専門用語解説
地方債(地方公共団体債)
地方債(地方公共団体債)は、都道府県や市区町村などの地方公共団体が学校・病院・上下水道・道路といった公共インフラの整備や災害復旧費を賄うために発行する債券です。国債と同じく利息付きで元本償還が行われますが、発行主体が国ではなく各自治体である点が大きな違いです。発行後は公募債(市場公募地方債)として証券取引所や店頭市場で流通するケースと、金融機関向けの私募債として発行されるケースがあります。
信用リスクは自治体の財政健全性に左右されるものの、地方税や地方交付税による安定した収入がバックにあるため、国内債券のなかでも比較的信用力が高く、格付けもAA 〜 A 近辺が多いのが一般的です。利回りは国債よりやや上乗せされる水準で推移することが多く、長期・安定運用を重視する個人投資家のポートフォリオ分散先として検討価値があります。
利子は原則として20.315%(所得税・復興特別所得税 15.315%+住民税5%)の源泉分離課税ですが、個人向け復興支援地方債や特定の地域創生債など、発行目的や購入者要件を満たした場合に利子が非課税となる制度が設けられることがあります。非課税枠の有無や適用条件は発行要項で必ず確認する必要があります。
社会貢献の側面も魅力で、投資資金が地域インフラの整備に充てられるため、地元や応援したい自治体を選んで購入する「ふるさと投資」としての意義も高い商品です。満期まで保有すれば元本は額面どおりに償還されるため、値動きリスクよりも安定した利息収入と社会的リターンを重視する投資家に適した選択肢と言えます。