Loading...

米国雇用統計とは?失業率・非農業部門雇用者数の見方と株価・為替への影響をわかりやすく解説

投資のガイド

Guide

us-jobs-report

米国雇用統計とは?失業率・非農業部門雇用者数の見方と株価・為替への影響をわかりやすく解説

難易度:

執筆者:

公開:

2024.03.18

更新:

2026.09.15

# 基礎知識# ポートフォリオ運用# 経済指標# 企業価値

米国雇用統計の発表を前に、確認すべき数字や、発表後のドル円・株価の動きが気になる方も多いでしょう。ただし、雇用者数の増減だけでは相場の方向は判断できず、市場予想との差や金利見通しも確認する必要があります。この記事では、米国雇用統計について、発表日程・日本時間と主要指標の見方から、結果と市場予想の比較、株価・為替への影響、発表前後のポジション管理の注意点までを具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、雇用者数・失業率・平均時給を確認するポイントと、市場予想との差や過去分の改定が相場に影響する仕組みを理解できます。さらに、発表日時と結果を確認し、金利見通しや過去の反応パターンを踏まえて値動きを考えられるようになります。短期売買では取引量や注文条件を、長期投資では資産配分を点検するなど、自分の投資期間に合った対応を判断するための視点が得られます。

続けてガイドを読む関連する質問を探す

目次

米国(アメリカ)の雇用統計とは?発表機関と2つの調査

発表するのは米国労働省の労働統計局(BLS)

事業所調査と家計調査の違い

雇用統計が重要視される理由:FRBの金融政策との関係

FRBは「最大雇用」と「物価の安定」の2つを目標にしている

2026年の政策金利と雇用統計の位置づけ

米国雇用統計が株価・金利・為替に与える影響

基本パターン:結果が強いと金利上昇・ドル高になりやすい

「良い結果=株高」とは限らない

相場を動かすのは「結果」より「市場予想との差」

過去の例:雇用統計をきっかけに相場が急変した局面

米国雇用統計を見るときの4つの注意点

速報値は翌月以降に改定される

年に1回の「ベンチマーク改定」で大きく修正される

単月ではなく3か月平均などで流れを見る

ほかの雇用関連指標とあわせて確認する

米国雇用統計の発表日程と日本時間【2026年】

2025年10月分は政府閉鎖で失業率が発表されなかった

最新の米国雇用統計(2026年8月分)の結果

直近12か月の雇用者数と失業率の推移

アメリカの失業率の種類:U-1〜U-6の違い

米国雇用統計で見るべき5つの主要データ

非農業部門雇用者数(NFP):企業が雇った人数の増減

失業率:労働力人口に占める失業者の割合

平均時給:賃金の伸びとインフレの手がかり

労働参加率:働く意思がある人の割合

前月・前々月の改定値:過去分の修正

アメリカの失業率と日本の失業率の違い

個人投資家は米国雇用統計とどう付き合うべきか

長期投資家は「景気の現在地」を知る材料として使う

外貨建て資産を持つ人は為替の変動に備える

FXなど短期売買をする人は発表前後の急変動に注意する

米国(アメリカ)の雇用統計とは?発表機関と2つの調査

米国雇用統計とは、米国労働省の労働統計局(BLS)が毎月発表する、労働市場の状況を示す経済指標です。正式名称は「Employment Situation(雇用状況)」で、日本では「米雇用統計」とも呼ばれます。ここでは、発表機関と調査の仕組みを確認します。

発表するのは米国労働省の労働統計局(BLS)

雇用統計を作成・公表しているのは、米国労働省の労働統計局(Bureau of Labor Statistics:BLS)です。雇用者数や失業率、賃金など多くのデータが1本の報告書にまとめて公表されます。

雇用統計は、米国全体の雇用と賃金の動きを毎月いち早く示すデータです。個人消費がGDPの大半を占める米国では、雇用と賃金の動向がそのまま景気の先行きを占う材料になります。

事業所調査と家計調査の違い

米国雇用統計は、企業側に聞く「事業所調査」と、世帯側に聞く「家計調査」という2つの調査で構成されています。調査対象と得られるデータが異なるため、違いを押さえておきましょう。

