シングルファミリーオフィス(SFO)とマルチファミリーオフィス(MFO)、どちらを選ぶべき?
シングルファミリーオフィス(SFO)とマルチファミリーオフィス(MFO)、どちらを選ぶべき?
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2025/03/25 20:02
男性
60代
SFOとMFOはどのような点が異なり、それぞれのメリット・デメリットは何でしょうか?どちらを選ぶべきか判断するための基準はありますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
シングルファミリーオフィス(SFO)は、一家専属のプロフェッショナル組織を自前で抱え、投資運用から税務・法務、慈善活動、後継者教育までを完全オーダーメイドで統括します。年間コストは数億円(3〜5億円程度が一般的)に上り、人材の雇用・管理も自社責任となるため、純資産100億円超(うち流動性資産30億円以上が目安)で、機密性や意思決定権を家族だけで握りたい世帯に向きます。
一方、マルチファミリーオフィス(MFO)は複数世帯で専門家チームとインフラを共有し、同水準のサービスを年数千万円規模に圧縮できます。純資産30〜100億円程度でも高度な資産配分、税務・法務サポート、レポーティングを享受できる反面、サービスの一部は標準化され、他家との利害調整が必要になるケースがあります。
判断軸は①維持コストを運用益で賄えるか、②プライバシーやガバナンスをどこまで自前で掌握したいか、③資産・税制・居住地がどれほど複雑か、④慈善活動や次世代教育など非金融目的の比重、の4点です。機密性と独自戦略を最優先し、コスト負担に十分耐えられるならSFO、コスト効率と専門性の両立を図るならMFOが有力。両者の長所を併せ持つ「小規模SFO+外部MFO補完」といったハイブリッドも選択肢となります。
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シングルファミリーオフィス(SFO)
シングルファミリーオフィス(Single Family Office, SFO)とは、特定の一家族のみを対象とした資産管理の枠組みであり、富裕層の家族が自ら設立・運営するケースが一般的です。 長期的な資産運用に加えて、税務対策、相続・事業承継、家族構成員への教育支援、フィランソロピー活動の支援など、包括的かつ個別最適なサービスを提供します。 各家族の価値観や目標を反映した独自の運用方針を構築できる点が特徴であり、世代を超えた資産の管理・承継を目的とした体制として位置づけられます。
マルチファミリーオフィス(MFO)
マルチファミリーオフィス(Multi-Family Office, MFO)とは、複数の富裕層の家族が共同で利用する資産管理サービスの形態です。 投資管理をはじめ、税務対策、相続・事業承継、慈善活動(フィランソロピー)など、幅広い分野において専門的な支援を提供します。 複数の家族でサービスを共有することで、コストを分担しながら、高度で包括的なサポート体制を効率的に構築できる仕組みとなっています。
ファミリーオフィス
ファミリーオフィスとは、富裕層の家族や一族が保有する資産を管理・運用するための専門組織のことを指します。単一の家族を対象とする「シングルファミリーオフィス」と、複数の富裕層が共同で資産管理を行う「マルチファミリーオフィス」に分かれます。資産運用だけでなく、相続対策、税務管理、慈善活動(フィランソロピー)など、長期的な財産保全を目的とした総合的なサービスを提供する点が特徴です。特に、莫大な資産を持つ家族にとって、世代を超えた資産承継の戦略を策定する重要な役割を担います。
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アセットアロケーション(資産配分)
アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。


