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S&P500とどっちがいい?オルカン・NASDAQ100・ダウ・VTIを徹底比較

S&P500とどっちがいい?オルカン・NASDAQ100・ダウ・VTIを徹底比較

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執筆者:

公開:

2025.05.27

更新:

2025.05.27

インデックス投資を始める際、多くの投資家がS&P500に注目しますが、全世界株式、NASDAQ100、ダウ平均、VTIなど他の主要指数と比べると、分散範囲や業種の偏り、手数料などに違いがあります。 本記事ではこれら5つの指数を構造・実績・コスト面から比較し、投資目的やリスク許容度に応じた適切な選択を導く判断軸を整理します。

サクッとわかる!簡単要約

S&P500・全世界株式・NASDAQ100・ダウ平均・VTI――本記事では、主要5指数の分散範囲、セクター偏重、10年リターン、ボラティリティ、信託報酬を横並びで比較し、それぞれの特長と盲点を整理します。代表性を求めるならS&P500、成長性ならNASDAQ100、地域分散は全世界株式、米国全体の動きにはVTI、象徴的な構成ならダウ平均というように、各指数の立ち位置が明確になります。読み終える頃には、自分に合ったインデックスの見極め方や、コア・サテライト戦略を含めた組み合わせの考え方が自然と整理され、選ぶ視点が深まります。

目次

S&P500とは?構成・算出方法・長期リターンを把握

主要インデックス比較表(2025年版)

注釈

S&P500と全世界株式(オルカン)の比較:分散重視か米国集中か?

全世界株式(オルカン)とは?

地域分散を徹底比較:S&P500 500社vs世界50カ国・数千銘柄

リターン&ボラティリティ比較:米国優位期に“薄まる”世界分散の実力

手数料と商品数を徹底比較:オルカンも超低コスト時代へ突入

S&P500と全世界株式(オールカントリー)選ぶならどっち?安定志向か成長志向か、投資目的・リスク許容度で検討

S&P500とNASDAQ100の比較:ハイテク集中で高リターンを狙うか?

NASDAQ100とは?

セクター構成の違い:S&P500の広域分散 vs NASDAQ100のIT・通信70%

10年パフォーマンスとボラティリティ:好景気で伸びるが逆風に弱い

信託報酬・ETFラインナップ:S&P500より高コストでも買う価値は?

S&P500とNASDAQ100はどちらを選ぶべき?コア・サテライト戦略でNASDAQ100で成長性を上乗せする考え方

S&P500とダウ平均の比較:指数設計と代表性の差を検証

ダウ平均とは?

“株価平均”と“時価総額加重”:算出ロジックの本質的違い

分散性とリターン:30銘柄ダウ vs 500銘柄S&P500 の実績比較

ETF・投資信託コスト比較:ダウ平均連動商品は割高?

S&P500とダウ平均はどっちを選ぶべき?象徴性のダウをニュースで追い、合理的にS&P500に投資

S&P500とVTI(全米株式)の比較:カバー範囲拡大でもリターン差はわずか

VTI(全米株式)とは?

大型株だけか? 中小型株もか?:4,000銘柄 vs 500銘柄の分散力

リターンと相関係数:過去はほぼ同じ、将来の伸びしろは中小型株次第

低コスト競争はすでに決着済み──S&P500ファンドとVTIファンドの手数料比較

VTI(全米株式)とS&P500、どちらを選ぶべき?「ほぼ同じ」だから好みと証券会社で選んでもOK

株式インデックスだけで十分か?──複数アセットを組み合わせた分散投資のすすめ

株式100%ポートフォリオの落とし穴

債券とキャッシュで“下落相場”に備える

コモディティ・REITでインフレヘッジ

継続的リバランスで守りと攻めを両立

S&P500とは?構成・算出方法・長期リターンを把握

S&P500は、米国の代表的な上場企業500社で構成される株価指数で、世界中の投資家にとって「米国市場の縮図」とも言える存在です。指数は時価総額加重平均で算出されるため、大型株の動向が強く影響し、米国市場の約8割をカバーしています。

インデックスとは何か基礎から知りたい場合はこちらの記事をご参照ください

長期的に見ても、S&P500は極めて優れたパフォーマンスを示してきました。過去30年間の年平均リターンはおおむね10%前後に達しており、米国経済の持続的な成長と、イノベーションを牽引するグローバル企業の活躍を背景に、数々の景気後退を乗り越えてきた実績があります。

投資対象としても、S&P500は投資信託やETFを通じて手軽にアクセスでき、分散投資・低コスト・透明性といった特徴から、資産形成の中核を担う選択肢として広く支持されています。とくに個別株よりもリスクを抑えつつ、米国経済全体の成長を取り込める点は、多くの長期投資家にとって魅力的です。

ただし、S&P500が「唯一の正解」というわけではありません。投資対象としては、他にも全世界株式、NASDAQ100、ダウ平均、VTI(全米株式)などのインデックスが存在し、それぞれに異なる特徴と魅力があります。

次章以降では、S&P500とこれらの代表的な株価指数の違いを詳しく比較し、自分にとってどのインデックスが最適かを判断するための視点を整理していきましょう。

主要インデックス比較表(2025年版)

指数名構成銘柄数地域分散セクター構成年平均リターン※¹ボラティリティ国内投信の信託報酬(年率)※²米国ETF経費率(年率)※³主なETF
S&P500約500銘柄米国のみ幅広く分散(IT比率高)約10~11%約0.093%0.03%VOO
全世界株式(オルカン)約3,000〜8,000銘柄約50カ国(米国約60%)米国中心+先進国・新興国約8~9%中〜やや低約0.05775%0.07%VT
NASDAQ100約100銘柄米国のみハイテク集中(IT・通信約70%)約12〜14%約0.198~0.203%0.20%QQQ
ダウ平均30銘柄米国のみ伝統産業中心(株価平均型)約9〜10%やや低〜中約0.5%0.16%DIA
VTI(全米株式)約4,000銘柄米国全体(大型〜小型まで)幅広い(中小型含む)約10~11%約0.0938%0.03%VTI

注釈

  • ※¹:リターンは米ドル建て・配当込みの過去10年平均(2013年〜2023年目安)。将来の成果を保証するものではありません。
  • ※²:国内投信の信託報酬は「eMAXIS
    Slim」「SBI・V」「楽天」シリーズの代表ファンドを基準とした2025年5月時点の参考値。
  • ※³:米国ETFの経費率(Expense
    Ratio)は運用会社発表ベース。ETF取引には別途為替手数料・売買手数料が発生する場合があります。

S&P500と全世界株式(オルカン)の比較:分散重視か米国集中か?