項目事業所調査(CES)家計調査(CPS)
調査対象約11.9万の企業・政府機関(約62.2万事業所)約6万世帯
調査の実施者労働統計局(BLS)国勢調査局が実施し、BLSが集計
調査の基準期間毎月12日を含む給与支払期間毎月12日を含む週
主なデータ非農業部門雇用者数、平均時給、平均週労働時間失業率、労働参加率、U-1〜U-6
見ている側面企業がどれだけ人を雇っているか(労働需要)人々が働いているか、職を探しているか(労働供給)
米国雇用統計を構成する2つの調査

市場がもっとも注目する「非農業部門雇用者数」は事業所調査、「失業率」は家計調査から算出されます。調査対象が異なるため、雇用者数は増えたのに失業率も上がる、といった一見矛盾した結果が出る場合もあります。

出典:米国労働統計局(BLS)「Employment Situation Technical Note」

雇用統計が重要視される理由:FRBの金融政策との関係

数ある経済指標のなかで雇用統計が特別視されるのは、FRBの政策金利の判断に直結するためです。FRBの金利政策は米国だけでなく、世界の株価や為替に波及します。ここでは、雇用統計とFRBの関係を整理します。

FRBは「最大雇用」と「物価の安定」の2つを目標にしている

FRBは米国議会から、「最大雇用」と「物価の安定」という2つの目標を与えられています。これがデュアルマンデート(二重の責務)です。物価の安定については、長期的にインフレ率2%を目標としています。

  1. 雇用が弱まれば利下げで景気を支え、雇用が強すぎて物価が上がれば利上げで抑える、というのが基本的な考え方です。雇用統計は、2つの目標のうち「最大雇用」の達成度を測る中心的なデータになります。

出典:米連邦準備制度理事会(FRB)「What economic goals does the Federal Reserve seek to achieve through its monetary policy?」

2026年の政策金利と雇用統計の位置づけ

FRBは2026年7月28〜29日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、政策金利の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置きました。声明では、雇用の伸びは労働力の増加と見合っており、失業率はほとんど変わっていないと評価しています。

一方で、インフレ率は目標の2%を上回る状態が続いており、12人の投票メンバーのうち3人が0.25%の利上げを主張しました。こうした状況では、雇用統計が強ければ利上げ観測が高まり、弱ければ利上げ観測が後退します。次回のFOMCは9月15〜16日に予定されています。

出典:米連邦準備制度理事会(FRB)「Federal Reserve issues FOMC statement」(2026年7月29日)/米連邦準備制度理事会(FRB)「Meeting calendars and information」

FOMCについてくわしく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

米国雇用統計が株価・金利・為替に与える影響

雇用統計の結果は、米国の金利を通じて株価や為替に影響します。ただし、同じ「強い結果」でも、そのときの景気やインフレの状況によって相場の反応は変わります。基本パターンと例外を分けて理解しましょう。

基本パターン:結果が強いと金利上昇・ドル高になりやすい

雇用統計が市場予想より強ければ、FRBが利下げを急がない、または利上げに動くとの見方から米国の金利が上がりやすくなります。金利が上がればドルの魅力が増し、ドル高・円安に振れやすくなるのが一般的です。

結果米国の金利ドル円米国株
雇用者数が予想を上回る・失業率が予想を下回る上昇しやすいドル高・円安になりやすい景気期待で上昇/利上げ懸念で下落(局面次第)
雇用者数が予想を下回る・失業率が予想を上回る低下しやすいドル安・円高になりやすい利下げ期待で上昇/景気不安で下落(局面次第)
平均時給の伸びが予想を上回る上昇しやすいドル高・円安になりやすいインフレ懸念で下落しやすい
雇用統計の結果と市場の一般的な反応

金利とドル円は比較的一貫した方向に動きやすい一方、株価の反応は局面によって正反対になります。表はあくまで一般的な傾向であり、必ずこう動くわけではありません。

「良い結果=株高」とは限らない

株価にとって、雇用統計が強いことは「景気が良い」という追い風と、「金利が上がる」という逆風の両面があります。インフレが落ち着いている局面では前者が勝ちやすく、インフレが高止まりしている局面では後者が意識されやすいといえるでしょう。

