債券の投資信託は意味がないと言われました。なぜでしょうか?
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2024/10/15 20:28
男性
50代
現在NISAで株式投資を行っています。GPIFのポートフォリオを参考に分散投資を行ったほうがいい、という話を聞いたので、債券投資に関心を持ちました。個別債券は購入に必要な金額が大きかったため、債券の投資信託を買ったほうが良いかなと思い調べていたのですが、債券は投資信託で買っても意味がない、と知人に言われました。<br>なぜか、専門家の知見を伺えますでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
債券ファンドが「意味がない」と評される主因は、個別債券特有のメリット――満期償還で額面が返ってくる確実性と、途中価格変動を無視できる心理的安心――が薄れる一方で、信託報酬などのコストが利回りを削る点にあります。とくに超低金利下では、粗利回りが1%台でも運用コストが年0.5%前後かかれば、手取り利回りはわずかしか残らず、「手数料負けしているだけ」と感じがちです。
しかし、債券ファンドには①少額で世界中の社債・国債に分散できる、②市場で日々売買できる流動性がある、③金利・デュレーション調整をプロに任せられる――という個別債券にはない利点があります。まとまった金額を用意できず、売買市場が乏しい社債を個人で一本買いするリスクを避けたい場合や、株式急落時のクッションを機動的に組み込みたい場合には、むしろ現実的かつ有効な選択肢です。結局、確定償還の安心を取るなら個別国債や債券ラダー、分散と流動性を優先するなら低コストの債券インデックスファンド――という目的別の使い分けに過ぎず、債券ファンド自体を一律に否定する根拠はありません。コスト・投資額・運用期間・リスク許容度を勘案し、ご自身のポートフォリオに最適な形で債券エクスポージャーを組み入れてください。
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GPIF
GPIFとはGovernment Pension Investment Fundの略で、日本の年金積立金管理運用独立行政法人のこと。預託された公的年金積立金の管理、運用を行っている。 年金保険料から集められた公的年金積立金は、厚生労働大臣の預託により、GPIFが信託銀行や投資顧問会社などの運用受託機関を通して国内外の債券市場や株式市場で運用し、運用収益とともに年金給付の原資としている。 公的年金という性質上、長期的に安全かつ効率的な観点が重視されますが、2014年度以降、運用改善の流れからリスク運用の比率が高まり、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%という基本ポートフォリオが組まれてきた。2020年4月から5年間の第4期中期目標期間においては、各25%ずつに変更されている。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
インカムゲイン(インカム)
インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。
個別債権
個別債権(こべつさいけん)とは、特定の債務者に対して特定の債権者が持つ債権のことを指します。これは、一般的な債権の一形態であり、具体的な金額や条件が明確に定められている債権です。個別債権は、特定の取引や契約に基づいて発生し、その債権の回収や管理が行われます。