ホームインスペクションは誰が何を診断する?
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2025/07/31 08:17
男性
30代
最近、中古住宅の購入を検討中で、不動産会社からホームインスペクションを勧められました。具体的にどのような専門家が住宅をチェックしているのか、調査内容はどの程度詳しく信頼できるものなのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ホームインスペクションとは、主に建築士資格を持つ「既存住宅状況調査技術者」や、民間資格の「ホームインスペクター(住宅診断士)」が中立の第三者として行う住宅診断サービスです。
調査では、屋根・外壁・基礎・床下・小屋裏のひび割れや腐食、傾きなどの構造的な問題に加え、室内の建具や床の水平性、給排水設備・電気設備の動作状況、雨漏り跡などを丁寧に確認します。壁や床を壊さない「非破壊検査」が基本で、赤外線カメラやレーザー水平器、ファイバースコープなどを活用し、隠れた欠陥や浸水経路、断熱性能の欠損状況なども推測します。
調査後には、問題箇所の有無やその重大性に加えて、将来的な修繕費用や修繕時期を明示した詳細な報告書が提供されます。この報告書は物件購入時の価格交渉や、資金計画を立てるための重要な根拠資料となります。
費用の目安は、戸建てで5〜10万円程度、マンションで4〜7万円程度で、建物の規模や診断項目によって変動します。さらに、調査結果が一定の基準を満たせば「中古住宅瑕疵保険」へ加入可能となり、雨漏りなど隠れた欠陥への保証が得られることも大きなメリットです。
ホームインスペクションは将来的な修繕リスクやコスト、資産価値変動の可能性を可視化する住宅購入時の「健康診断」として、実務的にはローン手数料などと同様に必須経費として考えることが一般的です。
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関連する専門用語
ホームインスペクション
ホームインスペクションとは、住宅の購入や売却の際に、専門の建築士などが建物の状態を調査・診断することを指します。主に中古住宅で利用されることが多く、屋根や外壁、基礎、配管、電気設備などが適切に機能しているか、安全性に問題がないかなどをチェックします。これにより、購入後に思わぬ修繕費が発生するリスクを事前に減らすことができます。不動産投資においては、物件の価値や将来の維持コストを判断するうえで、非常に重要な手続きのひとつです。 初心者の方にとっては、物件の見た目だけで判断せず、ホームインスペクションの結果を活用することで、安心して投資判断ができるようになります。
ホームインスペクター(住宅診断士)
ホームインスペクター(住宅診断士)とは、住宅の劣化や不具合、安全性などを専門的に調査・診断する職業のことです。住宅購入や売却の際に、第三者の立場から建物の状態をチェックし、その結果を依頼者に報告します。外壁、屋根、床下、配管、設備など、目に見える範囲を中心に調査を行い、購入後に大きな修繕費がかからないかどうかの判断材料を提供してくれます。 資格としては「JSHI認定ホームインスペクター」や「既存住宅状況調査技術者」などがあり、多くの場合は建築士の資格もあわせて持っています。投資用物件の購入においても、建物の状態を正確に把握することは、資産価値を維持し、予期せぬ出費を防ぐために不可欠であり、ホームインスペクターはそのサポート役として重要な存在です。
既存住宅状況調査技術者
既存住宅状況調査技術者とは、中古住宅の状態を調査・診断するための専門資格を持った技術者のことです。建築士の資格を有しており、一定の講習を修了した者がこの資格を取得できます。この技術者は、住宅の劣化や不具合の有無、安全性に問題がないかを客観的に調べる役割を担っています。 国の制度に基づき、特に不動産の売買時に行う「既存住宅状況調査(インスペクション)」を実施できる唯一の資格者であり、買主や投資家が安心して住宅を購入するための判断材料を提供してくれます。資産運用の観点では、物件選びの精度を高め、思わぬ出費や損失のリスクを減らすために重要な存在です。
非破壊検査
非破壊検査とは、建物や構造物などを壊さずに、その内部や表面の状態を調べる検査方法のことです。住宅や不動産の分野では、ひび割れ、腐食、雨漏りの原因、配管の劣化などを確認する際に活用されます。たとえば、赤外線カメラや超音波機器、ファイバースコープなどを用いて、目に見えない部分の不具合を検出することができます。 この検査は建物の価値を損なわずに行えるため、購入前の調査や長期的な維持管理にとって非常に有効です。投資用物件においても、想定外の修繕リスクを把握するために活用されることがあり、収益性と安全性を高める手段として重視されています。
中古住宅瑕疵保険
中古住宅瑕疵保険とは、中古住宅の売買において、売買後に見つかった見えない欠陥(瑕疵)に対して補修費用などを補償するための保険制度です。この保険は、国が指定した保険法人によって提供されており、基礎・屋根・外壁・給排水管などの重要な部分に不具合があった場合に、保険金が支払われます。 買主が安心して中古住宅を購入できるようにするための仕組みであり、特にインスペクションを受けた住宅であれば、保険加入の条件を満たしやすくなります。さらに、瑕疵が見つかった際に売主や不動産業者に対して請求できない場合でも、保険によって一定の補償が得られるため、投資家にとってもリスク管理の一環として非常に有効です。
デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、企業の買収や投資、不動産取引などを行う前に、対象となる資産や企業の実態を詳しく調査・分析する手続きのことです。特にM&A(合併・買収)の場面で使われることが多く、買い手側がリスクを見極め、適正な価格で取引を行うために実施されます。調査の内容は多岐にわたり、財務内容、法的リスク、税務、労務、知的財産、環境リスクなどが含まれます。専門家(弁護士、公認会計士、税理士など)が関与し、客観的な情報に基づいた意思決定を支援します。デューデリジェンスによって得られた情報は、契約条件の調整や、将来のトラブル回避、最終的な投資判断に大きな影響を与えるため、非常に重要な調査工程とされています。