S&P500とVTI(全米株式)のどちらを選ぶべきですか?
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2025/05/27 12:09
男性
40代
S&P500とVTIって、どっちもアメリカ全体に投資できるイメージがありますが、実際どっちを選べばいいのか迷っています。どっちを選んでも大きな差はないって言われる一方で、「VTIの方が小型株までカバーしてるから有利」みたいな話も聞きます。リターンやコスト、銘柄の違いを踏まえて、自分に合った選び方ってどう考えたらいいんでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
VTIは、米国株式市場のほぼ全体をカバーする「CRSP米国総合指数」に連動し、約4,000銘柄に時価総額比で投資します。構成比は大型株が8割を占めるものの、残りの約20%に中小型株が含まれているため、より幅広い成長機会を取り込める点が魅力です。ただし、小型株が混ざっているからといって値動きが極端に荒くなるわけではなく、全体としては安定感のある設計です。経費率は年0.03%と非常に低く、流動性も高いため、売買コストの心配も少ないでしょう。
一方で、S&P500連動型のETF(たとえばVOO)は、米国を代表する大型株500社のみで構成され、収益性や流動性などの厳しい審査基準をクリアした企業だけが採用されています。高配当で安定成長が期待される銘柄が中心となるため、リターンのブレがやや小さく、指数の中身も把握しやすいというメリットがあります。こちらも経費率は同じく0.03%です。
長期的な実績を見ると、2003年以降の年率リターン差はおおよそ0.2〜0.3%にとどまり、直近10年の成績もほぼ同水準です。違いが出るとすれば、小型株に資金が集まりやすい景気回復初期にはVTIがやや優位に、巨大テック株がけん引する局面ではS&P500が先行する、といった相場局面の違いです。ただし、分散効果や値動きの差はそこまで大きくなく、どちらかが明確に優れているとは言い切れません。
最終的な選び方のポイントは、次の3つに絞られます。
-
どちらの「安心感」を優先するか
- 米国市場を丸ごと保有する安心感
- 指数がシンプルで管理しやすい安心感
-
実務面のハードルを確認する
- 利用している証券会社の取扱商品
- 自動積立への対応状況
- 為替コスト
-
追加リスクに対する許容度を見極める
- 中小型株を含むリスクを自分がどこまで受け入れられるか
どちらを選んでも大きな差は出にくいため、無理なく長く続けられるほうを選ぶことが何より大切です。途中でやめずに積立を継続し、年に一度リバランスする習慣の方が、結果に与える影響ははるかに大きくなります。
もし選び方に迷ったり、自分に合った配分がわからないと感じたら、無理せず中立的なアドバイザーに相談してみるのも一つの手です。投資方針を整理し、自分に合った選択を確認できるだけでも、安心して運用を続けやすくなります。
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S&P500指数
S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。
VTI(全米株式)
VTIとは、米国の大手資産運用会社バンガードが運用するETF(上場投資信託)の一つで、正式名称は「Vanguard Total Stock Market ETF」です。日本語では「全米株式」と呼ばれることが多く、アメリカの上場株式市場全体に分散投資できることが特徴です。 このETFは、大型株から中小型株まで含めた約4,000銘柄以上を対象としており、米国市場全体の動きを捉えることを目的としています。代表的なインデックスであるCRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動しており、個別株を選ぶことなく、アメリカ経済全体の成長に広く投資できる仕組みです。 低コストで長期保有に向いているため、資産形成を目指す個人投資家にも人気があり、特にインデックス投資や米国株投資を始めたい初心者にとって、シンプルかつ効率的な選択肢となっています。分配金(配当)も定期的に支払われる点も魅力の一つです。
CRSP USトータル・マーケット・インデックス
CRSP USトータル・マーケット・インデックスとは、米国の株式市場全体の動きを広くカバーする株価指数で、米国の大手金融研究機関「CRSP(Center for Research in Security Prices)」が算出・公表しています。CRSPはシカゴ大学のビジネススクールに拠点を持ち、信頼性の高い金融データ提供機関として知られています。 この指数は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、ナスダック(NASDAQ)、NYSEアメリカンなどに上場している米国企業の株式のほぼすべてを対象としており、大型株・中型株・小型株・超小型株まで約4,000銘柄以上を網羅しています。そのため、米国株式市場の“トータル”な動きを反映するインデックスとして、非常に広範な分散性を持っています。 CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、バンガード社が提供するETF「VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)」の連動対象インデックスとしても有名で、長期的な米国経済の成長に広く投資できる商品として個人投資家にも人気があります。 この指数に連動する投資信託やETFを保有すれば、米国経済全体の成長をひとつの投資で捉えることができるという点で、特にインデックス投資を志向する人々にとって重要な存在です。
経費率
経費率(Expense Ratio)は、投資信託やETF(上場投資信託)などの運用にかかる年間コストを、運用資産総額に対する割合で示した指標です。投資家はこの経費率を負担するため、経費率が低いほど投資のコストが抑えられ、リターンが高まりやすくなります。 例えば、あるETFの経費率が0.2%の場合、年間で運用資産の0.2%が管理費用などに充てられます。経費率には、ファンドの管理費用、売買手数料、監査費用などが含まれます。 一般的に、インデックス型ETFは経費率が低く(0.1%~0.5%程度)、アクティブ運用のファンドは高くなる(1%~2%程度)傾向があります。経費率が高すぎると、長期的に資産が目減りする可能性があるため、投資先を選ぶ際は経費率の低い商品を選ぶことが重要です。
出来高
出来高とは、ある期間に売買された株式の数量のことを意味します。出来高が多いと、その株に多くの人が関心を持って取引していることを表し、価格も動きやすくなります。反対に出来高が少ないと、取引が活発でないため、売りたいときに売れなかったり、価格が思ったように動かなかったりすることもあります。
流動性
流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。