  1. 2026年は、インフレが目標を上回るなかでFRB内に利上げを主張する声が出ています。このような局面では、強い雇用統計が利上げ観測を通じて株価の重荷になる場合があります。反対に、雇用が極端に弱い場合は「利下げ期待」より「景気後退の不安」が勝り、株安につながるケースも見られました。

長期金利が生活や投資に与える影響については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

相場を動かすのは「結果」より「市場予想との差」

雇用統計で相場が大きく動くのは、結果が市場予想から大きく外れたときです。市場はあらかじめ予想を価格に織り込んでいるため、予想どおりの結果なら反応は限定的になりやすいといえます。

2026年8月分は、雇用者数の予想約5.6万人増に対して16.2万人増と大幅に上振れしました。ロイターによると、市場が織り込むFRBの9月利上げの確率は、発表前の約55%から約65%へ高まりました。数字の良し悪しより、予想との差と政策金利の見通しがどう変わったかを見るのがポイントです。

過去の例:雇用統計をきっかけに相場が急変した局面

雇用統計が相場の転換点になった例として、2024年8月と2026年8月の2つの局面があります。

2024年8月2日に発表された7月分は、雇用者数11.4万人増(予想17.5万人増)、失業率4.3%(予想4.1%)と、いずれも予想より弱い結果でした。7月31日に日銀が政策金利を0.25%程度へ引き上げた直後で、米国の景気不安も重なり急速な円高・ドル安が進みます。週明け8月5日の日経平均株価は4,451円安と、過去最大の下げ幅を記録しました。

2026年8月7日に発表された7月分は、雇用者数が当初2.3万人減と予想に反してマイナスでした。利上げ観測が後退し、ドル円は発表直後に158円30銭付近から156円60銭まで円高が進みました。ただし7月分は翌月に2.1万人増へ上方修正されており、速報値だけで判断する危うさも示しています。

出典:米国労働統計局(BLS)「Employment Situation News Release - 2024 M07 Results」/日本銀行「金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について」

米国雇用統計を見るときの4つの注意点

雇用統計は注目度が高い反面、単月の数字には誤差や修正がつきものです。数字に振り回されないために、次の4点を押さえておきましょう。

速報値は翌月以降に改定される

前述のとおり、雇用者数は発表の翌月・翌々月に改定されます。改定幅が数万人規模になるのは珍しくありません。発表当日の数字だけで景気を判断せず、改定後の値で流れを確認する姿勢が大切です。

年に1回の「ベンチマーク改定」で大きく修正される

BLSは年に1回、主に失業保険制度の行政記録にもとづく網羅的なデータと突き合わせて、雇用者数の水準を修正します。これをベンチマーク改定と呼びます。2026年8月28日には、2026年3月時点の雇用者数について、7.9万人(0.1%)の下方修正となる暫定推計が公表されました。

この暫定推計は、公表時点では公式の雇用者数系列に反映されていません。確定した改定は、2027年2月に発表される2027年1月分の雇用統計に反映される予定です。改定は上方・下方のいずれにも起こり得るため、速報値だけで判断せず、改定後のデータも確認することが大切です。

出典:米国労働統計局(BLS)「Current Employment Statistics Preliminary Benchmark (National) Summary」

単月ではなく3か月平均などで流れを見る

雇用者数は、天候やストライキ、政府機関の閉鎖などの一時的な要因で大きく振れます。2026年2月の15.6万人減の翌月に21.4万人増となったように、単月の増減だけでは実態をつかめません。直近3か月の平均や、失業率の数か月の方向性で判断するのが有効です。

