現物型ETFと先物型ETFの違いは?
現物型ETFと先物型ETFの違いは?
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2025/02/11 18:44
男性
30代
暗号資産ETFには「現物型」と「先物型」があると聞きました。それぞれの違いとメリット・デメリットを教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
暗号資産ETFは「現物型」と「先物型」の二つに大別されます。現物型はビットコインやイーサリアムなどの暗号資産そのものを信託財産として保有し、純資産価値(NAV)が実勢価格にほぼ連動するよう設計されています。そのため長期間の保有でも価格乖離やロールコストが生じにくく、暗号資産の値上がり益を素直に取り込みたい投資家に適しています。ただし、コールドウォレットでの保管料やハッキング保険料、セキュリティ強化のためのガバナンスコストが信託報酬に上乗せされやすく、相対的に運用経費率が高めです。さらに、規制当局の承認要件が厳しく、上場本数が限られている点も考慮が必要です。
先物型はCMEなどの取引所で売買されるビットコイン先物を組み入れ、期先から期近へポジションを乗り換えながら価格連動を図ります。現物を直接保有しないぶん規制審査が比較的早く、証券口座だけで取引できる手軽さやレバレッジ設定(インバース型・2倍型など)の選択肢がメリットです。
一方で、先物には「コンタンゴ(先物価格が現物価格より高い状態)」や「バックワーデーション(先物価格が現物価格より安い状態)」といった価格のゆがみがあり、保有期間が長くなると次の契約への乗り換え(ロールオーバー)で損益(ロールコスト)が発生します。そのため、長期で保有すると元となる資産の値動きとずれやすくなるのがデメリットです。需給次第では現物より値動きが荒くなる場合もあり、短期トレードや戦術的ヘッジ向きといえます。
したがって、暗号資産を長期で保有し価格上昇をダイレクトに享受したいなら現物型、短期の値幅取りやレバレッジを活用した戦術運用を狙うなら先物型が選択肢になります。投資期間、コスト構造、価格乖離リスクを総合的に比較し、ご自身のリスク許容度に合ったETFタイプを選定してください。
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関連する専門用語
コールドウォレット
コールドウォレットとは、暗号資産(仮想通貨)をインターネットから切り離された状態で保管する方法のことを指します。具体的には、USBメモリのような外部デバイスや紙に印刷した秘密鍵などを使って資産をオフラインで管理する手段です。これにより、ハッキングや不正アクセスのリスクを大幅に減らすことができます。特に、長期間保有する目的の暗号資産を安全に保管したい場合に用いられます。取引所に預けたままにするホットウォレットとは対照的な存在で、セキュリティ重視の投資家にとって重要な選択肢となります。
コンタンゴ
コンタンゴとは、先物取引の分野で使われる用語で、将来の受け渡し価格(先物価格)が、現在の実際の価格(現物価格)よりも高くなっている状態を指します。 このような状態は、商品の保管コストや金利、将来の需給見通しといった要因によって生じます。たとえば原油市場では、現物を今すぐ購入するよりも、数か月後に受け取る契約(先物)のほうが高値で取引されている場合、コンタンゴの状態にあると言えます。 コンタンゴは、先物を利用したETFや投資信託の運用において重要な概念です。なぜなら、これらの商品は満期が近づいた先物契約を定期的に次の限月へと乗り換える必要があり、このときにロールコスト(乗り換えによるコスト)が発生しやすくなるからです。結果として、先物価格が現物価格より高い状態が続くと、長期保有時のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。 やや専門的な用語ではありますが、先物市場に連動する金融商品に投資する際には、コンタンゴがどのように運用成績に影響するかを知っておくことが大切です。
バックワーデーション
バックワーデーションとは、先物取引において、将来の価格(先物価格)が現在の価格(現物価格)よりも安くなる現象のことを指します。通常、先物価格は保管コストや金利などを含むため現物価格より高くなることが多いのですが、将来の需給が引き締まると予想される場合や、現物の入手が難しい場合などに、あえて今すぐに商品を手に入れたいという需要が高まることで、このような価格逆転が起こります。主に原油や商品市場で見られ、投資家にとっては価格変動リスクやロールオーバー(期先への乗り換え)時の損益に影響する重要な指標となります。

