
オルタナティブ投資とは?定義や仕組み、メリット・デメリットまで徹底解説
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公開:
2023.04.02
更新:
2025.06.25
世界的に金融市場が不安定化する中、株式や債券だけでは十分なリスク分散が難しくなっています。実際、2008年の金融危機をきっかけに、従来とは異なる値動きを示す「オルタナティブ投資」が注目され始め、市場規模は2028年に25兆ドルを超える見込みです。個人でも手軽に投資できる商品が増えた今だからこそ、代表的な6資産クラスの特徴やリスクを正確に理解し、自分に最適な組み入れ比率を判断することが重要です。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、不動産やヘッジファンドなど代表的なオルタナティブ投資6資産の特徴を素早く理解できます。また、GPIFが最大5%をオルタナティブ資産に配分する理由や、資産の74%をオルタナティブに投じて34%の高利回りを実現したハーバード大学基金の事例を知ることで、自身のポートフォリオにどの程度の比率で取り入れると、効果的にリスクを抑えつつリターンを高められるか、具体的なイメージが掴めます。
目次
オルタナティブ投資とは「株式・債券以外」の新しい投資先のこと
不動産・インフラ|REITなら少額から安定したインカム収入を狙える
プライベート・エクイティ(PE)|未公開株投資で大きな成長リターンを狙う
プライベート・デット|企業の貸し手となり安定した金利収入を得る
コモディティ(商品)|金(ゴールド)や原油でインフレに備える
メリット①:伝統的資産と値動きが異なり、リスク分散効果が高い
メリット③:下落相場でも利益を追求でき、市場環境に左右されにくい
デメリット②:最低投資額が高額で、まとまった資金が必要になる
ケース1:個人投資家|資産の15%を加えリスクを安定化させる例
オルタナティブ投資とは「株式・債券以外」の新しい投資先のこと
「オルタナティブ投資」とは、株式や債券などの伝統的資産とは異なる資産や投資手法への投資を指します。オルタナティブ(Alternative)という言葉自体は英語で「代替」「代わりの」という意味であり、その名の通り伝統的資産に代わる選択肢として位置づけられています。
例えば、不動産、未公開株式、ヘッジファンド、コモディティ(金や原油など)、インフラ事業、さらには美術品・ワイン・骨董品といったコレクティブル(収集品)や暗号資産(仮想通貨)まで、あらゆる非伝統的な投資対象がオルタナティブ資産に含まれます。その範囲は非常に広く明確な定義が難しいほどですが、一言でいえば「株式・債券以外への投資」と捉えると分かりやすいでしょう。
なぜ今、オルタナティブ投資が注目されているのか?
オルタナティブ投資への注目度が高まった大きなきっかけの一つに、2008年のリーマン・ショック(金融危機)があります。それまで「株式と債券は逆相関で動くので組み合わせればリスク分散になる」と考えられていました。しかし金融危機では株式も債券も同時に急落し、伝統的資産だけでは十分な分散効果が得られないことが痛感されました。
この経験から、相関性の低いオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れることで、より安定した資産運用が可能になるとの認識が広がりました。加えて、インフレ局面では株式と債券がともに下落する傾向もあり、インフレ耐性を高めるためにもオルタナティブ資産の活用が注目されたのです。
機関投資家から個人投資家へ|急拡大する市場規模と将来性
世界的な市場拡大に加え、日本では政府の「資産運用立国」プランも追い風です。株式市場の過熱感から分散投資先としても注目を集め、これまで専門家の領域だったオルタナティブ投資が、今まさに個人へと広がりを見せています。
世界で急拡大する市場規模、2028年には25兆ドル超へ
世界のオルタナティブ資産市場は2008年の約3兆ドルから急拡大を続け、2028年には25兆ドルを超えると予測されています。背景には、機関投資家の需要増や低金利下での新たな収益源探しがあります。かつては富裕層やプロの領域でしたが、近年は個人投資家にもその門戸が広がりつつあります。
政府の「資産運用立国」が後押し、個人への門戸も開放