ほかの雇用関連指標とあわせて確認する

雇用統計の前後には、ほかにも雇用関連の指標が発表されます。雇用統計の結果を裏付けるか、食い違うかを確認すると判断の精度が上がります。

代表的な関連指標

  1. 新規失業保険申請件数:米国労働省が毎週木曜日に発表します。解雇の増減をもっとも早く示す指標です。
  2. JOLTS(求人労働異動調査):BLSが発表する求人件数や離職者数のデータです。企業の採用意欲を把握できます。
  3. ADP雇用統計:民間の給与計算会社ADPが、雇用統計に先立って発表する民間雇用者数です。

重要な経済指標は、こちらの記事でも紹介しています。あわせて参考にしてみてください。

米国雇用統計の発表日程と日本時間【2026年】

米国雇用統計は、原則として毎月第1金曜日の米国東部時間8時30分に、前月分の結果が発表されます。ただし、祝日や調査期間の都合で第1金曜日以外になる月もあるため、公式の日程表で確認するのが確実です。

対象月発表日(米国時間)日本時間
2025年12月分2026年1月9日(金)1月9日 22時30分
2026年1月分2026年2月11日(水)2月11日 22時30分
2026年2月分2026年3月6日(金)3月6日 22時30分
2026年3月分2026年4月3日(金)4月3日 21時30分
2026年4月分2026年5月8日(金)5月8日 21時30分
2026年5月分2026年6月5日(金)6月5日 21時30分
2026年6月分2026年7月2日(木)7月2日 21時30分
2026年7月分2026年8月7日(金)8月7日 21時30分
2026年8月分2026年9月4日(金)9月4日 21時30分
2026年9月分2026年10月2日(金)10月2日 21時30分
2026年10月分2026年11月6日(金)11月6日 22時30分
2026年11月分2026年12月4日(金)12月4日 22時30分
2026年の米国雇用統計の発表日程(日本時間)

日本時間は、米国の夏時間(2026年は3月8日〜11月1日)が21時30分、冬時間が22時30分です。2026年は、6月分が独立記念日の振替休日(7月3日)の前日にあたる7月2日(木)に発表されました。1月分は、政府機関の予算失効の影響で2月11日(水)に延期されています。

出典:米国労働統計局(BLS)「Schedule of Releases for the Employment Situation」/米国労働統計局(BLS)「Revised news release dates following the 2025 and 2026 lapses in appropriations」

2025年10月分は政府閉鎖で失業率が発表されなかった

2025年秋の米国政府機関の閉鎖により、2025年10月分の家計調査は実施されず、後から調査することもできませんでした。そのため、10月分の雇用統計は単独では発表されず、失業率は欠番になっています。長年にわたり毎月公表されてきた失業率が途切れたのは、異例の事態でした。

一方、事業所調査の10月分データは11月分とあわせて12月16日に公表されました。過去の推移を調べる際、2025年10月の失業率だけが空欄になっている理由はここにあります。

最新の米国雇用統計(2026年8月分)の結果

2026年9月4日に発表された8月分の雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回り、労働市場の底堅さを示す内容でした。主な結果は次のとおりです。

項目結果市場予想前月(改定値)
非農業部門雇用者数(前月比)+16.2万人+5.6万人+2.1万人
失業率4.1%4.1%4.1%
平均時給(前月比)+0.3%+0.3%+0.2%
平均時給(前年比)+3.1%―+3.2%
労働参加率61.6%―61.4%
2026年8月分の米国雇用統計の主な結果

業種別では、レジャー・接客業が6.2万人増と2か月連続の減少から持ち直し、地方政府の教育部門も4.2万人増えました。7月分は当初2.3万人減と発表されていましたが、今回2.1万人増へ上方改定されています。発表後はFRBの9月利上げ観測が強まり、ドル円は一時1ドル=156円台までドル高・円安が進みました。

出典:米国労働統計局(BLS)「Employment Situation News Release - 2026 M08 Results」/ロイター「米雇用者数、8月予想大幅に上回る+16.2万人 失業率4.1%で変わらず」/OANDA証券「8月米雇用統計の結果とドル円・金の見通し」

