リバランスとリアロケーションの違いは何ですか?また、どのくらいの頻度で行うべきですか?
リバランスとリアロケーションの違いは何ですか?また、どのくらいの頻度で行うべきですか?
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2024/09/05 19:46
男性
60代
GPIFのポートフォリオが参考になるということで色々調べていたら、資産運用をするなかで定期的な「リバランス」や「リアロケーション」することが重要、という話を目にしました。リバランスとリアロケーションはどのようなもので、違いは何でしょうか?<br>また、ポートフォリオの見直しの際に、リバランスやリアロケーションを考えるのだと思いますが、どのくらいの頻度で行うべきでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
リバランスは「崩れた配分を元に戻す調整」、リアロケーションは「資産配分そのものを描き替える再設計」という違いがあります。
資産運用はまず、目標リターン・リスク許容度・運用期間を踏まえて株式・債券・現金などに配分割合を決める─これがアセットアロケーション(設計図)です。運用を続けると市場変動で比率がずれ、たとえば株式50%:債券50%の設計図が60%:40%に傾いて本来のリスク水準を上回ることがあります。このずれを売買で元の50%:50%に戻すのがリバランスで、リスク管理とパフォーマンス安定化に欠かせません。
一方、リアロケーションは設計図自体を更新する作業です。景気サイクルの転換や金利環境の変化、結婚・住宅購入・退職といったライフイベントで必要資金やリスク許容度が変われば、株式比率を減らし債券や短期資産を増やすなど配分を抜本的に組み替えます。長期運用では「環境と自分の変化に合わせて船の進路を修正する」工程と捉えるとよいでしょう。
頻度の目安は次のとおりです。
- リバランス:年1〜2回を定例とし、各資産比率が目標から±5〜10%以上乖離したときは臨時で実施。
- リアロケーション:おおむね3〜5年ごと、または大きな市場構造の変化やライフステージの節目が生じたときに検討。
いずれも「いつ・どの程度ずれたら実行するか」を事前にルール化し、感情に流されない自動運転の仕組みを整えることで、長期的な資産形成の精度が高まります。
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関連する専門用語
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。
リアロケーション
リアロケーション(re-allocation)は、すでに保有している資産配分全体を再設計し、別の資産クラスや銘柄へ振り向け直す行為を指します。たとえば「想定以上に株式偏重になっている」「将来の生活費をより安定させたい」といった状況で、株式を売却して債券やキャッシュ、オルタナティブ資産に振り分け直すのが典型例です。新規資金を追加するのではなく、ポートフォリオ内部の構成を組み替える点が特徴で、マーケット環境の変化、目標利回りやリスク許容度の見直し、ライフステージの変化などを背景に実施されます。 リバランス(re-balancing)と混同されがちですが、目的とスコープが異なります。リバランスは「既に決めた目標配分(ターゲットアセットアロケーション)に対して、市場変動で生じたズレを修正して元に戻す」作業です。ターゲット自体は変えず、定期的(例:半年や1年ごと)に行うメンテナンスという位置づけです。一方リアロケーションは「ターゲット配分そのものを更新し、ポートフォリオの方向性を変える」意思決定であり、長期戦略の転換やリスク管理方針の刷新を伴います。 したがって、リバランスは“微調整”、リアロケーションは“再設計”と捉えると理解しやすいでしょう。リアロケーションを実施する際は、売却益にかかる税金や取引コスト、流動性リスクにも注意が必要です。また、一度に大きく動かすより段階的に行うことで、タイミングリスクを抑えやすくなります。
アセットアロケーション(資産配分)
アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
リスク許容度
リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。