S&P500と並んで人気の高いインデックス投資の対象として「全世界株式(オールカントリー)」があります。ここでは、両者の違いを明確にし、どちらが自身の投資方針に適しているかを判断するための材料を提供します。

全世界株式(オルカン)とは?

全世界株式(オールカントリー)とは、その名の通り、世界中の株式市場に国際分散投資を行うことを目指す株価指数や、それに連動する投資信託・ETFを指します。代表的な指数にはMSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(ACWI)やFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスなどがあり、これらは米国、欧州、日本などの先進国に加え、中国やインドといった新興国まで、約50カ国・数千銘柄を網羅します。

最大の特徴は、S&P500のような一国集中型とは異なり、広範な地域・通貨への分散によりカントリーリスクを低減できる点です。これにより、特定の国や地域の経済状況に左右されにくく、より安定したリターンを目指せます。

S&P500かオルカンかの疑問はFAQで詳しく

近年は「オルカン」の愛称で知られる低コストの連動型投資信託も人気で、1本で手軽に世界経済全体の成長の恩恵を享受したい投資家や、国際分散によるリスク管理を重視する投資家にとって有力な選択肢です。ただし、構成比率は市場規模に応じて決まるため、米国株の比率が依然として高い点には留意が必要です。

地域分散を徹底比較:S&P500 500社vs世界50カ国・数千銘柄

投資対象となる地域と銘柄数の観点から、S&P500と全世界株式の分散効果を比較します。

S&P500の投資対象と地域

S&P500は、前述の通り米国の主要企業約500社に投資する指数です。投資対象は米国企業に限定されています。

全世界株式(オルカン)の投資対象と地域

一方、全世界株式指数(例:MSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(ACWI)やFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス)は、その名の通り、世界中の株式市場を対象とします。これには、米国だけでなく、欧州、日本などの先進国、さらには中国、インド、ブラジルといった新興国も含まれます。構成銘柄数は数千に及び、約50カ国の市場をカバーするものもあります。

分散の広さの違い

地域分散の観点では、全世界株式の方がS&P500よりも格段に広範です。S&P500も実質的にはグローバル企業が多く含まれるため間接的な国際分散効果はありますが、直接的な投資対象国は米国のみです。全世界株式は、一国集中のリスクを避け、よりグローバルな視点での分散投資を目指す場合に適しています。

リターン&ボラティリティ比較:米国優位期に“薄まる”世界分散の実力

過去のリターンや価格変動リスク(ボラティリティ)を比較し、特に近年の市場環境における両者のパフォーマンスの違いを考察します。 (実際の記事では、このセクションに関連する両指数のリターン比較チャートを挿入することを推奨します)

過去のリターン比較:近年の米国株優位

過去10年以上にわたり(特に2010年代以降)、米国株式市場は他地域を大きくアウトパフォームしてきました。この期間においては、S&P500のリターンは全世界株式指数を上回る傾向にありました。これは、GAFAM(Google、 Amazon、 Facebook(現Meta)、 Apple、 Microsoft)に代表される米国の巨大ハイテク企業群の目覚ましい成長がS&P500を強力に牽引したためです。

例えば、2011年末から2021年末の10年間でS&P500(配当込み、米ドルベース)が約4.7倍になったのに対し、MSCI ACWI(配当込み、米ドルベース)は約3.2倍と、大きな差がつきました。

ボラティリティ(価格変動リスク)の傾向

一般的に、投資対象が広範に分散されているほど、価格変動リスク(ボラティリティ)は抑制される傾向があります。しかし、全世界株式指数における米国株の構成比率は約6割(2024年時点、MSCI ACWIベース)と非常に高いため、全世界株式も米国市場の動向から大きな影響を受けます。そのため、S&P500と全世界株式のボラティリティに劇的な差があるわけではありませんが、理論上は全世界株式の方がカントリーリスクの分散により若干安定性が増すと考えられます。

「米国優位」が薄れた場合のシナリオ

もし将来、米国以外の国や地域が米国市場を上回る成長を見せる局面が到来すれば、全世界株式のリターンがS&P500を上回る可能性も十分に考えられます。過去には、1970年代や1980年代、あるいは2000年代前半など、米国株が相対的に低迷し、日本株や新興国株が注目された時期もありました。「米国一強」が未来永劫続くとは限らないという視点も重要です。

手数料と商品数を徹底比較:オルカンも超低コスト時代へ突入

S&P500連動型と同様に、全世界株式(オールカントリー、通称「オルカン」)に連動する投資信託やETFも、低コスト競争が進んでいます。

全世界株式連動ファンドのコスト動向

近年、全世界株式に連動するインデックスファンドの信託報酬は急速に低下しています。例えば、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は年0.05775%以内(2024年5月時点)と、S&P500連動ファンドと遜色ない、あるいはそれ以上に低い水準の商品も登場しています。

代表的な全世界株式連動ファンド

投資信託では「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)」、「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま)」などが人気です。 ETFでは、米ドル建てになりますが「Vanguard Total World Stock ETF (VT)」などが代表的です。

コスト差は縮小傾向

かつては、より広範な市場をカバーする全世界株式ファンドの方が、S&P500ファンドに比べてややコストが高い傾向がありましたが、現在ではその差はごくわずかになっています。ファンド選択においてコストが決定的な違いを生むことは少なくなりつつあり、むしろ投資戦略や分散の考え方がより重要になっています。

