GPIFのポートフォリオは個人でも参考になりますか?
GPIFのポートフォリオは個人でも参考になりますか?
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2024/08/05 20:59
男性
40代
資産運用においてGPIFのポートフォリオが参考になると聞きました。機関投資家の運用は個人でも参考になりますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券をおおむね4分の1ずつ保有し、長期保有と年1回程度のリバランスを原則に運用しています。この「長期・分散・低コスト・規律運用」の組み合わせは、個人投資家にとっても再現しやすい王道モデルです。
まず、短期の値動きではなく10年以上のスパンでリターンを狙う姿勢が重要です。世界中に分散されたインデックスファンドやETFを用いれば、GPIFと同質の分散効果をほぼ無コストで取り込めます。次に、GPIFの株式50%:債券50%という比率はあくまで平均的な基準にすぎません。値下がりリスクをより抑えたい場合は債券比率を高め、成長を優先したい場合は株式比率を増やすなど、自身のリスク許容度とライフプランに沿って配分を調整しましょう。
運用期間中は市場変動で比率が崩れます。一定の間隔で元の比率に戻すリバランスを行うことで、リスクの過度な集中を防ぎながら安定した複利効果を得られます。さらに個人の場合は、NISAやiDeCoの非課税メリット、生活防衛資金の確保、将来の支出予定といった要素も踏まえて設計することが不可欠です。
総じて、①長期視点、②世界分散、③低コスト商品、④ルールに基づくリバランスという4つの原則を守れば、GPIFの運用哲学は個人投資家でも十分に活用できます。
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関連する専門用語
GPIF
GPIFとはGovernment Pension Investment Fundの略で、日本の年金積立金管理運用独立行政法人のこと。預託された公的年金積立金の管理、運用を行っている。 年金保険料から集められた公的年金積立金は、厚生労働大臣の預託により、GPIFが信託銀行や投資顧問会社などの運用受託機関を通して国内外の債券市場や株式市場で運用し、運用収益とともに年金給付の原資としている。 公的年金という性質上、長期的に安全かつ効率的な観点が重視されますが、2014年度以降、運用改善の流れからリスク運用の比率が高まり、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%という基本ポートフォリオが組まれてきた。2020年4月から5年間の第4期中期目標期間においては、各25%ずつに変更されている。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
債券
債券(サイケン、英語表記:Bond)とは、発行者が投資家に対して将来一定の金額を支払うことを約束する金融商品です。 国や地方自治体、企業などが資金を調達する目的で発行し、投資家はこれを購入することで、定期的に利息(クーポン)を受け取ります。満期が来ると、投資した本金が返済されます。 債券はリスクが比較的低く、安定した収入を求める投資家に選ばれることが多いです。 また、市場で自由に売買が可能であるため、流動性も確保されています。債券市場は世界的にも広がりを見せており、多様な投資戦略に利用されています。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。