※市場予想はロイター調査の中央値です。前月の平均時給(前月比)は改定後の値から編集部が算出しました。

直近12か月の雇用者数と失業率の推移

単月の数字だけでなく、流れで見ると労働市場の変化がつかみやすくなります。直近12か月の非農業部門雇用者数の増減と失業率をまとめました。

対象月非農業部門雇用者数失業率平均時給(前年比)
2025年9月+7.6万人4.4%+3.8%
2025年10月−14.0万人―(調査なし)+3.9%
2025年11月+4.1万人4.5%+3.9%
2025年12月−1.7万人4.4%+3.7%
2026年1月+16.0万人4.3%+3.7%
2026年2月−15.6万人4.4%+3.7%
2026年3月+21.4万人4.3%+3.4%
2026年4月+14.8万人4.3%+3.6%
2026年5月+6.3万人4.3%+3.3%
2026年6月+3.1万人4.2%+3.4%
2026年7月+2.1万人4.1%+3.2%
2026年8月+16.2万人4.1%+3.1%
非農業部門雇用者数(前月比)と失業率の推移(2026年9月4日発表時点の値)

雇用者数は月ごとの振れが大きく、減少する月も珍しくありません。直近3か月(6〜8月)の平均は約7.1万人増で、8月単月の16.2万人増ほど強くはない点に注意が必要です。失業率は直近1年では2025年11月の4.5%をピークに緩やかに低下し、4.1%まで改善しています。

出典:米国労働統計局(BLS)「Employment Situation News Release - 2026 M08 Results」

※BLSの公開データ(季節調整値)をもとに編集部が算出しました。雇用者数と平均時給は今後の改定で変わる可能性があります。

アメリカの失業率の種類:U-1〜U-6の違い

アメリカには、労働力が十分に活用されていない状況を異なる範囲で測る、U-1からU-6までの6つの指標があります。ニュースで報じられる「失業率」はU-3です。U-1とU-2は失業者の一部を対象とし、U-4〜U-6は通常の失業率に含まれない人も対象にします。もっとも範囲が広いU-6には、経済的な理由でやむを得ずパートタイムで働く就業者も含まれます。

指標修正前修正後
U-1失業期間が15週以上の人の割合労働力人口に占める、失業期間が15週以上の失業者の割合
U-2解雇された人と、臨時の仕事が終了した人の割合労働力人口に占める、失職や臨時の仕事の終了によって失業した人の割合
U-3失業者全体の割合(公式の失業率)労働力人口に占める、失業者全体の割合(公式の失業率)
U-4U-3に、仕事が見つからないとあきらめた求職意欲喪失者を加えた割合失業者と求職意欲喪失者の合計を、労働力人口と求職意欲喪失者の合計で割った割合
U-5U-4に、働く意思があり過去12か月に職探しをしたが、直近4週間はしていない人(縁辺労働者)を加えた割合失業者と縁辺労働者の合計を、労働力人口と縁辺労働者の合計で割った割合
U-6U-5に、経済的な理由でやむを得ずパートタイムで働く人を加えた割合失業者、縁辺労働者、経済的な理由によるパートタイム就業者の合計を、労働力人口と縁辺労働者の合計で割った割合
アメリカの失業率U-1〜U-6の定義と2026年8月の値

※縁辺労働者とは、就業しておらず、働く意思と就業可能性があり、過去12か月に求職活動をしたものの、直近4週間は求職活動をしていない人です。仕事が見つからないと考えて求職活動をしていない「求職意欲喪失者」は、この縁辺労働者に含まれます。

U-3とU-6の差には、縁辺労働者や、経済的な理由でやむを得ずパートタイムで働く人の動向が影響します。差が広がった場合は、通常の失業率に表れない労働力の未活用が大きくなっている可能性があります。2026年8月のU-6は7.7%ですが、その背景を判断するには、縁辺労働者数や不本意なパートタイム就業者数も確認することが大切です。

