退職後の健康保険はどうするのがいいですか?例えば、任意継続はするべきでしょうか?
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2025/09/08 09:09
男性
50代
会社を退職した後の健康保険の選択について迷っています。任意継続保険に加入するべきか、それとも国民健康保険に切り替えた方がよいのか、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて選び方を教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
退職後の健康保険には、大きく分けて「任意継続健康保険」と「国民健康保険」の2つの選択肢があります。どちらを選ぶかは、主に保険料の水準、扶養家族の有無、医療費負担割合などを比較して判断する必要があります。
任意継続は、退職前に加入していた健康保険を最長2年間継続できる制度です。メリットは、扶養家族も含めて継続でき、医療費の自己負担割合が現役と同じ3割で済む点です。ただし、会社負担がなくなるため、保険料は全額自己負担となり、場合によっては在職中の2倍近くになることもあります。
一方、国民健康保険は市区町村が運営する制度で、前年の所得に応じて保険料が決まります。収入が大幅に減少する場合には保険料が抑えられることもあり、任意継続より負担が軽くなるケースもあります。ただし、国民健康保険には傷病手当金などの制度がない点はデメリットです。
判断のポイントとしては、①退職後の収入見込み(大幅に減るなら国保が有利)、②扶養家族の有無(家族が多い場合は任意継続が有利になりやすい)、③保険料の試算(市区町村窓口や健康保険組合で確認可能)の3点が重要です。短期的に2年間だけ負担を抑えたいのか、それとも長期的な負担を考えるのかによって、最適な選択が変わります。
関連する専門用語
任意継続
任意継続とは、会社を退職したあとも、一定の条件を満たせば引き続きその会社の健康保険(健康保険組合や協会けんぽ)に最長2年間まで加入し続けられる制度のことです。通常、退職すると会社の健康保険の資格を喪失しますが、任意継続を選べば、退職後も同じ健康保険証を使って医療を受けることができます。 この制度を利用するには、退職日の翌日から20日以内に申請する必要があり、保険料は全額自己負担(会社負担分も含む)となる点に注意が必要です。任意継続は、年齢や持病などの理由で国民健康保険よりも保険料が安くなる場合があるため、比較検討して選ぶことが大切です。
国民健康保険
国民健康保険とは、自営業者やフリーランス、退職して会社の健康保険を脱退した人、年金生活者などが加入する公的医療保険制度です。日本ではすべての国民が何らかの健康保険に加入する「国民皆保険制度」が採用されており、会社員や公務員が加入する「被用者保険」に対して、それ以外の人が加入するのがこの国民健康保険です。 市区町村が運営主体となっており、加入・脱退の手続きや保険料の納付、医療費の給付などは、住民票のある自治体で行います。保険料は前年の所得や世帯の構成に応じて決まり、原則として医療機関では医療費の3割を自己負担すれば診療を受けられます。病気やけが、出産などの際に医療費の支援を受けるための基本的な仕組みであり、フリーランスや非正規労働者にとっては重要な生活保障となる制度です。
扶養家族
扶養家族とは、生活費を自分で負担することが難しく、家計を支える人(扶養者)が経済的に援助する家族のことを指す。一般的には、配偶者、子ども、高齢の親などが含まれる。 扶養家族がいる場合、家計の支出が増えるため、収入の安定性や将来の生活設計が重要となる。特に、教育費や医療費などの長期的な支出を考慮し、資産運用のリスクを適切に管理する必要がある。 税制上の扶養控除の対象になる場合もあり、世帯の収入や税負担に影響を与える要素の一つとなる。
保険料
保険料とは、保険契約者が保険会社に対して支払う対価のことで、保障を受けるために定期的または一括で支払う金額を指します。生命保険や医療保険、損害保険など、さまざまな保険商品に共通する基本的な要素です。保険料は、契約時の年齢・性別・保険金額・保障内容・加入期間・健康状態などに基づいて算出され、一般にリスクが高いほど保険料も高くなります。 また、主契約に加えて特約(オプション)を付加することで、保険料が増えることもあります。保険料は、契約を維持し続けるために必要な支出であり、未納が続くと保障が失効する場合もあるため、支払計画を立てることが大切です。資産運用の観点からも、保険料の支払いが家計に与える影響や、保障と費用のバランスを見極めることは、ライフプラン設計において重要な判断材料となります。
傷病手当(しょうびょうてあて)
傷病手当(しょうびょう)とは、会社員などが病気やけがで働けなくなり、給与の支払いを受けられない場合に、健康保険から支給される所得補償の制度です。原則として、連続する3日間の待期期間のあと、4日目以降の働けなかった日から、最長で1年6か月間支給されます。 支給される金額は、休業前の標準報酬日額の約3分の2に相当する額とされており、就労不能による収入減少を一定程度カバーする役割を果たします。対象となるのは健康保険に加入している被保険者(主に会社員など)で、国民健康保険には原則としてこの制度はありません。なお、同時に傷病手当金を受け取りながら、会社から給与が支給された場合は、差額調整が行われることがあります。短期的な就労不能時の生活安定を図るための、大切な公的保障の一つです。
医療費の自己負担割合
医療費の自己負担割合とは、病院や薬局でかかった医療費のうち、患者自身が実際に支払う部分の割合のことをいいます。日本では公的医療保険制度によって医療費の多くがカバーされており、残りを患者が負担します。一般的に小学生までの子どもや高齢者は負担割合が低く設定されており、現役世代は3割負担が基本です。 この割合は年齢や所得によって変わる仕組みになっているため、自分がどの区分に当てはまるのかを把握しておくことが大切です。資産運用や家計管理においても、医療費の自己負担割合を知っておくことで、将来の医療費に備えた計画が立てやすくなります。