日本では、政府が掲げる「資産運用立国」プランがオルタナティブ投資への関心を後押ししています。プラン内で運用対象の多様化が重視された結果、大手金融機関も個人向け商品を提供し始めました。この「プライベート資産の民主化」により、これまで専門家の領域だった投資に個人が少額から参加できる機会が増えています。
政府の資産運用立国実現プランについては以下記事にて解説しています。
株式市場の過熱感を背景に、分散投資先として需要が増加
近年の株価高騰による過熱感から、従来の資産とは異なる値動きをするオルタナティブ投資への分散ニーズが高まっています。実際、年金積立金を運用する日本のGPIFも、ポートフォリオの最大5%をオルタナティブ資産に振り向ける方針です。このように、オルタナティブ投資は分散と新たな収益源を確保する有効な手段として注目されています。
主なオルタナティブ投資の資産クラスと特徴
オルタナティブ資産には実に多様な種類があります。ここでは代表的な資産クラスとその特徴を紹介します。
資産クラスとはどのようなものか、については、以下記事にて詳しく解説しています。
不動産・インフラ|REITなら少額から安定したインカム収入を狙える
代表的なオルタナティブ資産で、オフィスビルや住宅、商業施設といった不動産や、発電所・道路などインフラ事業への投資です。賃料収入や利用料収入という形でインカムゲインが期待でき、物件売却益によるキャピタルゲインも狙えます。
不動産現物を直接保有する場合は多額の資金を要しますが、REIT(不動産投資信託)を通じて少額から間接投資することも可能です。不動産・インフラは実物資産のためインフレに強い傾向がありますが、市場環境によっては評価額が大きく変動するリスクも伴います。
ヘッジファンド|市場環境に左右されず絶対収益を追求する
高度な運用戦略を駆使して市場の上昇・下落にかかわらず収益を追求するファンドです。伝統的な公募投信と異なり運用手法に制約が少なく、空売りやデリバティブ、レバレッジなども活用しながら絶対収益(絶対的なリターン)を目指します。
グローバルマクロ戦略、ロング・ショート戦略、マーケットニュートラル戦略などさまざまな手法があり、市場の下落局面でも利益獲得を狙える点が大きな魅力です。一方で最低投資額が数百万円~数千万円と高額なことが多く、富裕層や機関投資家向けの商品が中心です。
プライベート・エクイティ(PE)|未公開株投資で大きな成長リターンを狙う
未上場企業の株式に投資する資産クラスです。ベンチャー企業に出資し成長を支援するベンチャーキャピタル(VC)、成熟企業を買収して価値向上後に売却するバイアウトファンド、経営不振企業の再生を図るターンアラウンド(再生)ファンドなど、投資先企業のステージに応じて細分化されています。
投資家はPEファンドに出資し、ファンドが未公開株を取得・売却することで得た成果がリターンとして分配されます。企業の成長に伴う大きなキャピタルゲインが期待できる一方、投資期間が5~10年と長期に及び、途中換金が困難な点には注意が必要です。また投資先企業が倒産すれば投資額が大きく毀損するリスクもあります。
プライベート・デット|企業の貸し手となり安定した金利収入を得る
銀行以外の金融機関やファンドが企業・プロジェクト向けに融資を行う投資です。リーマンショック以降に銀行融資が絞られた反動で市場が拡大し、近年注目度が増しています。投資家は運用会社を通じて企業への貸付に資金提供し、その見返りに利息収入を得ます。
株式のような価格変動リスクが小さく、安定した金利収入(インカムゲイン)を狙えることから、比較的リスク許容度の低い投資家にも人気です。年利数%~10%超の高利回り案件もあり得ますが、借り手企業の信用リスク(貸倒リスク)は常につきまといます。またPEやヘッジファンド同様に最低出資額が数百万円単位と高めで、中途解約もできないものが多く流動性は低いです。
コモディティ(商品)|金(ゴールド)や原油でインフレに備える
金や銀などの貴金属、原油・天然ガスといったエネルギー資源、農産物など実物商品の投資です。インフレヘッジや有事の安全資産として古くから重視されてきた金をはじめ、コモディティ価格は株式や債券と異なる動きをするためポートフォリオの分散に有効です。
実際に現物の金地金や商品先物に投資する方法もありますが、個人にはコモディティファンドやETFを通じた間接投資が手軽でしょう。コモディティは需給や地政学リスクの影響で価格変動が大きく、短期的なボラティリティ(変動性)が高い点には留意が必要です。
その他の投資先|暗号資産やコレクティブルなど多様な資産
