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なぜ格付け会社によって同じ企業の評価が異なるのですか?

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2025/06/02 16:04


男性

60代

question

同じ企業なのにS&PはBBB、国内機関はAなど評価が分かれている例を見ました。同じ決算資料を使っているはずなのに、なぜ結果が変わるのでしょうか。評価プロセスや重視指標、事業の特殊性が影響しているのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

格付けが機関によって異なるのは、採用する定量モデルと定性評価の設計思想がそれぞれ独自だからです。S&PやMoody’sなどの国際機関はフリーキャッシュフローの持続性や地域分散度を重視し、JCRやR&Iは国内シェア、主要取引銀行との関係、国内ガバナンス慣行などを高く評価します。

同じ財務データを使っても、為替・金利前提、ストレスシナリオの期間、資本市場環境の見通しが違えば総合スコアは簡単に一〜二ノッチ開きます。持株会社的なソフトバンクグループのように投資資産の流動性や資本政策の実行力をどう点数化するかで判断が分かれる典型例もあります。投資家は複数機関のレーティングを並べ、低い方の格付けが示すリスク要因を必ず確認することで、利回りだけを根拠にした楽観を避けられます。特にスプレッドが同業平均より高い銘柄では、より厳しい格付けとネガティブ側アウトルックを運用基準に据えることが保守的なリスク管理に繋がります。

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格付機関

格付機関とは、企業や国、債券などの信用力を評価し、「信用格付」と呼ばれる等級をつける専門の機関のことをいいます。信用格付は、投資家がその企業や国が借りたお金をきちんと返せるかどうかを判断するための重要な指標となります。たとえば、格付が高ければ「信用度が高く、返済の可能性が大きい」とみなされ、逆に格付が低ければ「リスクが高い」と判断されることになります。代表的な格付機関には、ムーディーズ、スタンダード&プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングスなどがあります。投資初心者にとっても、債券や企業の安全性を見極めるうえで、格付機関の評価はとても参考になります。

キャッシュフロー

お金の流れを表す言葉で、一定期間における「お金の収入」と「支出」を指します。投資や経済活動では特に重要な概念で、現金がどれだけ増えたか、または減ったかを把握するために使われます。キャッシュフローは大きく3つに分かれます。 1つ目は本業による収益や費用を示す「営業キャッシュフロー」、2つ目は資産の購入や売却に関連する「投資キャッシュフロー」、3つ目は借入金や配当などの「財務キャッシュフロー」です。 キャッシュフローがプラスであれば手元にお金が増えている状態、マイナスであれば減っている状態を示します。これを理解することで、資産の健全性や投資先の実態を見極めることができ、初心者でも資金管理や投資判断の基礎として役立てられます。

スプレッド(Spread)

スプレッド(Spread)とは、金融商品の売値(ビッド:Bid)と買値(アスク:Ask)の差のことをいいます。主に外国為替市場や債券市場、株式市場などで使われる用語です。 ビッド(Bid)は投資家がその商品を「売るときに受け取れる価格」、アスク(Ask)は「買うときに支払う価格」を指します。スプレッド(Spread)が広いほど、投資家にとっての取引コストが高くなるため、売買のタイミングには注意が必要です。 一般的に、流動性の低い市場や銘柄ではスプレッドが広がりやすく、反対に、取引が活発な市場ではスプレッドが狭くなる傾向があります。そのため、スプレッドの大きさは、市場の流動性や取引コストを判断する一つの指標となります。

ムーディーズ(Moody’s Investors Service)

ムーディーズ(Moody’s Investors Service)とは、1909年創業の米国系格付け機関で、国債・社債・証券化商品などが期日どおりに元利金を支払えるかを分析し、その信用度を「格付け」という形で公表しています。最上位は「Aaa」、以下「Aa」「A」「Baa」までが投資適格、それより下位の「Ba」「B」「Caa」などは投機的水準と位置づけられ、最下位の「C」が実質的なデフォルト状態を示します。数字(1〜3)は同じカテゴリー内での強弱を表し、1が最も信用力が高いことを意味します。 投資家にとってムーディーズの格付けが重要なのは、利回りが同じでも信用度が異なれば損失確率が変わるためです。銀行の自己資本規制や保険会社の運用ルール、投資信託の目論見書など多くの場面で「投資適格債のみ購入可」といった条件が設けられているため、格付けが一段階下がるだけでも売却圧力が高まり、価格変動が拡大することがあります。こうしたルールベースの資金フローを理解することは、ポートフォリオのリスク管理に欠かせません。 ムーディーズ以外にもS&Pグローバル・レーティングとフィッチ・レーティングスが世界三大格付け機関として知られています。三社は財務指標、産業動向、ガバナンス評価など共通の視点を持ちながら重み付けが微妙に異なるため、同一発行体でも格付けが食い違う場合があります。そのため実務では、複数社の評価を併せて確認し、より立体的に信用リスクを測定するのが定石です。 ただし格付けは「過去と現在」を踏まえた分析結果にすぎず、将来を保証するものではありません。業績急変や政策変更、想定外の事故などで大幅な格下げが行われる例もあります。したがって、格付けだけに依存せず、利回り差(スプレッド)や財務指標の推移、マクロ経済環境を合わせて総合判断し、必要に応じてポートフォリオのリアロケーション(配分自体の再設計)やリバランス(目標配分への微調整)を実施することが重要です。 このようにムーディーズの格付けは、資産運用における信用リスク管理の基礎情報であり、市場の資金コストや売買ルールにも直結します。S&Pやフィッチと併用しながら格付け変更や見通しの変化を継続的にモニタリングする姿勢が、健全なポートフォリオ構築の第一歩となります。

R&I(格付投資情報センター)

R&I(格付投資情報センター)とは、「Rating and Investment Information, Inc.」の略で、日本の代表的な格付機関のひとつです。企業や金融機関、地方公共団体、国などが発行する債券に対して、その返済能力や信用リスクを評価し、格付という形で投資家に情報を提供します。たとえば、企業が社債を発行する際、R&Iはその企業の信用力を「AA」や「BBB+」などの等級で評価し、その結果は投資家の判断材料や資金調達コストに影響を与えます。R&Iの格付は日本の金融市場で広く用いられており、債券投資やリスク管理において重要な指標となっています。JCR(日本格付研究所)とともに、日本の格付制度を支える主要機関です。

JCR(日本格付研究所)

JCR(日本格付研究所)とは、「Japan Credit Rating Agency, Ltd.」の略で、日本国内に拠点を置く主要な信用格付機関の一つです。企業や金融機関、政府、地方自治体などが発行する債券などに対し、信用力を等級で評価し、投資家にとっての信用リスクを判断するための情報を提供しています。 たとえば、企業が社債を発行する場合、JCRがその信用度を「A」や「BBB+」などの形で示し、その格付が投資家の判断材料になります。JCRの格付は、日本の機関投資家に広く信頼されており、国内外の資金調達や債券投資において重要な役割を果たしています。R&Iと並び、日本を代表する格付機関として、多くの金融市場関係者に利用されています。

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