不動産以外の安定収入手段として、投資信託はどう活用できますか?
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2025/04/25 16:37
男性
60代
これまで主に不動産収入で事業をしてきましたが、今後はもう少し収入源を分散したいと考えています。投資信託はその補完になり得るのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
投資信託で不動産収入を補完するには、まず不動産と値動きの連動性が低い国内外債券や高配当株、インフラ関連資産を組み合わせた分配型ファンドを活用し、定期的なキャッシュフローを確保します。
同時に部分解約による換金のしやすさを意識することで、突発的な資金需要にも対応しやすくなります。分配金は市況に応じて増減し、元本払戻し(特別分配)が混在すると実質利回りが下がるため、分配原資の内訳と分配方針の持続性を事前に確認することが欠かせません。
税制面では総合課税と申告分離課税の選択によって手取り額が変わり、信託報酬などの運用コストも長期の成果を圧迫する要因となるので、税コストと運用コストの両方を総合的に評価してください。
さらに家賃収入と投資信託の分配金が入金される時期を意図的にずらすと、月内のキャッシュフローを平準化できるため、設備投資や金利上昇など環境変化への耐性が高いポートフォリオが実現します。
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債券
債券(サイケン、英語表記:Bond)とは、発行者が投資家に対して将来一定の金額を支払うことを約束する金融商品です。 国や地方自治体、企業などが資金を調達する目的で発行し、投資家はこれを購入することで、定期的に利息(クーポン)を受け取ります。満期が来ると、投資した本金が返済されます。 債券はリスクが比較的低く、安定した収入を求める投資家に選ばれることが多いです。 また、市場で自由に売買が可能であるため、流動性も確保されています。債券市場は世界的にも広がりを見せており、多様な投資戦略に利用されています。
ファンド
ファンドとは、多くの投資家から集めたお金をひとつにまとめて、専門の運用会社が株式や債券、不動産などに投資・運用する金融商品のことです。 投資家は自分で個別の銘柄を選ばなくても、ファンドを通じて分散された投資ができるため、リスクを抑えながら運用が可能になります。ファンドには、投資信託、ETF(上場投資信託)、ヘッジファンドなどさまざまな種類があり、それぞれ運用方針や対象資産が異なります。初心者にとっては、少額から始められ、プロによる運用が受けられる点が大きなメリットです。ただし、運用成績によって元本割れのリスクもあるため、目的やリスク許容度に応じて選ぶことが大切です。
キャッシュフロー
お金の流れを表す言葉で、一定期間における「お金の収入」と「支出」を指します。投資や経済活動では特に重要な概念で、現金がどれだけ増えたか、または減ったかを把握するために使われます。キャッシュフローは大きく3つに分かれます。 1つ目は本業による収益や費用を示す「営業キャッシュフロー」、2つ目は資産の購入や売却に関連する「投資キャッシュフロー」、3つ目は借入金や配当などの「財務キャッシュフロー」です。 キャッシュフローがプラスであれば手元にお金が増えている状態、マイナスであれば減っている状態を示します。これを理解することで、資産の健全性や投資先の実態を見極めることができ、初心者でも資金管理や投資判断の基礎として役立てられます。
総合課税
総合課税は、給与や年金、事業収入、不動産収入、利子、配当など、1年間に得たさまざまな所得を合算し、その合計額に累進税率を適用して所得税を計算する方式です。 所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得者ほど税負担が大きくなる点が特徴です。一方、金融所得には総合課税以外の課税方法を選択できる場合があります。 たとえば、株式譲渡益や先物取引益などは「申告分離課税」を選ぶことで、ほかの所得と区分して一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で申告できます。 また、預貯金利息や一部の公社債利子などは、支払元が税金を源泉徴収する「源泉分離課税」となり、原則として確定申告は不要です。配当や利子のように課税方式を選択できるケースでは、ご自身の所得水準や控除の有無、損益通算の可能性を踏まえ、総合課税・申告分離課税・源泉分離課税のどれを採用するかを検討することが、最終的な税負担を抑えるうえで重要になります。
申告分離課税
申告分離課税とは、特定の所得について他の所得と分離して税額を計算し、確定申告を通じて納税する方式です。 主な対象となる所得は以下の通りです: - 譲渡所得: 土地や建物、株式などの譲渡による所得。 - 山林所得: 山林の伐採や譲渡による所得。 - 先物取引による所得: FXや商品先物取引による所得。 例えば、株式の譲渡所得については、他の所得と合算せずに分離して課税されます。また、上場株式等の配当所得についても、申告分離課税を選択することができます。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。