アメリカの雇用統計がなぜ株価に影響するのですか?
アメリカの雇用統計がなぜ株価に影響するのですか?
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2024/09/19 20:33
男性
40代
最近、新NISAをきっかけに株取引を始めました。保有していた株が、急に大きく変動して損をしてしまったため泣く泣く損切りしました。どうやら、アメリカの雇用統計が発表され、その数字が悪かったために株価が下落した、ということでした。アメリカの雇用統計が株価に影響するのはなぜでしょうか?理由を教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
アメリカの雇用統計は非農業部門雇用者数・失業率・平均時給などを通じて世界最大の経済の体温を測る指標であり、結果が市場予想とかけ離れると景気見通し・個人消費・FRBの金融政策という三つのレイヤーが同時に修正されると見なされます。予想を上回る強い数字は賃金上昇と消費拡大を連想させる一方、インフレ圧力と利上げ観測が強まるため、将来キャッシュフローを割り引く際の金利上昇懸念から株が売られることがあります。逆に弱い数字は企業業績悪化や消費減速への警戒で株価を押し下げるケースが多く、いずれの場合も金利見通しの変化を介して株式・債券・為替に資金が大きく移動します。米ドルが基軸通貨であり米企業が世界経済と深く結び付いているため、この影響は日本を含む海外市場へも瞬時に波及し、毎月第一金曜の発表前後はボラティリティが高まりやすい点に注意が必要です。短期の値動きに翻弄されないよう、事前にリスク許容度を把握し、分散投資と長期視点を軸にポートフォリオを設計することをおすすめします。
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米国雇用統計
米国雇用統計とは、アメリカの労働市場の状況を示す経済指標の一つであり、毎月第一金曜日に米国労働省が発表する。非農業部門雇用者数(NFP)、失業率、平均時給などが主要なデータとして含まれ、米国経済の動向を判断する重要な指標とされる。市場では、雇用統計の結果が予想と異なると、株価や為替市場に大きな影響を与えることがある。特にFRB(米連邦準備制度)が金融政策を決定する際の重要な参考指標となるため、投資家や経済専門家の注目度が高い。
FRB(Federal Reserve Board/米連邦準備制度理事会)
FRB(Federal Reserve Board、米連邦準備制度理事会)は、米国の中央銀行制度であるFRS(Federal Reserve System)の中核をなす組織である。FRSは、ワシントンD.C.にあるFRB(理事会)と、全米に分布する12の地区連邦準備銀行(連銀)から構成される。 FRBの主な役割は、金融政策を通じて米国経済の安定を図ることであり、その目的として「最大雇用(Maximum Employment)」と「物価の安定(Stable Prices)」という2つの目標(デュアルマンデート)を掲げている。これらの目標を達成することで、米国経済の持続的な成長を促す。 FRBは、日本の日本銀行に相当する機関であり、政府から独立した中央銀行として運営されている。ただし、完全に独立しているわけではなく、議会に対して定期的に金融政策の報告を行うなど、説明責任を負っている。
金融政策
金融政策とは、中央銀行が物価の安定や景気の安定を目指して、金利や通貨の供給量を調整する政策のことです。 中央銀行は、景気が過熱しすぎてインフレが進まないようにブレーキをかけたり、景気が落ち込んだときには刺激策として金融緩和を行ったりして、経済全体のバランスを保とうとします。 主な金融政策の手段には、以下のようなものがあります: - 政策金利の操作(利下げ・利上げ):短期金利を上下させて、消費や投資を刺激・抑制します。 - 公開市場操作:中央銀行が国債などを売買することで、市場の資金量を調整します。 - 預金準備率の変更:銀行が中央銀行に預ける準備金の割合を調整することで、貸し出し可能な資金量をコントロールします。 金融政策は、株式や債券、為替市場にも大きな影響を与えます。たとえば、利下げが行われれば企業の資金調達コストが下がり、株価の上昇要因となる一方で、金利低下により通貨が下落しやすくなることもあります。 このように、金融政策の動向は資産運用において非常に重要なファクターであり、中央銀行の声明や会合の結果には多くの投資家が注目しています。
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

