賃金
専門用語解説
賃金
賃金とは、労働者が労働の対価として使用者から受け取る金銭その他の給付を指す労働制度上の基礎概念です。
この用語は、雇用契約の内容確認、給与計算、社会保険や労働保険の手続き、税務処理など、働くことに関わるほぼすべての制度の起点として登場します。月給や時給といった日常的な表現の背後で、「何が賃金に含まれるのか」「どの範囲が制度上の賃金として扱われるのか」を整理するために用いられます。
賃金が問題になる典型的な場面は、手当や報奨金、現物給付などが支払われたときに、それが賃金に該当するかどうかを判断する局面です。賃金に該当するか否かによって、最低賃金の判定、残業代の算定、社会保険料や税金の扱いが変わるため、単なる「収入」と同義で捉えると判断を誤りやすくなります。
誤解されやすい点として、賃金は基本給だけを指すという思い込みがあります。実務上は、名称にかかわらず、労働の対価として支払われるものは賃金に含まれると整理されることがあります。この理解が不十分だと、「これは手当だから別」「一時金だから関係ない」といった誤った前提で制度を考えてしまうことになります。
一方で、すべての金銭の受け取りが賃金になるわけではありません。労働との対価性が認められるかどうかが判断の軸となり、実費精算や福利厚生的な給付などは、別の整理がされることもあります。この境界を意識せずに賃金という言葉を使うと、制度上の位置づけが曖昧になります。
賃金という用語を正しく捉えることは、労働に関する制度を個別のルールの集合ではなく、一本の基準で整理するための基礎になります。いくら受け取ったかではなく、「それが制度上どのような性質を持つか」を見極める視点として、この用語は中心的な役割を果たします。