S&P500と全世界株式(オールカントリー)選ぶならどっち?安定志向か成長志向か、投資目的・リスク許容度で検討

最終的にS&P500と全世界株式のどちらを選ぶかは、個々の投資目的やリスク許容度によって異なります。

安定志向・分散重視派の選択

「できるだけ広く分散投資して、特定の国に偏るリスクを避けたい」「世界経済全体の成長の恩恵をバランスよく受けたい」と考える安定志向の投資家や、国際分散投資を手軽に始めたい初心者にとっては、全世界株式(オールカントリー)が適していると言えるでしょう。一本で世界中の株式に投資できる手軽さも魅力です。

米国成長への期待・集中投資派の選択

「今後も米国経済の高い成長が続くと強く信じている」「より高いリターンを狙いたい」と考える成長志向の投資家や、ポートフォリオの中で米国株式の比率を高めたいと考える投資家にとっては、S&P500への集中投資も合理的な選択となり得ます。ただし、その分、米国市場の変動リスクを直接的に受けることになります。

分散性を取るか、成長期待で米国集中を取るかは投資家の方針次第です。

「S&P500だけでいいのでは?」という視点からの整理はこちらの記事をご参照ください。

S&P500とNASDAQ100の比較:ハイテク集中で高リターンを狙うか?

S&P500が広範な米国大型株を対象とするのに対し、NASDAQ100は米国の新興企業向け市場であるNASDAQに上場する、金融を除く時価総額上位100社で構成される指数です。特にハイテク企業の比率が高いことで知られています。

NASDAQ100とS&P500の比較FAQはこちら

NASDAQ100とは?

NASDAQ100(ナスダック100)は、米国の新興企業向け株式市場であるNASDAQに上場する企業のうち、金融セクターを除いた時価総額上位100社で構成される株価指数です。特に情報技術(IT)セクターの比率が非常に高く、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット(Google)、エヌビディアといった世界的な巨大ハイテク企業が構成銘柄の多くを占めています。

この指数の最大の特徴は、S&P500が幅広い業種に分散しているのに対し、イノベーションを牽引する成長企業、とりわけテクノロジー関連企業に大きく偏重している点です。そのため、過去のパフォーマンスではS&P500を大幅に上回る高いリターンを記録する時期がありましたが、一方で価格変動リスク(ボラティリティ)も高く、市場環境の変化や金利動向によってはS&P500より大きな下落を見せることもあります。ハイテク株の成長性に強く期待し、高いリスク許容度を持つ投資家が、ポートフォリオの成長エンジンとして活用するケースが見られます。

セクター構成の違い:S&P500の広域分散 vs NASDAQ100のIT・通信70%

両指数の最も大きな違いの一つが、業種別の構成比率(セクター構成)です。

S&P500のセクター分散

S&P500は、情報技術、ヘルスケア、金融、一般消費財、資本財、通信サービス、エネルギーなど、幅広いセクターの企業を含んでおり、比較的バランスの取れた業種分散がなされています。

NASDAQ100のハイテクセクターへの集中

NASDAQ100は、構成銘柄のおよそ50~60%を情報技術セクターが占めており、これに通信サービスや一般消費財(とくにAmazonなどのEコマース関連)を加えると、全体の約70~80%がハイテク系企業で構成されることになります(構成比は時期によって変動します)。一方で、金融セクターの銘柄は含まれていません。アップル、マイクロソフト、アルファベット(Google)、アマゾン、エヌビディア、メタ・プラットフォームズといった巨大IT企業が指数全体に大きな影響を与えており、これらの株価変動がパフォーマンスに強く反映されます。

指数の性格の違い

このセクター構成の違いから、S&P500は「米国市場全体の縮図」に近い性格を持つのに対し、NASDAQ100は「米国のハイテク・成長株指数」としての性格が際立っています。

10年パフォーマンスとボラティリティ:好景気で伸びるが逆風に弱い

リターンとリスクの観点から、両指数を比較します。 (実際の記事では、このセクションに関連する両指数のパフォーマンス比較チャートを挿入することを推奨します)

NASDAQ100の圧倒的な高リターン(過去10年超)

特に2010年代以降のテクノロジー株が市場を牽引した局面では、NASDAQ100はS&P500を大幅に上回るリターンを記録しました。例えば、2011年末から2021年末の10年間で、NASDAQ100(配当込み、米ドルベース)は約8.8倍になったのに対し、S&P500は約4.7倍でした。これは年率リターンでNASDAQ100が約24%、S&P500が約17%に相当し、顕著な差です。

高いボラティリティ(価格変動リスク)

しかし、NASDAQ100は高いリターンが期待できる反面、ボラティリティもS&P500に比べて高くなる傾向があります。好景気や技術革新の波に乗って大きく上昇する一方、市場環境が悪化したり、金利が上昇したりする局面では、S&P500よりも下落率が大きくなることがあります。ハイテク株は金利変動の影響を受けやすいとされるためです。 例えば、2000年前後のITバブル崩壊時には、NASDAQ100はS&P500よりもはるかに大きな下落を経験しました。

リスク・リターンのトレードオフ

NASDAQ100は「ハイリスク・ハイリターン」型の指数と言え、S&P500は相対的に「ミドルリスク・ミドルリターン」に近い特性を持ちます。どちらが良いかは投資家のリスク許容度や市場観によって異なります。

信託報酬・ETFラインナップ:S&P500より高コストでも買う価値は?

