証券会社のアナリストとCMA資格者は何が違いますか?
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2025/06/24 11:28
男性
30代
証券レポートを作成するアナリストは全員CMAだと思っていましたが、実際には違いがあると聞きました。セルサイドやバイサイドという呼び方とCMA保有の有無はどのように関係するのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
アナリストは大きく分けて「セルサイド」と「バイサイド」に分類されます。セルサイド・アナリストは証券会社に所属し、外部の投資家や機関投資家に向けて企業調査レポートを発信したり、株価の目標値や投資判断を示したりする役割を担います。一方、バイサイド・アナリストは運用会社や年金基金などに在籍し、自社の運用判断に必要な調査やモデル構築を行う、社内向けの専門職です。
この分類は業務の立ち位置や情報の提供先を表すものであり、CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)の保有有無とは直接の関係はありません。実際、アナリストとして活動している人でもCMAを保有していないケースは多く存在します。
CMAは、財務諸表分析、バリュエーション、マクロ経済、リスク管理などの専門知識を体系的に修得したことを示す資格です。そのため、セルサイド・バイサイド双方の現場で取得者が多く、企業のIR部門、金融機関、コンサル業界でも、分析力の証明として活用されています。
つまり、CMAは「アナリストの必須資格」ではないものの、定量的な分析力や理論的な説明力を求められる業務において、職種を問わず信頼性の高い肩書きとして位置づけられています。資格の有無によってアナリストの業務内容が決まるわけではありませんが、保有していることで専門性や説得力の強化につながるのは間違いありません。
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CMA(Chartered Member of the Securities Analysts Association of Japan)
CMAとは、「日本証券アナリスト協会認定アナリスト(Chartered Member of the Securities Analysts Association of Japan)」の略で、企業の財務内容や経済情勢、金融市場などを専門的に分析する高度な資格です。 取得には、日本証券アナリスト協会が主催する講座の修了と試験の合格が必要で、金融業界で高い専門性を証明する資格とされています。CMAの有資格者は、証券会社や運用会社、保険会社などで、企業分析、投資判断、資産運用戦略の立案などに関わるプロフェッショナルとして活躍しています。
セルサイド・アナリスト
セルサイド・アナリストとは、証券会社や調査会社に所属し、株式や債券などの金融商品の調査や分析を行い、その結果を顧客に提供する専門家のことを指します。彼らは企業の業績や業界動向を分析し、投資判断の参考となるレポートを発行します。主な顧客はファンドマネージャーや機関投資家などの「バイサイド」と呼ばれる投資家です。セルサイド・アナリストは、顧客に有用な情報を提供することで、証券会社の売買手数料や顧客関係の強化につなげる役割を担っています。なお、セルサイドの「セル」は「売る側」という意味で、金融商品を取引のために顧客に提案する立場を表しています。
バイサイド・アナリスト
バイサイド・アナリストとは、資産運用会社や保険会社、年金基金など、顧客の資金を運用する機関投資家の内部で働くアナリストのことを指します。彼らの主な役割は、企業や市場の分析を通じて、自社の運用判断を支援することです。 セルサイド・アナリストのレポートを参考にしつつも、自社の運用方針に基づいた独自の視点で調査を行います。バイサイドの「バイ」は「買う側」を意味し、実際に金融商品を購入して運用する立場であることが特徴です。セルサイドと異なり、分析結果を外部に公開することはなく、社内の運用チームに向けてのみ情報を提供します。
年金基金
年金基金とは、将来の年金支払いに備えて資金を積み立て、その資金を長期的に運用することで、年金受給者に安定した給付を行うことを目的とした機関や仕組みのことです。 企業が従業員の退職後の生活を支えるために設ける「企業年金基金」や、国や地方自治体が管理する「公的年金基金」などがあり、いずれも大量の資金を扱う長期投資家として、国内外の株式や債券、不動産、さらにはインフラやオルタナティブ資産など多様な資産に分散投資を行っています。 年金基金は長期的な視点で安定的なリターンを追求するため、リスクを抑えつつ資産の成長を目指す運用が求められます。個人投資家が資産運用を考える際にも、年金基金の運用姿勢は参考になるケースが多くあります。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
投資判断
投資家が株式や債券、不動産などの資産を売買または保有するかどうかを決定するプロセスです。企業の財務状況や業績見通し、業界トレンド、マクロ経済指標など、さまざまな情報を分析し、リスクとリターンのバランスを考慮しながら判断を下します。 短期的な値動きよりも企業の長期的成長性を重視する投資スタイルもあれば、テクニカル分析による短期売買を中心とする投資家も存在します。投資家自身のリスク許容度や資金計画、投資期間などによって最適な判断は異なるため、目的と手法を明確にすることが大切です。