ESG投資はリターンにどのような影響を与えますか?
ESG投資はリターンにどのような影響を与えますか?
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2025/01/18 14:42
男性
60代
ESG投資を検討しています。良い取り組みのように思うのですが、いまいち企業の業績が上がるイメージがつきません。<br>ESG投資を選ぶことで、パフォーマンスやリスクにどのような影響があるのか教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ESG投資とは、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の質を財務情報と併せて分析し、企業の長期的な価値創造能力を測る手法です。NYU Stern Centerのメタ分析(1,000本超の研究を集計)では、ESGと企業業績・株価の関係は「プラス55%・中立33%・マイナス12%」とされ、少なくともリターンを損なわないどころか、調整後リターンを向上させる可能性が示されています。みずほ第一フィナンシャルテクノロジー社の国内検証でも、ESGスコア上位銘柄で組んだポートフォリオはTOPIXに対し年率1〜2%の超過収益を確保しつつ、下落相場の最大ドローダウンを約10%抑制しました。
プラス効果の主因は、①規制順守コストや事故・訴訟リスクの低減、②資本効率と資金調達コストの改善、③ブランド価値向上による価格支配力――といった経済的メリットが複合的に作用するためです。もっとも、ESGレーティングは評価機関ごとに定義・重み付けが異なり、同一企業でも“高評価”と“低評価”が混在することがある点は注意が必要です。また、炭素集約型セクターを除外し過ぎると、エネルギー急騰局面で相対劣後するリスクも否定できません。
そこでファンド選定では、(1)評価手法の透明性(データソース・マテリアリティ基準)、(2)セクター・地域分散、(3)エンゲージメントや議決権行使の実効性――を確認しましょう。ESGは短期のテーマ投資ではなく、企業の構造的なリスク低減と持続的リターンを狙う“長期戦略”として位置付けることが、期待効果を引き出すカギになります。
関連する専門用語
ESG投資
ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を考慮して行う投資のことです。従来、企業の投資価値は主にキャッシュフローや利益率などの財務情報を基に判断されてきましたが、近年は、環境負荷の低減、社会的責任の遂行、健全な経営体制といった非財務情報も投資判断の重要な指標となっています。 ESGの概念は、2006年に国連が機関投資家向けに「責任投資原則(PRI)」を提唱したことをきっかけに広まりました。ESG要素を投資プロセスに組み込むことで、長期的なリスクを抑えながら持続可能なリターンの向上が期待されます。特に、ESGに積極的に取り組む企業は、規制対応力やブランド価値の向上につながるため、将来的な成長性や安定性の面で投資家の関心を集めています。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
TOPIX(東証株価指数)
TOPIX(東証株価指数)とは、東京証券取引所プライム市場に上場する企業を対象として構成され、日本株式市場の値動きを示す株価指数を指します。 この用語が登場するのは、日本株式への投資を検討する場面や、投資信託やETFの運用指標を確認する文脈です。とくに、個別企業ではなく、日本株式市場全体の動向を把握したい場合に参照されます。 TOPIXについて誤解されやすいのは、「日本経済そのものを正確に映す指数」「すべての上場企業の平均的な動きを示す指数」と捉えられてしまう点です。実際には、TOPIXは時価総額加重型の指数であり、企業規模の大きい銘柄の影響を受けやすい構造になっています。そのため、中小型株の動きや特定業種の変化が指数に十分反映されないことがあります。 また、TOPIXは日経平均株価と同様に日本市場を代表する指数として扱われることが多いものの、算出方法や構成銘柄の考え方は異なります。指数名の知名度だけで性質を同一視すると、投資対象としての特徴を見誤りやすくなります。 たとえば、日本の株式市場全体が活況であっても、TOPIXの構成比が高い一部の大型株が不調な場合、指数全体の上昇が限定的になることがあります。これは指数設計上、時価総額の大きな企業の影響が強く反映されるためです。 TOPIXという言葉を見たときは、その指数がどの市場区分・算出方法を前提としているのかを確認し、日本株投資におけるベンチマークとして自分の目的に合っているかを整理することが重要です。
ドローダウン(最大許容下落率)
ドローダウン(最大許容下落率)とは、投資家が精神的・資金的に「これ以上下がると耐えられない」と感じる資産価格の下落幅(%)の上限のことを指します。たとえば、「30%までの損失なら我慢できるが、それ以上は無理」と考える場合、その人の最大許容下落率は30%です。 これは実際の相場変動とは別に、投資家自身があらかじめ設定するリスク許容度であり、長期運用の設計やポートフォリオ構築時に非常に重要な指標です。最大許容下落率を超えるような損失が出ると、冷静な判断ができず、パニック売りなど非合理な行動につながる可能性が高まります。 そのため、自分の最大許容下落率を正しく把握しておくことで、リスクとリターンのバランスが取れた資産運用を実現しやすくなります。金融アドバイザーとの面談やリスク診断でも、この考え方が活用されます。
セクター
セクターとは、経済活動の範疇や分野を指す用語で、同様の商品やサービスを提供する企業群を分類したものです。各セクターは、特定の市場ニーズや消費者グループに対応するための業界や市場を形成しています。一般的に、セクターは金融、ヘルスケア、テクノロジー、エネルギー、消費財、公益事業など、広範な範囲にわたります。これらのセクターは経済の異なる側面を代表し、それぞれが経済全体の動向や健康に影響を与えます。 セクターの分析は、投資家が市場のトレンドを理解し、潜在的な投資機会を特定する際に重要です。例えば、テクノロジーセクターは革新的な企業や高成長が見込まれる市場を含むため、リスクをとる意欲のある投資家に適しているかもしれません。一方、公益事業や消費必需品セクターは安定した収益が期待され、安全志向の投資家に適しています。 さらに、セクターの動向は経済状況の変化に敏感であり、政策変更や技術進歩、消費者の嗜好の変化などが直接的な影響を及ぼすことがあります。これらの理由から、投資戦略を立てる際には、個々のセクターが直面している特定のリスクや機会を理解し、適切に対応することが重要です。