NASDAQ100に連動する投資信託やETFのコストや種類について見ていきます。

NASDAQ100連動ファンドのコスト

一般的に、NASDAQ100に連動する投資信託の信託報酬は、S&P500や全世界株式に連動する超低コストファンドと比較すると、やや高めに設定されている傾向がありましたが、近年では低コスト化が進んでいます。 例えば、日本の投資信託では「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」が信託報酬年0.2035%(税込、2024年5月時点)、「楽天・NASDAQ-100インデックス・ファンド(楽天レバナスとは別)」が年0.198%(税込、2024年5月時点)など、0.2%前後の商品が登場しています。

代表的なNASDAQ100連動ETF

米国ETFでは、「Invesco QQQ Trust (ティッカー: QQQ)」が最も代表的で、流動性も高いです。経費率は0.20%(2024年時点)です。

コスト差と投資判断

S&P500連動の最安クラスのファンド(信託報酬0.1%未満)と比較すると、依然として若干のコスト差はありますが、その差は縮小傾向にあります。NASDAQ100の潜在的な高リターンを期待するのであれば、この程度のコスト差は許容範囲と考える投資家もいるでしょう。重要なのは、コストだけでなく、指数の特性や自身のリスク許容度を総合的に勘案することです。

S&P500とNASDAQ100はどちらを選ぶべき?コア・サテライト戦略でNASDAQ100で成長性を上乗せする考え方

NASDAQ100をポートフォリオにどのように組み込むか、戦略的な活用法を考えます。

NASDAQ100の「サテライト」としての活用

NASDAQ100は値動きが大きく、特定のセクターに集中しているため、ポートフォリオの大部分を占める「コア」資産とするにはリスクが高いと考えるのが一般的です。 多くの場合、S&P500や全世界株式といったより分散された指数をコア資産とし、NASDAQ100はポートフォリオの一部(例えば5%~20%程度)を割り当てる「サテライト」戦略で活用し、全体の成長性を高めることを狙います。

成長性への期待を込めた投資

「将来のテクノロジーの発展を強く信じ、その成長の恩恵を積極的に享受したい」という明確な投資テーマを持つ場合には、NASDAQ100への投資が適しているかもしれません。

リスク許容度の確認が必須

NASDAQ100に投資する際は、その高いボラティリティを許容できるかどうかが鍵となります。短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で成長を待つ姿勢が求められます。もし大きな価格下落に耐えられないと感じる場合は、投資額を抑えるか、より分散された指数を選ぶ方が賢明です。

S&P500とダウ平均の比較:指数設計と代表性の差を検証

ダウ平均(NYダウ工業株30種平均)は、S&P500と並んでニュースでよく耳にする米国の代表的な株価指数です。しかし、その設計思想や特性はS&P500と大きく異なります。

ダウ平均とは?

ダウ平均(正式名称:ダウ・ジョーンズ工業株価平均、NYダウ)は、米国の株式市場を代表する最も歴史の古い株価指数の一つです。米国の主要産業を代表する優良企業30銘柄で構成され、これらの株価の単純平均(除数で修正)によって算出されます。構成銘柄は時代に合わせて入れ替えられますが、S&P500の500銘柄と比較すると極めて少数です。

最大の特徴は、その知名度の高さと「株価平均型」という算出方法です。株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きくなるため、企業の時価総額(市場での価値)の大きさが直接反映されるS&P500の「時価総額加重平均型」とは本質的に異なります。歴史的経緯から市場の象徴としてニュースで頻繁に報じられますが、現代の分散投資の観点では、銘柄数の少なさや算出方法の特性から、市場全体を正確に反映しているとは言い難く、投資対象としての合理性はS&P500に劣るとされることが多いです。機関投資家のベンチマークとしてもS&P500が主流です。

“株価平均”と“時価総額加重”:算出ロジックの本質的違い

両指数の最も根本的な違いは、指数の算出方法です。

ダウ平均の「株価平均型」

ダウ平均は、構成する30銘柄の株価を合計し、それを「除数」で割って算出する「株価単純平均(修正平均)」方式です。この方式では、株価の高い銘柄(例:1株300ドルの銘柄)の値動きが、株価の低い銘柄(例:1株30ドルの銘柄)の値動きよりも指数に大きな影響を与えます。企業の規模(時価総額)とは無関係に、1株あたりの株価の絶対値が影響度を決めるという特徴があります。

S&P500の「時価総額加重型」

一方、S&P500は前述の通り「時価総額加重平均」です。各企業の時価総額に応じて指数への影響度が決まるため、より市場の実態を反映しやすいと考えられています。

合理性と直感性

現代のポートフォリオ理論では、時価総額加重型の方が市場全体の動きをより合理的に捉えることができるとされています。株価平均型は計算がシンプルで直感的ですが、特定の高株価銘柄の影響を過度に受けやすいという批判もあります。

分散性とリターン:30銘柄ダウ vs 500銘柄S&P500 の実績比較

構成銘柄数や実際のパフォーマンスにはどのような違いがあるのでしょうか。

構成銘柄数と分散性

ダウ平均は、わずか30社の優良企業(いわゆるブルーチップ)で構成されており、アメリカの主要な産業を代表する企業が選ばれています。ただし、銘柄数が少ないため、投資先としての分散効果は限定的です。

一方、S&P500は、その名の通り約500銘柄で構成されており、より多様な業種・企業規模をカバーしています。そのため、投資対象としての分散性が高く、より市場全体の動きを反映しやすいとされています。

実際、市場全体に占めるカバー率を見ると、S&P500は米国株式市場のおよそ80%をカバーしているのに対し、ダウ平均は約25%〜30%程度にとどまっています。

長期的なリターン傾向

長い目で見ると、ダウ平均とS&P500のリターンはおおむね似たような動きをすることが多いです。ただし、構成銘柄や指数の計算方法が異なるため、短期から中期ではパフォーマンスに差が出ることもあります。

たとえば、最近のように情報技術セクターが市場を引っ張っている場面では、大型ハイテク株を時価総額の大きさに応じて多く組み入れているS&P500の方が、ダウ平均より高いリターンを出す傾向があります。

一方、市場が不安定なときには、選び抜かれた優良企業だけで構成されるダウ平均の方が、比較的値動きが安定しやすいとも言われます。ただし、こうした傾向も状況によって異なり、必ずしも当てはまるとは限りません。

近年のパフォーマンス差

特にGAFAMのような巨大ハイテク企業が市場で大きなウェイトを占めるようになってからは、これらの銘柄を適切に組み入れているS&P500の方が、ダウ平均をアウトパフォームする傾向がより顕著に見られるようになりました。

ETF・投資信託コスト比較:ダウ平均連動商品は割高?

