専門用語解説
マルチプル(multiple)
マルチプル(multiple)とは、企業の株価や企業価値が「どれだけ割安か、あるいは割高か」を評価するために使われる指標のことです。一般的には、株価や企業価値を、その企業の利益・売上・EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)などと比較して算出される「倍率(比率)」を指します。
代表的なマルチプルの一つが「PER(株価収益率)」で、株価を1株あたりの利益(EPS)で割ることで求められます。PERが高いと「利益に対して株価が割高」、低いと「割安」と評価される傾向があります。
マルチプルは利益以外の指標を使って計算されることも多く、たとえば売上に対するP/S(株価売上高倍率)や、EBITDAに対するEV/EBITDA(企業価値倍率)などが代表例です。どのマルチプルを使うかは、業界の特性や企業のビジネスモデル、成長ステージによって異なります。
投資初心者にとっては、マルチプルは企業を「相対的に比較するためのものさし」として理解しておくと便利です。ただし、単に数字の高低を見るだけではなく、業界平均や過去水準、将来の成長性といった文脈を踏まえて判断することが大切です。マルチプルはあくまで投資判断の補助材料であり、他の情報と組み合わせて使うことが重要です。