投資信託は元本保証されますか?
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2025/04/10 12:51
男性
40代
投資信託に興味はあるのですが、元本が保証されないという話を耳にして少し不安を感じています。預貯金とは異なるリスクがあるということですが、どのようなリスクがあるのか、具体的にご説明いただけますでしょうか。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
投資信託には、預貯金のような元本保証はありません。これは、投資信託が株式や債券、不動産など、価格が変動する資産に投資する金融商品であるためです。市場の動向によっては、購入時より基準価額が下がり、元本割れとなる可能性もあります。
主なリスクには、次のようなものがあります。
- 価格変動リスク:株式や債券などの価格が上下することで、基準価額が変動し、損失が生じる可能性があります。
- 為替変動リスク:外国資産に投資している場合、為替レートの変動によって円換算の資産価値が上下します。
- 信用リスク:投資先の企業や国の財務状況が悪化すると、元本や利息が支払われないおそれがあります。
- 金利変動リスク:市場金利が変動することで、特に債券の価格に影響が生じ、基準価額に波及します。
- 地政学リスク:戦争・政変・自然災害など予測できない事象が市場全体に影響を与えるリスクです。
これらのリスクは回避できるものではありませんが、「分散投資」や「長期保有」によって影響を抑えることが可能です。また、投資信託にはリスクの程度や投資対象が異なる多様な商品があり、ご自身の投資目的やリスク許容度に応じて選ぶことが重要です。
リスクを正しく理解し、自分に合った運用スタイルを見極めることで、不安を軽減しながら着実な資産形成につなげることができます。
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為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
信用リスク(クレジットリスク)
信用リスクとは、貸し付けた資金や投資した債券について、契約どおりに元本や利息の支払いを受けられなくなる可能性を指します。具体的には、(1)企業の倒産や国家の債務不履行(いわゆるデフォルト)、(2)利払いや元本返済の遅延、(3)返済条件の不利な変更(債務再編=デット・リストラクチャリング)などが該当します。これらはいずれも投資元本の毀損や収益の減少につながるため、信用リスクの管理は債券投資の基礎として非常に重要です。 この信用リスクを定量的に評価する手段のひとつが、格付会社による信用格付けです。格付は通常、AAA(最上位)からD(デフォルト)までの等級で示され、投資家にとってのリスク水準をわかりやすく表します。たとえば、BBB格付けの5年債であれば、過去の統計に基づく累積デフォルト率はおおよそ1.5%前後とされています(S&Pグローバルのデータより)。ただし、格付はあくまで過去の情報に基づいた「静的な指標」であり、市場環境の急変に即応しにくい側面があります。 そのため、市場ではよりリアルタイムなリスク指標として、同年限の国債利回りとの差であるクレジットスプレッドが重視されます。これは「市場に織り込まれた信用リスク」として機能し、スプレッドが拡大している局面では、投資家がより高いリスクプレミアムを求めていることを意味します。さらに、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保険料率は、債務不履行リスクに加え、流動性やマクロ経済環境を反映した即時性の高い指標として、機関投資家の間で広く活用されています。 こうしたリスクに備えるうえでの基本は、ポートフォリオ全体の分散です。業種や地域、格付けの異なる債券を組み合わせることで、特定の発行体の信用悪化がポートフォリオ全体に与える影響を抑えることができます。なかでも、ハイイールド債や新興国債は高利回りで魅力的に見える一方で、信用力が低いため、景気後退時などには価格が大きく下落するリスクを抱えています。リスクを抑えたい局面では、投資適格債へのシフトやデュレーションの短縮、さらにCDSなどを活用した部分的なヘッジといった対策が有効です。 投資判断においては、「高い利回りは信用リスクの対価である」という原則を常に意識する必要があります。期待されるリターンが、想定される損失(デフォルト確率×損失率)や価格変動リスクに見合っているかどうか。こうした視点で冷静に比較検討を行うことが、長期的に安定した債券運用につながる第一歩となります。
金利変動リスク
金利変動リスクとは、市場金利の上昇・下降に伴い保有資産の価格や収益が変わる可能性を指します。固定金利債券の場合、金利が上がれば新発債の利息が高くなり既存債券の魅力が薄れるため価格は下落し、逆に金利が下がれば既存債券の利息が相対的に高く映るため価格は上昇しやすくなります。価格の振れ幅は「デュレーション」と呼ばれる指標で測定でき、残存期間が長いほど同じ1%の金利変化でも値動きが大きくなる点が特徴です。短期債は影響が小さく、長期債は大きいという感覚を持つとリスク把握が容易になります。 金利を動かす主因は中央銀行の政策金利変更や景気の強弱、インフレ期待であり、これらのニュースを追うことで金利の方向性をある程度予測できます。ただし金利の動向は株式や不動産投資信託(REIT)にも波及し、企業の資金調達コストや配当余力、賃料収入見通しを通じて価格変動をもたらすため、債券以外にも広く目配りが必要です。さらに変動金利債券や変動金利住宅ローンのように、金利上昇局面で利息が増えるものも存在する一方、支払利息が膨らむ負の側面もある点には注意が求められます。 リスクを抑えながらリターンを狙うには複数の打ち手があります。償還時期の異なる債券を階段状に保有して高金利局面で再投資しやすくするラダー戦略、金利上昇期にはデュレーションを短くして価格下落を抑え、低下期には長くして値上がり益を取りにいく期間調整、株式やREIT、金利ヘッジETFなど異なる値動きを示す資産を組み合わせる分散投資、さらにはポートフォリオの一部を変動金利商品に振り替えて上昇メリットを享受する方法が代表的です。金利変動リスクを定量的に測り、運用計画を経済情勢に合わせて定期的に見直すことで、長期投資でも過度な値下がりを抑えつつ安定的な収益を目指せます。
地政学リスク
地政学リスクとは、国家間の対立、戦争、政情不安、貿易摩擦など、政治的な要因によって金融市場や経済に影響を与えるリスクのことを指します。たとえば、中東の紛争や米中関係の悪化、ロシアによるウクライナ侵攻などが該当します。こうしたリスクが高まると、株式市場が不安定になり、安全資産とされる金(ゴールド)や国債に資金が流れる傾向があります。原油価格や為替相場にも影響を及ぼすことがあり、資産運用を行う際には、こうした地政学的な動きにも注意を払うことが重要です。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
リスク許容度
リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。