ダウ平均に連動する金融商品のコストはどうでしょうか。

ダウ平均連動ETF

ダウ平均に連動する代表的なETFとしては、「SPDR Dow Jones Industrial Average ETF (ティッカー: DIA)」があります。経費率は0.16%(2024年時点)と、S&P500連動の最安ETF(VOOの0.03%など)と比較すると高めです。

日本の投資信託

日本でダウ平均に連動する投資信託は、S&P500や全世界株式に比べて種類が少なく、信託報酬もやや高めの傾向にあります。例えば、「SMT ダウ・ジョーンズ インデックス(オープン)」の信託報酬は年0.55%(税込、2024年5月時点)です。

コスト面の比較

総じて、ダウ平均に連動する商品は、S&P500連動の低コスト商品に比べて運用コストが高くなる傾向があります。これは、投資対象としての合理性や需要の大きさの違いを反映している可能性も考えられます。

S&P500とダウ平均はどっちを選ぶべき?象徴性のダウをニュースで追い、合理的にS&P500に投資

ダウ平均とS&P500、それぞれの指数をどのように捉え、投資に活かすべきでしょうか。

ダウ平均の「象徴性」と「歴史的意義」

ダウ平均は1世紀以上の歴史を持ち、世界で最もよく知られた株価指数の一つです。ニュース報道などでは依然として米国市場の動向を示す代表的な指標として頻繁に引用され、市場参加者の心理的な節目としても意識されます。この「象徴性」と「歴史的意義」は大きなものがあります。

S&P500の「合理性」と「代表性」

一方、投資対象としての「合理性」や市場全体の「代表性」という観点では、多くの専門家や機関投資家はS&P500を重視します。時価総額加重型であり、より広範な銘柄をカバーしているため、実際の米国株式市場の動きをより正確に反映していると考えられるからです。

リターンを求めて運用するならS&P500

多くの個人投資家にとっては、ポートフォリオのコア部分はS&P500(あるいは全世界株式)で構築し、市場の動きを把握するための情報源としてダウ平均のニュースを参考にする、という付き合い方が現実的かもしれません。 ダウ平均への投資は、その歴史や構成銘柄に特別な魅力を感じる場合に限定的な選択肢として考える程度で、主流とは言えません。

S&P500とVTI(全米株式)の比較:カバー範囲拡大でもリターン差はわずか

S&P500が米国の大型株500社を対象とするのに対し、「VTI」というティッカーで知られる「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」は、米国のほぼ全ての株式(大型株から中小型株まで約4000銘柄)に投資します。この「全米株式」とS&P500の違いを見ていきましょう。 (VTIが連動対象とする指数はCRSP USトータル・マーケット・インデックスです)

VTI(全米株式)とは?

VTIは、バンガード社が提供する「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」のティッカーシンボルです。このETFは、CRSP USトータル・マーケット・インデックスのような、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ全て(大型株から中小型株まで約4000銘柄)を網羅する指数に連動することを目指します。一般的に「全米株式」への投資として認識されています。

最大の特徴は、S&P500が米国の大型株約500社を対象とするのに対し、VTIは中小型株まで含めた米国市場全体の動きを捉えようとする点です。

これにより、米国市場の時価総額のほぼ100%をカバーし、より完璧な米国内での分散投資を実現します。しかし、実際のリターンや値動きはS&P500と非常に高い相関があり、長期的なパフォーマンスの差はごくわずかとなる傾向があります。

これは、米国市場の時価総額の大部分を大型株が占めているためです。「米国市場全体をまるごと保有したい」という投資家にとって、S&P500よりもさらに広範なカバレッジを提供する選択肢となります。

大型株だけか? 中小型株もか?:4,000銘柄 vs 500銘柄の分散力

投資対象となる銘柄の範囲が、両者の最も大きな違いです。

S&P500のカバー範囲:大型株中心

S&P500は、米国の大型株約500銘柄で構成され、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーします。

VTI(全米株式)のカバー範囲:大型・中型・小型株を網羅

VTIは、大型株だけでなく、中型株や小型株も含む米国の投資可能なほぼ全ての株式(約4000銘柄)を投資対象とし、米国株式市場の時価総額のほぼ100%をカバーします。

分散性の違いの捉え方

銘柄数で見るとVTIの方が圧倒的に多いですが、時価総額カバー率で見ると、S&P500の80%に対しVTIが100%と、その差は20%ポイントです。これは、米国株式市場の時価総額の大部分を大型株が占めていることを意味します。VTIが追加でカバーする中小型株全体の時価総額は、市場全体の約20%に相当します。 つまり、VTIはより完璧な分散を目指す指数と言えますが、S&P500でも十分に広範な分散は達成されていると言えます。

リターンと相関係数:過去はほぼ同じ、将来の伸びしろは中小型株次第

カバー範囲が異なるとはいえ、実際のパフォーマンスにはどの程度の差があるのでしょうか。

高い相関性と近似したリターン

過去のデータを見ると、S&P500とVTI(全米株式)のリターンは非常に高い相関性を示し、長期的にはほぼ同じような値動きをします。これは、VTIの構成においてもS&P500に含まれる大型株が時価総額の大部分を占めるためです。

パフォーマンス差が生じるケース

短期的には、中小型株が大型株をアウトパフォームする局面ではVTIがS&P500をわずかに上回り、逆に大型株が市場を牽引する局面ではS&P500がVTIをわずかに上回ることがあります。しかし、その差は年間で0.数パーセント程度に収まることが多く、長期的な資産形成において決定的な差となることは稀です。

中小型株の伸びしろへの期待

VTIに投資する意義の一つとして、将来大きく成長する可能性を秘めた中小型株を初期の段階からポートフォリオに含めることができる、という点が挙げられます。ただし、中小型株は大型株に比べて値動きが大きくなる傾向もあります。

低コスト競争はすでに決着済み──S&P500ファンドとVTIファンドの手数料比較

S&P500に投資するか、全米株式に投資するかを検討する際、まず気になるのが運用コストです。しかし現在、この2つのファンドタイプにおける「手数料競争」はすでにほぼ決着しており、いずれも極めて低コストで提供されています。

