB価格とは、国際取引において、売主が貨物を指定された積出港で船に積み込むまでの費用と責任を含めた取引価格を指します。
この用語は、貿易取引や輸出入に関する契約条件、価格比較、統計の文脈で使われます。FOBは「Free On Board」の略で、どの時点までを売主の負担とし、どこからを買主の負担とするかという取引上の境界を明確にするための考え方です。FOB価格には、商品の製造原価や内陸輸送費、積出港での船積みまでに要する費用が含まれますが、海上運賃や保険料といった船積み後の費用は含まれません。
FOB価格についてよく見られる誤解は、「輸出時の最終的な販売価格」や「実際に支払う総額」を意味するという理解です。しかし、FOB価格はあくまで取引条件の一部を切り出した価格概念であり、買主が最終的に負担する総コストとは一致しません。輸送費や保険料、輸入時の諸費用を含めた金額を把握しないままFOB価格だけで判断すると、実態よりも割安・割高に見えてしまうことがあります。
また、FOB価格は単なる価格の呼び名ではなく、リスク移転のタイミングを示す概念でもあります。貨物が船に積み込まれた時点で、事故や損傷といったリスクの所在が売主から買主へ移るという前提が、この条件には組み込まれています。この点を理解せずに価格だけを見てしまうと、トラブル発生時の責任の所在を誤解しやすくなります。
経済ニュースや統計資料では、輸出額がFOBベースで表示されることがあります。これは、各国の輸出入を共通の基準で比較しやすくするための整理方法です。この場合も、FOB価格が実際の商取引の全体像を表しているわけではなく、一定の条件下で切り取られた数値である点を意識する必要があります。
FOB価格という用語は、「どこまでが売主の責任で、どこからが買主の責任か」を価格として可視化するための概念です。単なる価格水準としてではなく、費用とリスクの境界を示す指標として捉えることで、国際取引や経済指標をより正確に理解することにつながります。