エンジェル税制における優遇措置Aと優遇措置Bの違いはなんですか?
エンジェル税制における優遇措置Aと優遇措置Bの違いはなんですか?
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2024/08/02 19:45
男性
30代
NISAのつみたて投資枠やiDeCoを使って積立投資を行っています。インデックスファンドを中心に安定しているため、少しリスクを取った投資もできればと考えています。最近スタートアップを政府が後押ししていること、税制優遇措置があることから、エンジェル投資に関心を持ちました。<br>優遇措置A、Bというのはどのような制度なのでしょうか?私のような一般的な会社員が使うとしたらどれを選んだら良いでしょうか?初歩的な質問で恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
スタートアップ投資で活用できるエンジェル税制は「優遇措置A」と「優遇措置B」の2種類で、最大の違いは投資額を差し引ける所得の種類です。
| 優遇措置A | 優遇措置B | |
|---|---|---|
| 控除できる所得 | その年の総所得金額(給与・事業・不動産などを合算) | その年の株式譲渡益 |
| 控除額 | 投資額-2,000円(上限:総所得金額の40%または800万円のいずれか低い方) | 投資額全額(上限なし) |
| 向いている人 | 給与など課税所得が多い人 | 株式売却益が多い人 |
給与所得が中心の会社員なら総所得から直接控除できる優遇措置Aが基本となり、当年の所得税・住民税を即時に圧縮できますが、あくまで課税の繰り延べであり将来の株式売却益には課税される点、投資時と確定申告時に証明書類の取得・提出が必要で手続きが煩雑な点を忘れないでください。スタートアップ投資は元本毀損リスクが高いので資産全体の5〜10%以内に抑え、コア資産はNISAやiDeCoで長期分散運用し、余裕資金の一部を優遇措置Aで投資する段階的アプローチが現実的です。
関連する専門用語
エンジェル税制
エンジェル税制とは、個人投資家が投資時・株式売却時に受けることができる税制上の優遇措置を定めた税制。ベンチャー企業に対する投資の促進を図る観点から国税庁によって定められている。ベンチャー企業に投資した年、未上場ベンチャー企業株式を売却して売却損益が発生した年にそれぞれ優遇措置を受けることができる。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
株式譲渡益
株式譲渡益とは、投資家が株式を売却した際に、取得価格を上回る価格で売れた場合に得られる利益のことを指します。この利益は譲渡所得として扱われ、一般的に税金が課されます。上場株式の譲渡益には約20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税率が適用されますが、非上場株式の場合は総合課税または分離課税を選択でき、税率は条件によって異なります。 株式を売却した際に生じた利益や損失は、他の株式や投資信託などの利益と損益通算が可能です。売却損が発生した場合は、確定申告をすることで3年間の繰越控除を受けることができます。また、NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用することで、一定の条件下で譲渡益に対する課税を免れることができるため、税制を考慮した投資戦略が重要となります。 株式の取得価格は、一般的に平均取得単価方式で計算されますが、相続や贈与を受けた場合にはみなし取得価格が適用されることがあります。また、取引口座には特定口座と一般口座があり、特定口座のうち源泉徴収ありを選択すると確定申告が不要になりますが、源泉徴収なしや一般口座を利用する場合は確定申告が必要となります。 売却のタイミングによっても税負担が変わるため、慎重に判断することが大切です。短期的な売買では頻繁に譲渡益が発生し、その都度税金がかかる可能性があるため、長期投資を行うことで税負担を抑える戦略が有効です。また、年末と年初では税金の計算年度が異なるため、売却時期を調整することで税負担を軽減できる場合があります。株式投資では、利益を追求するだけでなく、税制を理解しながら適切な売却戦略を立てることが、資産を効率的に運用する上で重要になります。
所得税
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