上記以外にも、価値のある物や権利への投資がオルタナティブ資産に含まれます。例えば、フェラーリやワイン、絵画、希少な時計、ヴィンテージ玩具などのコレクティブル投資は、その分野の知識があれば大きな利益を生む可能性があります。
また暗号資産(仮想通貨)も新興のオルタナティブ資産です。ビットコインを代表とする暗号資産は株式や債券と相関が低い一方で、価格変動が極めて激しくリスクも高いため、ポートフォリオへの組入れは慎重さが求められます(資産全体の数%程度に抑えるなど)。
さらに、生命保険の保険金請求権を取引するライフセトルメントや、気候・農業リスクに投資する保険リンク証券、特許や音楽著作権などの知的財産権投資など、専門的なオルタナティブ投資も存在します。ただしこれらは情報収集や取引の難易度が高く、一般投資家にはハードルが高い分野です。
オルタナティブ投資を始める4つのメリット
オルタナティブ投資をポートフォリオに組み入れることで得られる主なメリットや期待効果は以下の通りです。
メリット①:伝統的資産と値動きが異なり、リスク分散効果が高い
オルタナティブ資産は伝統的資産との相関性が低い傾向があります。そのため、株式や債券と一緒に保有することでポートフォリオ全体の値動きを安定化させ、リスク・リターン効率(シャープレシオ)の向上が期待できます。
実際、GPIFも長期的視点で「流動性が低くても超過リターン獲得のため敢えてオルタナティブ資産を組み入れる」と述べており、分散による運用効率向上を狙っています。この低相関の効果は、金融危機時や株式市場急落時にポートフォリオの下落幅を和らげるクッションとなるでしょう。
メリット②:新たな収益源にアクセスでき、収益機会が広がる
投資対象の幅が広がることで、今まで得られなかった収益源にアクセスできるメリットがあります。例えば、債券利回りや株式配当では得られないような高利回りの貸付利息(プライベート・デット)や、未公開株の上場による大幅なキャピタルゲイン(プライベート・エクイティ)など、オルタナティブならではのリターン機会があります。
加えて不動産賃料収入やインフラ使用料といった安定的なインカム収入も得られるため、伝統的資産だけでは実現しにくい多様なキャッシュフローをポートフォリオに取り込めます。こうした収益源の多様化は、長期的な資産形成においてプラスに働くでしょう。
メリット③:下落相場でも利益を追求でき、市場環境に左右されにくい
ヘッジファンドに代表されるように、オルタナティブ投資には下落相場でも利益を追求できる戦略が存在します。市場全体が低迷している時期でも、空売り戦略で利益を上げたり、裁定取引で小さな価格差益を積み重ねたりできるのは、オルタナティブ投資の強みです。
つまり、景気や市場サイクルにかかわらず収益追求が可能なため、伝統的資産だけに比べ運用の柔軟性が増します。またコモディティ投資はインフレ局面での価値上昇が期待でき、株式・債券の両方が低迷する環境下でポートフォリオの防衛線となる役割も果たします。
メリット④:大きなリターンポテンシャルを秘めている
一般にオルタナティブ資産はハイリスク・ハイリターンと言われます。裏を返せば、リスクを取ることができれば伝統的資産を超える大きな収益を得られる可能性があります。未公開株式への投資が成功すれば投資額の数倍以上のリターンを得るケースもありますし、優秀なヘッジファンドマネージャーに預けて年率20%以上の運用益を上げる例もあります。
実際、米ハーバード大学基金はポートフォリオの約74%をオルタナティブ資産で構成し、ある年には34%もの運用利回りを記録しました。このように大きなリターンを狙いやすいのも、オルタナティブ投資の魅力の一つです。ただし高い収益には高いリスクが伴う点を理解しておく必要があります。
オルタナティブ投資の6つのデメリットと注意点
オルタナティブ投資には魅力的なメリットがある一方で、押さえておくべきデメリットや注意点も多数あります。代表的なものを順に見ていきましょう。
デメリット①:流動性が低く、必要な時にすぐ換金できない
多くのオルタナティブ資産は市場で自由に売買できないか、売買に時間を要します。未公開株や不動産は買い手をすぐに見つけるのが難しく、ヘッジファンドやPEファンドも解約に制限があるケースが一般的です。投資後は数ヶ月~数年、資金がロックアップ(拘束)され途中解約できないこともしばしばです。
そのため、いざ資金が必要になってもすぐ現金化できないリスクを常に念頭に置く必要があります。流動性の低さは価格形成の面でも不利に働きやすく、「売りたいときに売れず、買いたいときに買えない」状況から想定外の損失を被る可能性もあります。
