資産管理会社を設立する際のデメリットは?
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2025/03/28 19:59
男性
40代
節税や相続対策にメリットがあると聞きますが、資産管理会社を設立することで発生するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?税務調査のリスクが高くなるとも聞きましたが、実際のところはどうなのでしょうか?また、維持費や運営上の手間についても知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
資産管理会社は節税・承継対策の切り札になり得ますが、以下のようなコストとリスクを負うことを踏まえて検討する必要があります。
設立・維持費用の重さ
合同会社でも登記・定款認証などで10万円超、株式会社なら20万円前後が初期費用です。設立後は法人住民税の均等割(年7万円〜)、税理士顧問料、会計ソフト、決算公告費用などが毎年固定で発生します。
事務負担と社会保険コスト
複式簿記による記帳と年次決算申告が必須です。役員報酬を支給すると会社負担分を含む社会保険料が追加され、実質的なキャッシュアウトが増えます。
税率メリットの逆転リスク
課税所得が年800万円未満の場合、法人の実効税率が個人より高くなるケースがあります。さらに法人利益を配当で引き出すと二重課税となり、期待した節税効果が相殺される恐れがあります。
税務調査・否認リスク
純粋な資産管理会社は国税当局から“形式のみ”と疑われやすく、家族役員の報酬や経費の実態を示せないと否認・追徴課税の対象になります。個人より調査頻度が高い前提で証憑管理とガバナンス体制を整備する必要があります。
資金流動性と出口コスト
法人名義資産は個人口座へ自由に移せず、解散・清算時には譲渡所得税や清算所得課税が発生する場合があります。設立直後は金融機関の与信が限定され、融資条件が不利になることもあります。
これらのデメリットを十分に補えるだけの所得規模、経費計上余地、長期運用期間がそろって初めてメリットが上回ります。設立前にシミュレーションを行い、税理士・弁護士など専門家の意見を踏まえて総合判断することを強くおすすめします。
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税務調査
税務調査とは、税務署などの税務当局が、個人や法人の申告内容が正確かどうかを確認するために行う調査です。収入や経費の記載、納税額に不備がないかを検証し、適切な課税が行われているかをチェックすることが目的です。 調査には、事前通知がある「任意調査」と、重大な脱税の疑いがある場合に裁判所の令状に基づいて行われる「強制調査(査察)」の2種類があります。一般の個人投資家や中小企業が対象となるのは、ほとんどが任意調査で、税務署職員が自宅や事務所を訪れ、帳簿や領収書などの資料を確認します。 資産運用の文脈では、株式の譲渡益、配当収入、海外口座の利子などの申告漏れや過少申告が調査の対象になることがあります。日頃から記録を整理し、適正な申告を行っていれば、過度に不安になる必要はありません。基本的な税知識を持ち、必要に応じて専門家に相談する姿勢が重要です。
資産管理会社
資産管理会社とは、不動産や株式などの資産を法人の名義で保有・管理し、それらから得られる賃料収入や配当金などによって利益を上げることを目的とした会社のことです。もともとは個人が持っていた資産を法人に移す、いわゆる「資産の法人化」によって設立されるケースが多く見られます。 このように資産を法人として持つことで、個人で所有していた場合と比べて税金面でのメリットを得られることがあります。たとえば、法人の方が税率が低くなることがあるため、収益が大きい場合にはトータルの税負担が軽くなる可能性があります。また、家族を役員にして給与を支払うことで所得を分散し、所得税を抑えるといった節税対策も可能になります。 さらに、資産管理会社を通じて不動産などの資産を保有することで、相続や事業承継の計画を立てやすくなるという側面もあります。個人名義で資産を持つよりも、法人として一括管理するほうが、将来的な引き継ぎや財産の分配を円滑に行いやすくなるのです。 ただし、税務メリットだけを目的に設立すると、かえって不利になる場合や、運営コストがかさむこともあります。そのため、資産管理会社をつくる際は、収益の規模や資産の種類、将来の相続までを見据えて慎重に検討することが大切です。
合同会社
合同会社とは、出資者(社員)が経営に直接関与できる法人形態で、出資者は有限責任を負います。設立手続きや維持費用が株式会社より簡易で、柔軟な運営が可能です。利益配分の自由度が高いことも特徴です。
株式会社
株式会社とは、株式を発行して資金を調達し、株主が出資した範囲内で責任を負う法人形態です。株主は、会社の経営には直接関与せず、取締役会が運営を行います。利益が出れば株主に配当が支払われます。
追徴課税
追徴課税とは、納税者が申告漏れや誤りによって本来納めるべき税額よりも少なく納税していた場合、税務署が追加で課す税金のことです。過少申告加算税、無申告加算税、重加算税など、状況に応じた種類があります。