出典:米国労働統計局(BLS)「Table A-15. Alternative measures of labor underutilization」

米国雇用統計で見るべき5つの主要データ

雇用統計には多くの項目がありますが、市場が注目するのは主に5つです。それぞれの意味と、数字が変化したときの一般的な解釈を整理します。

非農業部門雇用者数(NFP):企業が雇った人数の増減

非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls:NFP)は、農業を除く企業や政府機関などの給与支払い対象の雇用を集計したものです。事業所調査から算出され、市場では特に前月からの増減が注目されます。複数の勤務先で働く人は勤務先ごとに数えるため、働いている人の実人数とは異なります。法人化していない自営業者や農業従事者、家事使用人などは含まれません。

  1. 増加幅が大きければ企業の採用意欲が強く、景気が拡大していると判断されます。減少や小幅な増加が続けば、景気減速のサインとして受け止められます。

失業率:労働力人口に占める失業者の割合

失業率は、労働力人口(就業者+失業者)に占める失業者の割合です。家計調査から算出され、一般に「アメリカの失業率」として報じられるのはU-3と呼ばれる指標です。

失業率の上昇は一般に景気悪化のサインとされますが、求職活動を再開する人が増えた場合にも上昇します。反対に、失業率の低下も、就職が進んだ場合だけでなく、職探しを諦める人が増えた場合に起こります。失業率だけで判断せず、労働参加率や就業者数とあわせて確認することが大切です。

平均時給:賃金の伸びとインフレの手がかり

平均時給は、民間の非農業部門で働く人の1時間あたりの平均賃金です。2026年8月は37.75ドルでした。賃金が伸びれば消費が支えられる一方、伸びすぎると物価上昇(インフレ)を招くおそれもあるでしょう。

  1. FRBはインフレ率2%を目標にしているため、平均時給の伸びは物価の先行きを占う材料として重視されます。インフレが高止まりしている局面では、雇用者数以上に注目される場合もあります。

労働参加率:働く意思がある人の割合

労働参加率は、16歳以上の人口に占める労働力人口の割合です。2026年8月は61.6%でした。職探しをあきらめた人は失業者に数えられないため、失業率だけでは見えない労働市場の実態を補う指標として使われます。

ただし、労働参加率は高齢化による退職の増加など、景気以外の要因でも下がります。上昇・低下だけで景気の良し悪しを判断せず、失業率や雇用者数とあわせて見ることが大切です。

前月・前々月の改定値:過去分の修正

非農業部門雇用者数は、発表のたびに前月分と前々月分が改定されます。直近2か月分は回答がそろう前の推計値で、回答が集まるにつれて修正されるためです。2026年7月分は、当初の2.3万人減から2.1万人増へ修正されました。

  1. 当月の数字が予想どおりでも、過去分が大きく下方修正されれば「実は雇用が弱かった」と受け止められ、相場が動く場合があります。発表時は当月分とあわせて改定値も確認しましょう。

アメリカの失業率と日本の失業率の違い

「失業率」を調べると、日本の完全失業率とアメリカの失業率が並んで出てきます。2026年7月の日本の完全失業率は2.4%で、アメリカの4.1%より低い水準です。ただし、調査の仕組みに違いがあるため、単純な比較には注意が必要です。

項目日本(労働力調査)アメリカ(雇用統計の家計調査)
発表機関総務省統計局米国労働統計局(BLS)
調査規模約4万世帯(15歳以上の約10万人)約6万世帯
対象年齢15歳以上16歳以上
求職活動の期間調査週(月末1週間)に求職活動をした人調査週までの4週間に求職活動をした人
計算式失業者÷労働力人口(就業者+失業者)×100
直近の値2.4%(2026年7月)4.1%(2026年8月)
日本とアメリカの失業率の比較

どちらもILO(国際労働機関)の国際基準に沿っており、「仕事についていない」「すぐに働ける」「仕事を探している」の3条件を満たす人を失業者と数えます。一方、求職活動を確認する期間は日本が1週間、アメリカが4週間と異なる点に注意しましょう。

日本の失業率が低い背景には、定義の違いに加えて、解雇規制や雇用慣行の違いもあるとされます。国ごとの水準を比べるより、それぞれの国で失業率がどう変化しているかに注目するほうが実用的です。

出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)月次結果」/総務省統計局「労働力調査に関するQ&A(回答)」/米国労働統計局(BLS)「Concepts and Definitions (CPS)」