ETF(上場投資信託)の経費率

米国ETFでは、バンガード社が提供する「VOO(S&P500連動)」と「VTI(全米株式連動)」が代表的な選択肢です。2024年時点で、どちらも経費率は年0.03%。業界最安水準であり、コスト差はほとんどありません。どちらを選んでも、運用コストの面で大きな差は出にくいと言えます。

日本国内の投資信託の信託報酬

日本で購入できる投資信託でも、低コスト化は進んでいます。

S&P500に連動する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、信託報酬が年0.1%未満と非常に割安です。 また、全米株式に連動するファンドとしては、「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)」や「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」などがあり、信託報酬は年0.1%前後〜0.1%未満と、こちらも低水準です。

なお、楽天VTIは米国ETFの「VTI」に間接的に投資する仕組みであるため、本家VTIの経費率に加えて日本国内の運用管理費がかかりますが、それでも総合的には十分に低コストです。

コスト差で迷う必要はない

最終的に、S&P500型と全米株式型のどちらを選んでも、手数料負担に大きな差はありません。コストはすでに最小限まで抑えられており、今後の判断は「どの指数に投資するか」という戦略面に集中して考えるのがよいでしょう。

VTI(全米株式)とS&P500、どちらを選ぶべき?「ほぼ同じ」だから好みと証券会社で選んでもOK

リターンもコストも大差がないとすれば、何を基準に選べばよいのでしょうか。

網羅性重視ならVTI(全米株式)

「米国株式市場全体を“まるごと”保有したい」「中小型株の成長も取り込みたい」という、より完璧なカバレッジを求める投資家にはVTI(全米株式)が適しています。

シンプルさ・代表性重視ならS&P500

「米国の主要な大型企業に投資できれば十分」「指数としてより馴染みがあり、情報も得やすい方が良い」と考える投資家にはS&P500がシンプルで分かりやすい選択肢です。

実質的な影響は軽微

どちらを選んでも、長期的な投資成果に壊滅的な差が出る可能性は極めて低いと考えられます。したがって、投資家の好みや、利用している証券会社での取り扱い状況、ポイントプログラムの有無といった副次的な要素で選んでも、大きな失敗には繋がりにくいでしょう。最も重要なのは、どちらかを選んだら、長期的に積立投資を継続することです。

株式インデックスだけで十分か?──複数アセットを組み合わせた分散投資のすすめ

ここまで読んで「S&P500が良さそう」と感じた方も、「でも暴落が怖い…」と心配になるかもしれません。実は、株式インデックスにもう一手加えるだけで値動きのストレスを大幅に抑えられます。債券やコモディティを組み合わせた分散投資のコツをご紹介します。

株式100%ポートフォリオの落とし穴

S&P500 は過去に半値近いドローダウンを経験しており、値上がり局面の魅力と引き換えに大きな変動を抱えています。長期投資であっても、急落時に積立を止めたり売却してしまえば想定リターンは実現しません。株式だけで運用を続ける場合は、このストレスを許容できるかが最初の検討ポイントになります。

集中投資リスクを下げる具体策はこちらのFAQをご参照ください。

債券とキャッシュで“下落相場”に備える

米国債や高格付け社債は景気後退局面で買われやすく、株式の下落幅を緩和します。短期国債や MMF をキャッシュ置き場にしておけば、暴落時に余裕資金で買い増しができるため、精神面の安定剤としても機能します。

コモディティ・REITでインフレヘッジ

原油・金などのコモディティはインフレ局面で株式と逆方向に動きやすく、REIT は賃料の上昇分を取り込みやすい資産です。株式・債券と“異なる理由で動くアセットを少量組み込むだけでも、ポートフォリオ全体のリスクを滑らかにできます。

継続的リバランスで守りと攻めを両立

配分が5%以上ずれたら年1〜2回を目安にリバランスを行い、高値になった資産を自動的に売って割安資産を買い増します。手動での計算や発注が煩雑な場合は、自動リバランス機能付きサービスや当社の無料ポートフォリオ診断を活用すると管理負荷を抑えられます。

この記事のまとめ

投資対象を選ぶ際は、①銘柄数と地域分散、②過去リターンとボラティリティ、③信託報酬と流動性、④為替・金利への感応度の4つを軸に比較することが重要です。S&P500は代表性と低コスト、全世界株式は分散性、NASDAQ100は高成長、VTIは米国全体のカバー、ダウ平均は象徴的な構成に特長があります。一般的にはS&P500や全世界株式をコアに据え、期待リターンを高めたい部分にNASDAQ100やVTIを組み合わせると、リスクを抑えつつ目標利回りを目指しやすくなります。自分に合った組み方に迷う場合は、中立的なアドバイザーに相談するのが確かな一歩です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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S&P500指数

S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。

時価総額加重型

時価総額加重型とは、株価指数や投資信託などの運用で用いられる算出方式の一つで、**構成銘柄の時価総額(株価 × 発行済株式数)に応じて比率(ウエイト)を決める方法**です。つまり、企業の規模が大きいほど、その銘柄が指数やファンド全体に与える影響も大きくなります。 たとえば、時価総額加重型の株価指数では、アップルやマイクロソフトのような巨大企業の動きが、指数全体の変動に大きく影響を与えます。逆に、時価総額の小さい企業は指数への影響が小さくなります。 この方式は、**市場全体の動きを自然に反映しやすく、売買や構成比の調整がシンプルで効率的**であることから、S&P500やCRSP USトータル・マーケット・インデックスなど、多くの代表的なインデックスで採用されています。 一方で、時価総額が大きい銘柄に偏りやすくなるため、特定の業種や企業に依存した構成になることもあり、分散効果がやや限定的になるケースもあります。資産運用においては、この構造を理解しておくことで、ポートフォリオ全体のバランスやリスクをより適切に把握することができます。

分散投資

分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

経費率

経費率(Expense Ratio)は、投資信託やETF(上場投資信託)などの運用にかかる年間コストを、運用資産総額に対する割合で示した指標です。投資家はこの経費率を負担するため、経費率が低いほど投資のコストが抑えられ、リターンが高まりやすくなります。 例えば、あるETFの経費率が0.2%の場合、年間で運用資産の0.2%が管理費用などに充てられます。経費率には、ファンドの管理費用、売買手数料、監査費用などが含まれます。 一般的に、インデックス型ETFは経費率が低く(0.1%~0.5%程度)、アクティブ運用のファンドは高くなる(1%~2%程度)傾向があります。経費率が高すぎると、長期的に資産が目減りする可能性があるため、投資先を選ぶ際は経費率の低い商品を選ぶことが重要です。

