ファミリーオフィスの設立費用とランニングコストはどれくらい?
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2025/03/25 19:35
男性
40代
ファミリーオフィスを設立・運営するためには、どの程度のコストがかかるのでしょうか?SFOとMFOでは費用の違いがどのくらいあるのか、また一般的なコストの内訳も知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ファミリーオフィスの設立・運営コストは、専属型のシングルファミリーオフィス(SFO)と共有型のマルチファミリーオフィス(MFO)で桁が大きく異なります。以下に目安と内訳を箇条書きでまとめます。
シングルファミリーオフィス(SFO)
一家族専用に組織を構える形式。意思決定速度やプライバシーを最優先できる反面、規模の経済が効かず高コストです。
- 設立費用:1,000万〜5,000万円(法人設立、システム導入、各種登録など)
- 年間運営費:1億〜5億円以上(総資産の0.5〜1.5%程度が目安)
- 人件費:CIOや投資・税務・法務スペシャリストの固定報酬・ボーナス
- オフィス賃料・設備費:1,000万〜3,000万円
- IT・サイバーセキュリティ:数百万〜数千万円
- 外部プロフェッショナル(監査、寄付アドバイス等):数百万〜数千万円
- 適合資産規模:総資産50億円以上が一般的な分岐点
マルチファミリーオフィス(MFO)
複数世帯が専門チームを共同利用するモデル。機密性はやや下がりますが、費用効率に優れ、導入障壁が低いのが特徴です。
- 初期費用:無料〜数十万円(契約事務手数料など)
- 年間サービス料:500万〜5,000万円前後(資産規模やサービス範囲に応じて段階設定)
- 投資管理、税務・相続対策、レポーティングなどをパッケージ提供
- 定額+成果報酬のハイブリッド課金が主流
- 主な利用層:総資産5億〜30億円程度の富裕層ファミリー
選択のポイント
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資産規模と複雑性
資産50億円を超え、事業・不動産・慈善活動など多岐にわたる場合はSFOが視野に入ります。
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家族の関与度とプライバシー
機密保持を最重視し、家族の独自方針を徹底したいならSFO。コストと専門性をバランスしたいならMFO。
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コスト対効果
サービス内容と費用を年率(AUM比)で比較し、長期ビジョンに合致するかを確認しましょう。
自家資産の規模と管理ニーズ、家族の価値観に応じて、SFOとMFOのどちらが資産保全・成長に最も適しているかを見極めることが肝要です。
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ファミリーオフィス
ファミリーオフィスとは、富裕層の家族や一族が保有する資産を管理・運用するための専門組織のことを指します。単一の家族を対象とする「シングルファミリーオフィス」と、複数の富裕層が共同で資産管理を行う「マルチファミリーオフィス」に分かれます。資産運用だけでなく、相続対策、税務管理、慈善活動(フィランソロピー)など、長期的な財産保全を目的とした総合的なサービスを提供する点が特徴です。特に、莫大な資産を持つ家族にとって、世代を超えた資産承継の戦略を策定する重要な役割を担います。
資産運用
資産運用とは、個人や法人が保有する資産を効率的に増やし、長期的な財産形成や資産の保全を行うための手段です。資産運用の目的には、資産の増加だけでなく、インフレ対策や安定した収益の確保、税負担の最適化などが含まれます。市場環境や経済状況の変化に対応しながら、適切な戦略を立てることが求められます。 資産運用の手段には、株式、債券、不動産、投資信託、保険商品などの伝統的な資産クラスに加え、コモディティ(貴金属やエネルギー資源)、暗号資産、ヘッジファンドやプライベートエクイティなどのオルタナティブ投資もあります。それぞれの資産クラスには異なるリスクとリターンの特性があり、目的に応じた選択が重要です。 リスク管理の手法として、分散投資やポートフォリオのリバランスが挙げられます。分散投資は、異なる資産クラスや地域、業種に投資することでリスクを抑える方法です。リバランスは、資産配分の比率を定期的に調整し、市場環境に応じたリスク最適化を図る手法です。また、デリバティブを活用したヘッジ戦略も、下落リスクの軽減に有効です。 資産運用の戦略には、短期・中期・長期の視点があります。短期運用では、市場の変動を利用したトレードやFX取引が中心となります。中期運用では、成長が期待される企業の株式やバランス型の投資信託などが選択肢となります。長期運用では、インデックス投資や高配当株、債券などを活用し、複利の効果を生かして安定した資産形成を目指します。 ライフステージに応じた資産運用も重要です。若年層ではリスク許容度が高いため、成長資産への投資が適しています。中高年層では資産の安定性を重視し、バランス型の運用が求められます。リタイア後は、定期収入の確保を目的とした債券や配当収入を中心とした運用が適しています。 資産運用を成功させるためには、市場動向を分析し、適切な資産配分を行うことが重要です。また、税制や法制度の変更にも注意を払い、長期的な視点で計画を立てることが求められます。税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家の助言を活用しながら、資産を守りつつ成長させる戦略を構築することが大切です。
シングルファミリーオフィス(SFO)
シングルファミリーオフィス(Single Family Office, SFO)とは、特定の一家族のみを対象とした資産管理の枠組みであり、富裕層の家族が自ら設立・運営するケースが一般的です。 長期的な資産運用に加えて、税務対策、相続・事業承継、家族構成員への教育支援、フィランソロピー活動の支援など、包括的かつ個別最適なサービスを提供します。 各家族の価値観や目標を反映した独自の運用方針を構築できる点が特徴であり、世代を超えた資産の管理・承継を目的とした体制として位置づけられます。
マルチファミリーオフィス(MFO)
マルチファミリーオフィス(Multi-Family Office, MFO)とは、複数の富裕層の家族が共同で利用する資産管理サービスの形態です。 投資管理をはじめ、税務対策、相続・事業承継、慈善活動(フィランソロピー)など、幅広い分野において専門的な支援を提供します。 複数の家族でサービスを共有することで、コストを分担しながら、高度で包括的なサポート体制を効率的に構築できる仕組みとなっています。
CIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)
CIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)とは、企業、機関投資家、ファミリーオフィスなどにおいて、資産運用に関する全体戦略の立案および統括を担う最高責任者です。 市場動向の分析やリスク評価を踏まえて、資産配分(アセットアロケーション)の方針を策定し、組織全体の投資判断や運用方針に対して方向性を示します。 また、外部の運用機関の選定・評価や、投資委員会との連携などもCIOの主要な業務に含まれます。