専門用語解説
特定投資家(プロ投資家)
特定投資家(プロ投資家)とは、金融商品取引法において一般の投資家とは区別され、金融に関する高度な知識や経験、資産規模などを有すると認められた投資家のことを指します。英語では「Professional Investor」とも呼ばれ、金融機関や上場企業、大企業などの法人に加え、一定の条件を満たした個人も対象となります。
この制度は、投資家のリテラシーやリスク許容度に応じて保護の程度を調整することを目的としており、特定投資家に対しては目論見書の交付義務や適合性原則、広告規制など一部の投資家保護規制が緩和されます。たとえば、未公開ファンドや高リスク商品など、一般投資家には提供が難しい商品へのアクセスが可能になる一方で、リスクは自己責任で負うことが前提となります。
特定投資家には、金融庁が定める「適格機関投資家」や、資本金5億円以上の法人、上場会社、有価証券報告書の提出義務がある企業などが自動的に該当します。個人の場合は、1億円以上の金融資産と1年以上の投資経験などの要件を満たしたうえで、金融機関との合意により「特定投資家としての取り扱い」を申し出る必要があります。
このように特定投資家制度は、高度な投資判断が可能な層に対して、より自由度の高い金融取引の場を提供する制度として設計されています。ヘッジファンドや私募ファンドなど、高度な資産運用手法を活用する場面で広く利用されており、実務上も重要な概念です。