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

ナスダック100指数(NASDAQ100)

ナスダック100指数とは、アメリカの株式市場「NASDAQ(ナスダック)」に上場している企業のうち、金融業を除いた時価総額上位100社で構成される株価指数です。アップル、マイクロソフト、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、エヌビディアなど、世界を代表するテクノロジー企業や成長企業が多く含まれており、ハイテク分野を中心としたアメリカ経済の先端的な動きを示す指標として高い注目を集めています。 この指数は時価総額加重平均型で、企業の規模が大きいほど指数に与える影響も大きくなります。また、ナスダック総合指数よりも選定銘柄が絞られているため、より「成長株」にフォーカスした性格が強いのが特徴です。初心者の方には、「アメリカのハイテク大手を集めた“代表選手”のような指数」と捉えるとわかりやすいでしょう。ハイテク市場の動向をつかむうえで欠かせない指標のひとつです。

インデックス

インデックス(Index)は、市場の動きを把握するための重要な指標です。複数の銘柄を一定の基準で組み合わせることで、市場全体や特定分野の値動きを分かりやすく数値化しています。 代表的なものには、日本の株式市場を代表する日経平均株価やTOPIX、米国市場の代表格であるS&P500などがあります。これらのインデックスは、投資信託などの運用成果を評価する際の基準として広く活用されており、特にパッシブ運用(インデックス運用)では、この指標と同じような値動きを実現することを目標としています。

VTI(全米株式)

VTIとは、米国の大手資産運用会社バンガードが運用するETF(上場投資信託)の一つで、正式名称は「Vanguard Total Stock Market ETF」です。日本語では「全米株式」と呼ばれることが多く、アメリカの上場株式市場全体に分散投資できることが特徴です。 このETFは、大型株から中小型株まで含めた約4,000銘柄以上を対象としており、米国市場全体の動きを捉えることを目的としています。代表的なインデックスであるCRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動しており、個別株を選ぶことなく、アメリカ経済全体の成長に広く投資できる仕組みです。 低コストで長期保有に向いているため、資産形成を目指す個人投資家にも人気があり、特にインデックス投資や米国株投資を始めたい初心者にとって、シンプルかつ効率的な選択肢となっています。分配金(配当)も定期的に支払われる点も魅力の一つです。

ダウ平均株価

ダウ平均株価とは、正式名称を「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」といい、**ア**メリカを代表する30の大企業の株価を平均して算出される株価指数です。ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックに上場している企業が対象で、米国経済全体の動向を示す指標として、世界中の投資家に注目されています。 特徴的なのは、時価総額加重平均ではなく、「株価加重平均」で構成されている点です。つまり、株価が高い銘柄の動きが指数に与える影響が大きく、必ずしも企業規模の大きさがそのまま反映されるわけではありません。たとえば、株価が高い1社の動きだけで、全体の指数が大きく動くこともあります。 ダウ平均は、米国の株式市場の方向性をシンプルに把握できる指標として、テレビやニュース、経済レポートなどでも頻繁に取り上げられます。日経平均株価が日本市場の代表であるのと同じように、ダウ平均株価は米国市場の「顔」として広く認識されている存在です。資産運用や国際経済の流れを読み解くうえでも、押さえておきたい基本指標の一つです。

MSCI ACWI(全世界株式)

MSCI ACWIとは、「MSCI All Country World Index(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」の略で、アメリカのMSCI社が提供する全世界の株式市場の動きを反映する代表的な株価指数です。「全世界株式」や「オルカン」とも呼ばれ、世界中の先進国と新興国の株式を合わせた幅広い投資対象をカバーしています。 この指数には、アメリカや日本、ヨーロッパなどの先進国だけでなく、中国やインド、ブラジルなどの新興国市場も含まれており、約50か国、約3,000銘柄以上が組み入れられています。そのため、MSCI ACWIに連動するインデックスファンドやETFに投資することで、全世界の株式市場に分散投資できるのが大きな特徴です。 個別銘柄や地域を選ばず、長期的な資産形成を目指す初心者にも適した投資手段とされており、「これ1本で世界中に投資できる」ことから、多くの資産運用戦略の基本として利用されています。

CRSP USトータル・マーケット・インデックス

CRSP USトータル・マーケット・インデックスとは、米国の株式市場全体の動きを広くカバーする株価指数で、米国の大手金融研究機関「CRSP(Center for Research in Security Prices)」が算出・公表しています。CRSPはシカゴ大学のビジネススクールに拠点を持ち、信頼性の高い金融データ提供機関として知られています。 この指数は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、ナスダック(NASDAQ)、NYSEアメリカンなどに上場している米国企業の株式のほぼすべてを対象としており、大型株・中型株・小型株・超小型株まで約4,000銘柄以上を網羅しています。そのため、米国株式市場の“トータル”な動きを反映するインデックスとして、非常に広範な分散性を持っています。 CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、バンガード社が提供するETF「VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)」の連動対象インデックスとしても有名で、長期的な米国経済の成長に広く投資できる商品として個人投資家にも人気があります。 この指数に連動する投資信託やETFを保有すれば、米国経済全体の成長をひとつの投資で捉えることができるという点で、特にインデックス投資を志向する人々にとって重要な存在です。

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとは、世界の先進国および新興国市場を含む、大小さまざまな株式銘柄を幅広くカバーする株価指数です。FTSE(Financial Times Stock Exchange)社が算出・管理しており、全世界株式への投資動向を反映するグローバルなベンチマークの一つです。 この指数の「オールキャップ」という名称は、大型株(ラージキャップ)、中型株(ミッドキャップ)、小型株(スモールキャップ)をすべて含むという意味で、世界50か国以上、約9,000銘柄を網羅しています。これにより、世界中の株式市場の動きを1本で捉えることが可能です。 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは、バンガード社のETF「VT(Vanguard Total World Stock ETF)」の連動対象インデックスとしても知られています。VTに投資することで、この指数に連動した全世界分散投資が実現できます。 長期投資やインデックス投資を志向する人にとっては、「これ1本で世界中の株式市場に投資できる」というシンプルかつ強力な選択肢であり、資産形成の中核となることが多いグローバルインデックスです。

