課税の繰り延べとはなんですか?
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2025/04/07 12:15
男性
60代
将来の資産形成を考える中で「課税の繰り延べ」という言葉をよく目にします。つみたてNISAや企業型DCなどの制度でも関係があるようですが、具体的にどのような仕組みなのか、どんなメリットがあるのかを教えてください。税制優遇を上手に活用したいので、わかりやすく解説いただけると助かります。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
課税の繰り延べとは、本来なら運用益が生じた瞬間に課される約20%の税金を、受取時まで先送りできる仕組みです。税金が後回しになるあいだは利益をそのまま再投資できるため、元本と運用益が膨らむ複利効果をフルに享受できます。イメージとしては「国から無利息で追加資金を借りながら投資している」状態をつくり出すものです。
代表的な制度が企業型DCとiDeCoで、掛金は全額所得控除、運用中の値上がりや配当・利息も非課税で複利運用され、受取時に初めて課税対象になります。しかも退職後など所得が下がる時期を選んで受け取れば、課税所得が小さくなり税率も抑えられるため、“今も将来も”節税インパクトを得やすい点が特徴です。
一方、つみたてNISAは「運用益そのものが最初から非課税」になる制度で、受取時も課税されません。「非課税=NISA」「課税の繰り延べ=DC・iDeCo」と整理すると覚えやすいでしょう。
課税の繰り延べは、現役期に節税しながら資産を大きく育て、リタイア後に比較的低い税率で取り崩すという二段構えで税負担を軽減できます。長期・積立・分散投資と相性が良く、毎月コツコツと資産を増やしたい人ほど威力を発揮する仕組みです。制度ごとの違いを理解しつつ、自身の退職時期や所得見通しに合わせて活用すれば、資産形成のスピードと安定感を大きく高められるでしょう。
関連質問
関連する専門用語
課税の繰り延べ
課税の繰り延べとは、税制の特例措置などを利用した場合に、課税を将来に先送りすることをいいます。 設備投資やエンジェル投資など、多額のキャッシュアウトが発生する場合、そこに課税されると瞬間的な費用負担が大きくなるという問題があります。課税を繰り延べることにより、キャッシュアウトを分散させることでキャッシュフローが安定する、という効果があります。 ただし、あくまでも先送りであって将来納税負担があることや、適用条件が様々に付与されていることに注意が必要です。
運用益
運用益とは、資産運用によって得られる利益のことを指します。主に株式や債券、不動産、投資信託、仮想通貨などの投資商品から得られる収益が含まれます。運用益には、売却益(キャピタルゲイン)と配当・利息収入(インカムゲイン)の2種類があります。市場の変動や経済状況により変動するため、安定した運用益を得るには分散投資やリスク管理が重要です。企業や個人投資家にとって、資産を増やすための重要な手段の一つとなっています。
企業型確定拠出年金 (企業型DC)
「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
非課税措置
非課税措置とは、特定の条件を満たす場合に税金の支払いが免除される制度のことを指します。資産運用においては、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などが代表的な例で、一定額までの運用益が非課税となります。また、相続税や贈与税の軽減措置としても適用されることがあり、資産形成や世代間の資産移転において有効な手段となります。適用要件や上限額を理解し、適切に活用することが資産管理の鍵となります。