投資信託はプロが運用するのになぜ損をするの?
投資信託はプロが運用するのになぜ損をするの?
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2025/02/07 15:21
男性
40代
投資信託はプロのファンドマネージャーが運用してくれると聞きました。それなら、なぜ大損する人がいるのでしょうか?プロが運用しているのに失敗する理由や、リスクを減らすためのポイントを教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
投資信託で損失が生じる主因は「市場リスク」「方針リスク」「コスト負担」の三つに集約されます。
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市場リスク(システマティックリスク)
どんな名手でも世界同時株安の波は避けられません。リーマン・ショック(2008年)やコロナ禍初動(2020年3月)のように市場全体が瞬時に沈む局面では、プロの裁量よりもマクロの潮流が基準価額を左右します。
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方針リスク(アクティブリスク)
テーマ型・セクター集中型・レバレッジ型などは、当たり外れの振れ幅が大きい商品です。好相場では指数を上回りますが、風向きが変われば下落も指数以上。方針とリスク許容度が合わないと「想定外の大損」になりやすい点に注意が必要です。
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コスト負担と投資行動
信託報酬や販売手数料が高いほど、同じ運用成績でも手取りリターンは削られます。また、短期売買や高値掴み・安値売りといった「投資家自身の行動コスト」も成績を悪化させる隠れた要因です。
損失を抑える4つの鉄則
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低コストを徹底
eMAXIS Slimやニッセイシリーズなど、信託報酬0.2%未満のインデックス型を軸に。販売手数料は必ずノーロードを選びましょう。
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分散と資産配分
株式・債券・REIT・金など複数アセットに分散し、自分の許容リスク内で基本配分(ポートフォリオ)を決定。1本で分散できるバランス型や全世界型インデックスも有効です。
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ドルコスト平均法の活用
毎月一定額の積立購入で取得単価を平準化し、高値掴みのリスクを緩和。相場急落時も自動で買い増すため、感情的な売買を抑えられます。
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長期ホールド&定期リバランス
3~5年以上の保有を前提に、年1回を目安に資産配分を点検。膨らんだ資産クラスを売り、落ち込んだ資産クラスを買い増す「逆張りリバランス」でリスクを一定に保ちます。
これらを守れば、プロの運用力を活かしつつリスクをコントロールし、中長期で「負けにくい」資産形成が期待できます。
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テーマ型投資信託
テーマ型投資信託は、特定のテーマやトレンドに基づいて構築されたポートフォリオを持つ投資ファンドです。これらのファンドは、技術革新、人口動態の変化、環境保護、健康増進など、特定のテーマに焦点を当てた投資を行います。投資対象は、そのテーマに直接関連する企業や業界に限られることが多く、市場全体の動向よりも、選ばれたテーマが持つ成長ポテンシャルを追求します。 テーマ型投資信託は、投資家にとって魅力的な成長セクターへの露出を提供することで、特定の経済的、社会的トレンドから利益を得る機会を提供します。これにより、従来の市場指数に依存することなく、よりダイナミックな投資戦略を展開することが可能になります。ただし、これらのファンドは、特定のテーマに依存することから、そのテーマが市場からの支持を失うとリスクが高まる可能性もあります。そのため、テーマ型投資信託に投資する際には、テーマの選定理由や将来性をよく理解し、リスク管理を徹底することが重要です。
レバレッジ
レバレッジとは、借入金や証拠金取引など外部資金を活用して自己資本以上の投資規模を実現する手法です。利益の拡大が期待できる一方、市場の下落や金利の変動で損失が膨らみやすく、追加証拠金(追証)が必要になる場合やロスカットが発生するリスクも高まります。 また、借入金利や手数料などのコストが利益を圧迫する可能性があるため、ポジション管理やヘッジ手法を含めたリスク管理が不可欠です。レバレッジによる損益変動幅が大きくなることで精神的な負担も増えやすい点にも注意が必要です。最終的には、投資目的やリスク許容度を考慮し、適切なレバレッジ水準を設定することで、資産運用の効率を高めつつリスクを抑えることが重要となります。
ノーロード
ノーロードとは、投資信託などの金融商品を購入する際に「購入手数料がかからない」という特徴を表す言葉です。通常、投資信託を買うときには購入金額の一定割合が手数料として差し引かれることがありますが、ノーロード型の投資信託ではその手数料がゼロになっています。そのため、投資した金額のすべてを運用に回すことができ、コスト面で有利になります。特に長期投資を考える初心者にとっては、手数料の負担が少ないことは大きなメリットといえます。ただし、ノーロードでも信託報酬などの運用中にかかる費用はあるため、商品の内容をしっかり確認することが大切です。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。