GAFAM

GAFAMとは、アメリカの巨大IT企業5社の頭文字を組み合わせた略称で、具体的には以下の企業を指します。 - G:Google(現在の親会社名はAlphabet) - A:Apple - F:Facebook(現在の親会社名はMeta Platforms) - A:Amazon - M:Microsoft これらの企業は、インターネット、スマートフォン、クラウド、SNS、検索エンジン、電子商取引など、現代のデジタル経済のあらゆる分野で支配的な地位を占めています。そのため、GAFAMは単なる企業グループではなく、世界経済や株式市場の動向に大きな影響を与える存在とみなされています。 GAFAMの株価はS&P500やナスダック100といった主要株価指数の中でも特に大きなウェイトを占めており、その動きは指数全体、さらには世界中の投資家の心理に影響を与えます。また、革新的な技術やサービスを次々に生み出しており、成長株としても注目される存在です。 投資の観点では、成長性の高い一方で、バリュエーションの高さや規制リスク(独占禁止法など)にも注意が必要とされるため、個別投資やETF経由での投資を検討する際に理解しておくべき重要なグループです。

コア資産

コア資産とは、長期的な資産運用の中核を成す安定的な資産のことを指す。主にインデックスファンドや大型株、債券など、リスクが比較的低く、安定したリターンを期待できる資産が含まれる。運用の基本方針として、市場の長期的な成長を享受しながら、大きなリスクを取らずに資産を増やすことを目的とする。ポートフォリオの大部分をこのコア資産で構成し、安定した資産形成を目指す。

ドローダウン

ドローダウンとは、資産運用において、運用資産の価値がピーク時からどれだけ下落したかを示す指標のことを指します。具体的には、運用資産が最高値をつけた後、どこまで下がったかをパーセンテージで表します。ドローダウンが大きいということは、一時的に大きな損失が発生したことを意味し、投資家にとっては心理的なストレス要因にもなります。資産運用では、リターンだけでなくドローダウンの大きさを確認することで、リスクの許容度に合った運用戦略を選ぶことが重要になります。

MMF

MMF(マネー・マーケット・ファンド)は、短期の金融商品を中心に運用される投資信託の一種で、安全性と流動性を重視した資産運用手段です。主な投資対象は、国債や社債、コマーシャルペーパー(CP)などの信用度の高い短期証券で、銀行預金よりも高い利回りを目指しつつ、価格変動リスクを抑える設計になっています。MMFは通常、出資後すぐに換金可能で、短期的な資金管理に適しています。日本では、かつて円建てのMMFが提供されていましたが、低金利環境や元本割れのリスクから、2017年までに各運用会社が償還を決定し、現在では提供されていません。一方、外貨建てのMMFは引き続き販売されており、2025年1月末時点での残高は約2.7兆円と報告されています。

コモディティ

コモディティは、世界で標準化された形で売買される原材料・一次産品の総称で、貴金属(金・銀・プラチナ)、エネルギー資源(原油・天然ガス)、農産物(小麦・トウモロコシ・大豆)、産業用金属(銅・アルミニウム)などに分類される。 投資経路は大きく四つある。①現物保有(地金やコイン)、②先物取引、③商品指数連動型ETF・ETN、④コモディティファンド。実務では先物を組み込んだETFが主流で、代表的な指数にブルームバーグ・コモディティ・インデックスや S\&P GSCI がある。 価格は需給バランス、在庫統計、OPEC政策、地政学リスク、天候、為替など多様な要因で変動する。先物運用では限月乗り換え時のロールコスト(コンタンゴ)や信託報酬がリターンを圧迫し、現物保有では保管・保険料、税制(例:金地金の譲渡益は総合課税)が影響するため、コスト構造の把握が欠かせない。 コモディティは株式・債券との相関が相対的に低く、インフレ率と連動しやすいことから、分散投資とインフレヘッジに有効とされる。一方で短期的な価格変動が大きく、資産配分比率や取引手段を目的に合わせて設計し、損失許容度に応じたリスク管理を徹底することが重要となる。

REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)

REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金を使って、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの不動産に投資し、そこで得られた賃貸収入や売却益を分配する金融商品です。 REITは証券取引所に上場されており、株式と同じように市場で売買できます。そのため、通常の不動産投資と比べて流動性が高く、少額から手軽に不動産投資を始められるのが大きな特徴です。 投資家は、REITを通じて間接的にさまざまな不動産の「オーナー」となり、不動産運用のプロによる安定した収益(インカムゲイン)を得ることができます。しかも、実物の不動産を所有するわけではないので、物件の管理や修繕といった手間がかからない点も魅力です。また、複数の物件に分散投資しているため、リスクを抑えながら収益を狙える点も人気の理由です。 一方で、REITの価格は、不動産市況や金利の動向、経済環境の変化などの影響を受けます。特に金利が上昇すると、REITの価格が下がる傾向があるため、市場環境を定期的にチェックしながら投資判断を行うことが重要です。 REITは、安定した収益を重視する人や、実物資産への投資に関心があるものの手間やコストを抑えたい人にとって、有力な選択肢となる資産運用手段の一つです。

インフレヘッジ

インフレヘッジとは、物価が上昇する「インフレーション」の影響から資産の価値を守るための対策や投資方法のことをいいます。インフレが進むと、お金の価値が下がり、同じ金額でも買えるモノやサービスの量が減ってしまいます。そうした状況でも資産の実質的な価値を保つために、物価と一緒に価値が上がりやすい資産、たとえば不動産や金(ゴールド)、インフレ連動債などに投資するのが一般的です。インフレヘッジは、将来のお金の価値が目減りするリスクに備えるための重要な考え方です。

リバランス

リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。

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