専門用語解説
トンチン型保険
トンチン型保険とは、長生きするほど多くの給付を受けられる仕組みを持つ保険です。17世紀イタリアのロレンツォ・トンチが考案した制度に由来し、加入者が資金を出し合い、死亡した人の分を生存者で分け合うという特徴を持ちます。平均寿命を超えて長生きするほど受け取れる金額が増え、長寿リスクに備える仕組みとして位置づけられています。
現代の日本で販売されているトンチン型年金保険は、純粋に「死亡すれば給付ゼロ」となる伝統的な形式とは異なり、多くの商品で最低限の死亡給付や返戻金が設けられています。そのため「トンチン要素を取り入れた長寿年金保険」として提供されるケースが一般的です。
メリットとしては、長生きするほど受け取れる年金が増え、老後の生活資金を確保しやすい点があります。一方で、早期に死亡した場合は払い損になるリスクや、遺族への保障が乏しい点には注意が必要です。また、商品によってはコストや条件が複雑であるため、契約前に内容を十分に確認することが欠かせません。
トンチン型保険は、老後資金を「平均寿命を超える期間に重点的に備える」仕組みであり、公的年金や他の金融商品と組み合わせて活用することで、長生きリスクに対応する有効な選択肢となります。