専門用語解説
監理銘柄
監理銘柄とは、証券取引所が上場企業に対して「このままでは上場廃止になる可能性がある」と判断した場合に、その株式に対して一時的に指定する銘柄区分です。この指定は、企業に何らかの重大な問題が発生しており、投資家に注意を促す必要があると判断されたときに行われます。たとえば、有価証券報告書の未提出や提出遅延、債務超過、継続企業の前提に疑義がある場合、不正会計や粉飾決算が明らかになったとき、株主数や流通株式比率などの上場維持基準を満たしていないとき、あるいは会社更生や民事再生手続きの申立てがなされたときなどが代表的な理由です。
監理銘柄に指定されると、企業の株式は投資家から強い警戒対象となり、株価が大きく下落したり、売買が急激に減少することがあります。ただし、この段階ではまだ上場廃止が確定しているわけではなく、企業には一定の猶予期間が与えられ、必要な改善策を講じたり、取引所に対して説明責任を果たすことで、監理指定が解除される可能性もあります。
東京証券取引所では、監理銘柄には2つの区分があり、まず「監理銘柄(確認中)」として事実関係の調査が行われ、その後「監理銘柄(審査中)」に移行して上場廃止に該当するかどうかの判断が進められます。そして、改善がなされない、または基準を満たさないと判断された場合には、「整理銘柄」として指定され、原則としておよそ1か月間の最終取引期間を経て上場廃止となります。
監理銘柄に指定されると、株価の急落に加えて流動性が低下し、売買が難しくなるほか、信用取引の規制や証券会社による担保評価の引き下げなども発生することがあります。そのため、監理銘柄は投資家にとって非常にリスクの高い状態を示すものであり、指定された企業の情報開示や再建姿勢を注意深く見極める必要があります。監理銘柄は単なる警告ではなく、上場廃止の一歩手前という重大なシグナルであることを理解し、慎重な対応が求められます。