専門用語解説
事業会社
事業会社は、自社で製品やサービスを生み出し、それを市場に提供して収益を上げる会社です。自動車を作るメーカー、ソフトウェアを開発するIT企業、店舗を運営する小売や飲食チェーンなど、現場で直接ビジネスを営むのが特徴です。
これに対し、ホールディングス(持株会社)は自ら市場で活動するのではなく、他の会社の株式を保有して経営を統括・管理します。グループ全体の戦略や資本配分を担う点で、現場で収益を稼ぐ事業会社とは役割が大きく異なります。
さらに、金融機関やコンサルティング会社も事業会社とは別の存在です。金融機関(銀行・証券・保険など)は、モノやサービスを自ら生産するのではなく、他者の資金を仲介・運用して利ざやや手数料を得ます。銀行は金利差、証券会社は売買や引受の手数料、保険会社は保険料と運用収益を源泉とするように、資金循環の仕組みを提供することで社会に機能を果たしています。
コンサルティング会社も、自社で事業を営むのではなく、他社の経営課題に対して知識やノウハウを提供し、助言や支援によって報酬を得ます。資産や工場を持つのではなく、人材力や知見こそが主な商品であり、労働集約的な色彩が強いのが特徴です。
このように、事業会社が「市場で直接稼ぐ会社」であるのに対し、ホールディングスは「会社を束ねる会社」、金融機関は「資金の流れを作る会社」、コンサルは「知見を提供する会社」と整理できます。投資家にとっては、それぞれの収益モデルやリスクの性質を理解することが、企業価値を見極める前提となります。