専門用語解説
完全雇用
完全雇用とは、働く意思と能力がある人すべてが職に就いている状態を意味しますが、これは「失業者がゼロ」ということではありません。現実の経済では、転職活動中や一時的な離職による「摩擦的失業」、産業構造の変化に伴う「構造的失業」など、避けられない失業は常に一定程度存在します。
そのため、完全雇用とは「望まない失業が存在しない状態」や「自然失業率の水準にある状態」とされ、実質的には経済が持つ労働力を最大限に活用している健全な雇用状態を指します。完全雇用は景気のピークに近い段階で現れることが多く、インフレ率の上昇リスクと隣り合わせでもあります。そのため、中央銀行は金融政策を決定する際に、完全雇用の水準を重要な判断材料の一つとしています。