Loading...

MENU

投資の知恵袋>

物価連動国債は安定志向の資産運用に向いている?

回答受付中

0

2025/02/01 11:50


男性

60代

question

私は現在、リスクを抑えながら3%程度のリターンを目指しています。物価連動債はインフレ対策として有効と聞きましたが、安定志向の資産運用に適しているのでしょうか?元本割れリスクや金利上昇時の影響など、メリット・デメリットを知りたいです。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

物価連動国債(インフレ連動国債)は、消費者物価指数(CPI)に合わせて元本と利息が自動調整されるため、インフレ局面でも実質購買力が目減りしにくいのが最大の利点です。さらに「フロア」と呼ばれる額面100の元本保証があるため、長期保有すればデフレで大幅に元本が毀損するリスクは限定的です。ただし安定的に年3%程度の利回りを狙うという観点では、いくつか注意が必要です。価格を動かす主因は名目金利ではなく実質金利であり、名目金利が上昇しても市場のインフレ期待(ブレークイーブンインフレ率=BEI)が追いつかなければ債券価格は下落し、途中売却時に損失が出る恐れがあります。また利払い額そのものも CPI の動きに左右されるため、低インフレ期や一時的なデフレ局面ではクーポン収入が想定を下回る可能性があります。加えて、市場流動性は固定利付国債ほど厚くなく、投資単位が10万円からと大きめで分散しづらい点も実務上のハードルです。したがって物価連動国債は、ポートフォリオ全体の5〜15%程度を目安に「インフレ対策の保険」として組み込むのが現実的でしょう。そのうえで流動性確保のために個人向け固定・変動国債や国際分散債券ファンドを組み合わせ、目標リターン3%超を安定的に達成するためには高格付け社債や世界株式・REITなども併用し、NISAや iDeCo の非課税枠で税コストを抑えると効果的です。結論として、物価連動国債は「インフレに備える安全装置」と位置づけ、金利と物価の見通しを定期的に点検しながら保有比率を微調整することをおすすめします。

佐々木 辰さんに相談する

関連記事

物価連動国債がインフレに強い仕組み

物価連動国債はなぜインフレに強い?仕組み・メリット・デメリットを徹底解説

2025.03.29

難易度:

基礎知識資産寿命ポートフォリオ運用債券インフレ対策

関連質問

関連する専門用語

物価連動国債

物価連動国債は、元本を全国消費者物価指数(コアCPI)に連動させ、実質固定利率を調整後元本に掛けて利息を計算する国債です。たとえば表面利率0.2%の10年債なら、物価が2%上昇して元本が102円に増えれば利息も0.204円に増えます。逆にデフレが進んでも元本は額面100円を下回らないフロアが設けられており、元本毀損は限定的です。ただしCPIは公表にタイムラグがあり、発行から利払いまで概ね3か月遅れて反映されるため、急激なインフレ局面では追随がやや遅れます。 税制上は名目利息に加え、元本調整で増えた分も利子所得として課税されるため、実質利回りより手取り利回りが低くなる傾向があります。また日本の物価連動国債市場は発行量が少なく流動性が限られるため、価格が振れやすい点にも注意が必要です。 投資判断では、同じ年限の名目国債利回りとの差で算出するブレークイーブン・インフレ率を確認し、市場が織り込むインフレ期待と照らして割高・割安を見極めます。インフレヘッジの有力手段である一方、指数ラグや流動性、税務コストも踏まえ、ポートフォリオ全体の資産配分を検討することが大切です。

国債

発行体が各国中央政府の債券を国債といいます。発行目的や利払い方式などで種類が分別されます。中央政府に資金需要が発生した際に、国債を発行して資金の調達を行うことがあります。 投資家は国債を購入することで、発行体である中央政府へ資金を提供し、その見返りとして半年に1回などのペースで、中央政府から利子を受け取ります。償還期限までに中央政府の財政が悪化するなど、債務が履行されない状況に陥らなければ、満期には額面どおりの金額が投資家へ償還される仕組みです。 国債には、固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債などがあります。

全国消費者物価指数(コアCPI)

日本の物価動向を示す指標で、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を測る。物価連動債では、生鮮食品を除いた総合指数(コアCPI)に基づいて元本や利払い額が調整される。

変動利付国債

市場金利の変動に応じて利率(クーポン)が変動する国債。一定期間ごとに利率が再設定され、金利上昇時には利払い額が増加するが、金利が低下すると利払い額も減少する。

ブレークイーブンインフレ率(BEI)

ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は、同じ残存期間の固定利付国債(名目債)の利回りから物価連動国債(実質債)の利回りを差し引いた値で、市場が織り込む平均インフレ率を示す“温度計”です。たとえば10年債で名目2.0%、実質0.8%ならBEIは1.2%となり、「今後10年間で年平均1.2%の物価上昇」が示唆されます。代表年限は5年と10年で、短期・長期の水準差を見るとインフレ期待の強弱が読み取れます。 BEIが上昇するとインフレ懸念が強まり、物価連動債やコモディティ、REITなど実物資産が相対的に有利になる可能性があります。逆に低下、あるいはマイナス圏入りはデフレ懸念を映し、長期固定債やキャッシュ比率を高める判断材料になり得ます。ただし流動性の乏しさやインフレリスクプレミアムの影響で、BEIは純粋な期待インフレ率から数十bp乖離することもあります。米国TIPS、欧州ILB、日本JGBiの水準を横比較し、中央銀行の見通しや原油価格と併せて確認すると、より立体的にインフレ動向を把握できます。

インフレ(インフレーション)

インフレーションとは、物価全体が持続的に上昇し、その結果、通貨の購買力が低下する現象です。経済活動が活発になり、需要が供給を上回ると価格が上昇しやすくなります。また、生産に必要な原材料費や人件費の上昇が企業のコストに転嫁されることで、さらに物価が上昇することがあります。適度なインフレーションは経済成長の一側面とされる一方、過度な物価上昇は家計の負担を増大させ、経済全体の安定性を損なうリスクがあるため、中央銀行は金利操作などの金融政策を通じてインフレーションの抑制に努めています。

無料で相談してみる

専門家に相談してみませんか?

無料で相談してみる

投資の知恵袋では、あなたの投資や資産に関する疑問や悩みを専門のアドバイザーに気軽に相談することが可能です。
ぜひご利用ください。

専門家に質問してみる

関連質問

関連記事

物価連動国債がインフレに強い仕組み

物価連動国債はなぜインフレに強い?仕組み・メリット・デメリットを徹底解説

2025.03.29

難易度:

基礎知識資産寿命ポートフォリオ運用債券インフレ対策
bond-investment-introduction01

債券投資入門~債券投資の仕組みや気をつけるポイント

2025.06.27

難易度:

インカムゲイン基礎知識ポートフォリオ運用ジャンク債債券投資

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.