個人投資家は米国雇用統計とどう付き合うべきか

雇用統計は短期売買をする人にとっては重要なイベントですが、NISAなどで長期の積立投資をしている人が、発表のたびに売買を判断する必要はありません。投資スタイル別に活用法を整理します。

長期投資家は「景気の現在地」を知る材料として使う

長期の分散投資をしている人にとって、雇用統計は売買のタイミングを計る道具ではありません。米国経済がいま拡大局面なのか、減速局面なのかをつかむための材料です。

失業率がじわじわ上がり続けている、雇用者数の減少が数か月続いている、といった変化が見えたら、資産配分や生活防衛資金を点検するきっかけにするとよいでしょう。発表直後の値動きに反応して売買する必要はありません。

外貨建て資産を持つ人は為替の変動に備える

米国株の投資信託や外貨預金、ドル建て保険など外貨建て資産を持っている人は、雇用統計の前後で円換算の評価額が大きく動く可能性があります。2026年8月7日のように、発表から数分で1円以上の円高が進むこともあります。

為替の変動で評価額が一時的に減っても、長期で保有する前提なら慌てて売る必要はありません。円高で評価額が下がるのが不安な人は、外貨建て資産の比率そのものを見直すほうが根本的な対策になります。

円安の時期における投資判断の考え方やについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

FXなど短期売買をする人は発表前後の急変動に注意する

FXなどレバレッジを使う取引では、雇用統計の発表直後に価格が数十秒で大きく動き、注文が想定より不利な価格で約定する「スリッページ」が起きやすくなります。取引コストの目安となるスプレッドも広がりがちです。発表前後はポジションを小さくする、損切り注文を設定するなど、リスク管理を徹底しましょう。

FXの仕組みについては、こちらの記事で詳細に解説しています。

この記事のまとめ

米国雇用統計を読み解くには、雇用者数・失業率・平均時給に加え、市場予想との差、過去分の改定、数か月の傾向を確認することが大切です。株価や為替の反応は、景気やインフレ、金融政策の見通しによって変わるため、結果の強弱だけで売買を決めないようにしましょう。次の発表に向けて、まず公式の発表日時と市場予想を確認してください。そのうえで、短期売買なら保有量や損切り条件を、長期投資なら資産配分を点検し、急な値動きへの対応を事前に整理しておきましょう。

mitsuki-shibata
柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

関連ガイド

Economic Indicators

経済指標とは?主要な指標一覧と経済指標カレンダーの見方を解説

2026.10.15

難易度:

# 経済指標# 基礎知識
Economic Indicators

経済指標とは?主要な指標一覧と経済指標カレンダーの見方を解説

2026.10.15

難易度:

# 経済指標# 基礎知識
weak yen

円安のときに投資ですることは?円高との違いやメリット、対策を徹底解説

2026.07.23

難易度:

# 米国株式# 外国株式# 資産管理
FOMC(連邦公開市場委員会)の4つのポイントとは?発表内容・時間や政策金利の上げ下げの影響を徹底解説

FOMC(連邦公開市場委員会)の4つのポイントとは?発表内容・時間や政策金利の上げ下げの影響を徹底解説

2025.12.30

難易度:

Long-term interest rates are rising

長期金利が上がるとどうなる?短期金利との違い・上昇の理由と住宅ローン・株・預金への影響を解説

2026.09.08

難易度:

# 資産管理# 基礎知識# ライフイベント

関連する専門用語

米国雇用統計

米国雇用統計とは、アメリカの労働市場の状況を示す経済指標の一つであり、毎月第一金曜日に米国労働省が発表する。非農業部門雇用者数(NFP)、失業率、平均時給などが主要なデータとして含まれ、米国経済の動向を判断する重要な指標とされる。市場では、雇用統計の結果が予想と異なると、株価や為替市場に大きな影響を与えることがある。特にFRB(米連邦準備制度)が金融政策を決定する際の重要な参考指標となるため、投資家や経済専門家の注目度が高い。

FRB(Federal Reserve Board/米連邦準備制度理事会)

