ウォッチ(Rating Watch)
専門用語解説
ウォッチ(Rating Watch)
ウォッチ(Rating Watch)とは、信用格付けが近い将来に変更される可能性が高いとして、格付け機関が発行体や特定の債務を一時的に注視対象とする状態を指します。格付けそのものは現時点では維持されていますが、重要な事象が発生、または発生する見込みがあるため、通常より短い時間軸で再評価が行われる可能性があることを示しています。
ウォッチは、信用力に影響を与える不確実性が高まっている局面で付与されます。具体的には、大型のM&Aや事業再編、資本政策の変更、規制や訴訟リスク、資金調達計画の進捗状況など、企業の財務や事業環境に大きな変化をもたらしうるイベントが背景となるケースが一般的です。格付け機関は、これらの事象の結果を見極めたうえで、格付けを据え置くか、変更するかを判断します。
表記は格付け機関によって若干異なりますが、考え方は共通しています。フィッチおよびS&Pでは「Rating Watch」という用語が使われ、ムーディーズでは「Rating Under Review」と表現されます。また、多くの場合、想定される方向性として「ネガティブ」「ポジティブ」「デベロッピング(方向未定)」といった区分が併記されます。
投資実務においてウォッチは、「格付けが安定した状態ではない」ことを示す公式なサインとして扱われます。アウトルックよりも切迫度が高く、通常は数週間から数か月程度の比較的短期間で結論が示される点が特徴です。そのため、債券価格や市場での評価が変動しやすく、流動性にも影響が及ぶことがあります。
個人投資家にとって重要なのは、ウォッチは単なる注意喚起ではなく、格付け機関が「判断を保留しつつ精査している段階」であると理解することです。ウォッチに入った理由や、方向性の表示が何を意味しているのかを確認することで、その後の格付け変更リスクをより具体的に把握することができます。