オルタナティブ投資はどのような人に必要ですか?株や債券だけではダメな理由がありますか?
オルタナティブ投資はどのような人に必要ですか?株や債券だけではダメな理由がありますか?
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2024/08/06 18:37
男性
60代
現在、株式や債券を中心に資産運用を行っており、分散投資のためにオルタナティブ投資を検討していますが、自分に向いているのかイマイチわかりません。基礎的な質問ですが、オルタナティブ投資はどのような人に有効ですか?また、株や債券だけではダメな理由がありますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
オルタナティブ投資(不動産・インフラ・コモディティ・ヘッジファンド・プライベートエクイティなど)は、株式や債券と値動きの要因が異なるため、ポートフォリオの振れ幅を抑えながら長期リターンを底上げしたい投資家に向いています。具体的には次のような方に有効です。
- 運用資産が数千万円以上あり、株式・債券中心のポートフォリオに「同時下落」の不安を感じている人
- インフレや金利上昇局面でも収益源を確保したい人(コモディティやインフラ投資は物価連動性が高い)
- 流動性の低さや高コストを許容し、10年以上の長期目線で運用できる人
一方、投資額が小さい、近い将来に現金化の予定がある、あるいは価格変動の仕組みを理解しきれていない場合は、まず株式・債券の配分最適化を優先するほうが合理的です。株と債券は景気局面によって逆相関が期待できますが、金融ショックでは同時に下落するケースがあります。その“共倒れ”リスクを緩和するために、相関の低いオルタナティブ資産をポートフォリオの10〜20%程度組み込むと、リスク調整後リターン(シャープレシオ)を高めやすくなります。
つまり、株と債券だけでも運用は可能ですが、資産規模と時間的余裕があり、さらなる分散効果とインフレ耐性を求める投資家にとって、オルタナティブ投資は有力な選択肢となります。
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オルタナティブ投資
オルタナティブ投資とは、伝統的な投資対象である株式や債券以外の資産への投資を指します。主な投資対象には、不動産、インフラ、プライベートエクイティ(未公開株式)、コモディティ(商品市場)、ヘッジファンド、ベンチャーキャピタル、貴金属、仮想通貨などが含まれます。 この投資手法の主な特徴として、伝統的な市場との相関が低いため、ポートフォリオ全体のリスク分散効果が期待できることが挙げられます。また、投資対象や手法の選択肢が広がることで、より柔軟な投資戦略を構築することが可能になります。 ただし、オルタナティブ投資には留意点もあります。一般的に流動性が低い場合が多く、また専門的な知識が必要とされることから、長期的な投資視点を持って取り組む必要があります。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
コモディティ
コモディティは、世界で標準化された形で売買される原材料・一次産品の総称で、貴金属(金・銀・プラチナ)、エネルギー資源(原油・天然ガス)、農産物(小麦・トウモロコシ・大豆)、産業用金属(銅・アルミニウム)などに分類される。 投資経路は大きく四つある。①現物保有(地金やコイン)、②先物取引、③商品指数連動型ETF・ETN、④コモディティファンド。実務では先物を組み込んだETFが主流で、代表的な指数にブルームバーグ・コモディティ・インデックスや S\&P GSCI がある。 価格は需給バランス、在庫統計、OPEC政策、地政学リスク、天候、為替など多様な要因で変動する。先物運用では限月乗り換え時のロールコスト(コンタンゴ)や信託報酬がリターンを圧迫し、現物保有では保管・保険料、税制(例:金地金の譲渡益は総合課税)が影響するため、コスト構造の把握が欠かせない。 コモディティは株式・債券との相関が相対的に低く、インフレ率と連動しやすいことから、分散投資とインフレヘッジに有効とされる。一方で短期的な価格変動が大きく、資産配分比率や取引手段を目的に合わせて設計し、損失許容度に応じたリスク管理を徹底することが重要となる。
プライベート・エクイティ(PE)
プライベート・エクイティ(PE)とは、未上場企業や上場企業を対象に投資や企業買収を行う投資手法のことを指します。主にプライベート・エクイティ・ファンドが年金基金や機関投資家、富裕層などから資金を集め、企業の成長や経営改善を図り、一定期間後にM&A、株式売却、上場(IPO)を通じて利益を獲得します。高いリターンが期待される一方で、流動性リスクや経営への積極的な関与が求められます。PEには、既存企業の経営権を取得するバイアウトや、成長企業に資本を提供するグロースキャピタルなどが含まれ、企業価値の向上を目的とした長期的な資本戦略の一環として活用されます。