FRB(Federal Reserve Board、米連邦準備制度理事会)は、米国の中央銀行制度であるFRS(Federal Reserve System)の中核をなす組織である。FRSは、ワシントンD.C.にあるFRB(理事会)と、全米に分布する12の地区連邦準備銀行(連銀)から構成される。 FRBの主な役割は、金融政策を通じて米国経済の安定を図ることであり、その目的として「最大雇用(Maximum Employment)」と「物価の安定(Stable Prices)」という2つの目標(デュアルマンデート)を掲げている。これらの目標を達成することで、米国経済の持続的な成長を促す。 FRBは、日本の日本銀行に相当する機関であり、政府から独立した中央銀行として運営されている。ただし、完全に独立しているわけではなく、議会に対して定期的に金融政策の報告を行うなど、説明責任を負っている。

FOMC(Federal Open Market Committee/連邦公開市場委員会)

FOMC(Federal Open Market Committee、連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策を決定する最高意思決定機関です。米連邦準備制度(FRB)が、インフレ抑制・雇用最大化・経済安定化を目的に、政策金利(FF金利)の調整や金融市場の流動性管理を行います。 FOMCは年8回開催され、米国の景気・物価動向・雇用状況を評価し、政策金利の変更や量的緩和・量的引き締めなどの金融政策を決定します。会合後には声明が発表され、議長の記者会見が行われます。 FOMCの決定は、米国経済だけでなく、世界の金融市場にも大きな影響を与えます。市場予想と異なる決定が出た場合、株式市場・債券市場・為替市場が大きく変動することがあります。一般的に、利上げが発表されると株価は下落し、ドル高が進行し、債券価格は下落します(利回りは上昇)。反対に、利下げが発表されると株価は上昇し、ドル安が進行し、債券価格は上昇します(利回りは低下)。 日本では「日銀金融政策決定会合」がFOMCに相当しますが、決定プロセスには違いがあります。FOMCはFRB理事7名と地方連銀総裁5名の計12名による投票で政策を決定し、金融政策の透明性が高いのが特徴です。

スタグフレーション

スタグフレーションは「景気停滞(stagnation)と物価上昇(inflation)が同時に進む」という、投資家にとって最も厄介な経済環境の一つです。需要不足で実質GDP成長率が伸び悩み、失業率が高止まりする一方、エネルギーや食料の供給ショック、為替安による輸入コスト増、賃金・価格の連鎖的な押し上げなどのコストプッシュ要因が重なり、消費者物価が勢いよく上昇します。 1970年代のオイルショックや、エネルギー価格が高騰した2022年前後の一部先進国が典型例で、家計は実質所得の目減り、企業は実質利益率の低下という「ダブルパンチ」に見舞われました。 金融政策面では、景気刺激のための利下げとインフレ抑制のための利上げという相反する手段を同時に求められるため、中央銀行は対応の舵取りが極めて難しくなります。利上げに踏み切れば景気後退が深まり、利下げに転じればインフレが加速するというジレンマが長期化リスクを高め、政策の遅れが市場のボラティリティを増幅させる要因となります。 資産運用では、物価上昇への耐性と景気停滞への防御を両立させる必要があります。原油・金などのコモディティやインフレ連動債、不動産などの実物資産はインフレヘッジとして効果を発揮しやすく、逆に景気敏感株や低格付け社債は同時に価格と信用が傷むリスクが高まるため比率を抑えるのが基本戦略です。一方で、利上げ局面では長期国債の価格が下落しやすく、債券はデュレーションを短めにすることで金利上昇リスクを緩和できます。複数資産を組み合わせ、景気とインフレのシナリオを分けてストレステストを行うことで、スタグフレーション下でも資産全体の耐性を高められます。 このようにスタグフレーションは「景気が悪いのに物価だけが上がる」という直感に反する現象であるうえに、金融政策や伝統的ポートフォリオ理論が機能しにくい難所です。投資家はインフレ圧力と成長鈍化を同時に意識した分散投資とタイムリーなリバランスを通じ、家計とポートフォリオの実質購買力を守る視点が欠かせません。

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.