老後資金の準備で退職前に考えておくべきことはありますか?
解決済み
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2024/06/07 19:28
男性
40代
退職金や公的年金、確定拠出年金など老後資金に影響するものがこれから一気に押し寄せてきて、考えることがたくさんあります。老後資金の準備で退職前に考えておくべきことはありますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
老後資金の準備で最も重要なことは、まず生活費の見積もりを正確に行い、十分な資金が準備できるように計画を立てることです。
公的年金の支給額が減少傾向にある現在、自分で積極的に資産運用をしたほうが、定年後に安心して生活することができます。
金融庁の「市場ワーキング・グループ」が示したモデルケースでは、夫婦のみの無職世帯で収入が支出を毎月5万5000円下回り、30年間で2000万円の不足が生じると試算された、老後2000万円問題が話題になりました。2024年現在のように、インフレ(物価上昇)が続く場合、必要金額はより大きくなることが予想されます。
このように、市場の変化も踏まえながら、老後の生活費に対して極力正確な見積もりとそれに基づいた資金計画を立てることが重要です。
もし相談者様が、iDeCoや企業型DCなどの税制優遇を受けられる制度を活用されている場合、企業から受け取る退職金に加えて、これら確定拠出年金の一部、または全部を一時金として取得することも可能です。
確定拠出年金は、一時金として受け取る場合は退職金と合わせて退職所得控除の対象とすることが可能です。一方で、一時金として受け取らずに年金として受け取ることも可能です。一時金として受け取る場合は運用もそこで終了しますが、年金として受け取る場合は運用しながら切り崩していく形になるため、受け取れる総額は一時金よりも大きくなる可能性があります。
老後資金の準備を行う際には、税金も考慮した退職金や年金の手取り額を計算することで、収入支出の見積もりを行い、計画を立てることが重要です。
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確定拠出年金
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確定給付年金
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個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。