専門用語解説
トランシェ(tranche)
トランシェ(tranche)とは、資産担保証券(ABS)などの証券化商品を発行する際に、リスクやリターンの異なる「層」や「区分」に分けた単位のことをいいます。フランス語で「部分」や「切片」を意味し、投資家が自分のリスク許容度に応じて選べるように、同じ証券でも優先的に利払いを受けられる「上位トランシェ」や、その分リスクは高いけれど利回りも高い「劣後トランシェ」などに分けられます。
たとえば、企業が発行するABSでは、返済が滞った場合に最も早く損失を被るのは劣後トランシェの投資家であり、逆に最も安全なのはシニアトランシェ(上位層)です。このようにトランシェは、同じ証券の中で異なるリスク水準を設計することで、幅広い投資家に対応できる柔軟な仕組みを提供しています。初心者にとってはやや専門的な概念ですが、証券化商品のリスク構造を理解するうえで欠かせないキーワードです。