デメリット②:最低投資額が高額で、まとまった資金が必要になる
オルタナティブ投資の多くはまとまった資金を必要とします。ヘッジファンドやPEファンドでは数百万円~数千万円の最低出資額が設定されていることが珍しくなく、少額ではそもそも投資できない商品もあります。例えば伝統的資産なら株式を1万円から買えるのに対し、オルタナティブ資産では1人1000万円出して10人で1億円集める、といったイメージです。
一部には1万円程度から買えるオルタナティブ投信やクラウドファンディング商品も出てきましたが、全般的には「お金持ちの投資領域」という側面が残ります。よって初心者が気軽に試すにはハードルが高く、資金的余裕がない状態で無理に手を出すべきではないでしょう。
デメリット③:情報が不透明で、投資判断が難しい
未公開企業やプライベートファンドへの投資では、投資対象の情報開示が乏しい場合があります。上場株式のように詳細な財務情報や市場からの評価が常に得られるわけではなく、内部情報にアクセスできるプロ投資家でなければリスクを正確に判断しづらいこともあります。
また商品自体の仕組みが複雑で、素人が理解することが困難なケースも多いです。例えばヘッジファンドの運用報告は高度な金融工学の専門用語が並ぶこともあり、どんなリスクを取っているのか把握しにくいでしょう。情報不足や複雑さゆえに、十分理解しないまま投資すると想定外の損失を被るリスクが高まります。オルタナティブ投資を行う際は、自分で把握できる範囲内で臨むことが大切です。
デメリット④:管理報酬や成功報酬などの手数料が割高
ヘッジファンドの「2と20」(年率2%の管理報酬+20%の成功報酬)に代表されるように、オルタナティブ運用商品は一般に手数料体系が割高です。信託報酬の安いインデックス投信(年0.1%台など)に慣れた投資家にとって、年数パーセントもの管理報酬や利益の一定割合を差し引かれる成功報酬は重いコスト負担となります。また運用スキームが複雑な分、弁護士や会計士への報酬など裏側の費用もかさみがちです。高コストはリターンを目減りさせる要因になるため、手数料に見合う成果が期待できるか慎重に判断する必要があります。
デメリット⑤:投資先企業の倒産や災害など固有のリスクがある
オルタナティブ資産それぞれに特有のリスクがあります。未公開株やベンチャー投資では投資先企業の倒産リスクがつきまとい、債券以上に元本棄損の可能性があります。不動産投資は災害リスクや景気後退による賃料下落リスク、コモディティは商品市況の急変や価格操作のリスクがあります。
ヘッジファンドはレバレッジ取引による損失拡大リスクや、想定外の相場変動で戦略が破綻するリスクも考えられます。さらに暗号資産はハッキングや取引所破綻といった技術的・制度的リスクも存在します。このようにオルタナティブごとに異なる固有リスクを理解しておかなければ、思わぬ損害を被る可能性があります。
デメリット⑥:詐欺的な勧誘や実態のない商品に注意が必要
規制の網が比較的緩やかなオルタナティブ分野では、悪質な業者や詐欺的な投資話も紛れ込みやすいです。特に未公開株や海外不動産、仮想通貨の世界では「必ず儲かる話」など甘い言葉で勧誘し、実態のない案件に資金を集める詐欺が報告されています。
高齢者や投資初心者が狙われるケースもあるため、不自然に高利回りを謳う話や実績・素性の不透明な運用者には十分注意しましょう。信頼できる情報源から調べ、必要なら専門家の意見も聞くなどして、安易に飛びつかない心構えが必要です。
オルタナティブ投資のポートフォリオ構成例
オルタナティブ投資を取り入れたポートフォリオの構成例から、具体的な効果や考え方を学びましょう。
ケース1:個人投資家|資産の15%を加えリスクを安定化させる例
例えば「株式70%・債券30%」で運用しているポートフォリオの一部を、オルタナティブ資産に振り替えるケースを考えます。資産の15%を「不動産10%・金5%」といった形に組み替えることで、株式市場の下落時に金価格が損失を和らげたり、不動産の安定収益がリターンを下支えしたりする効果が期待できます。このように、伝統的資産とは異なる値動きの資産を加えることで、ポートフォリオ全体の値動きを安定させ、リスク効率の向上が狙えます。
ケース2:海外大学基金|70%以上を投じ高いリターンを追求する例
世界の機関投資家はオルタナティブ投資を積極的に活用しています。米ハーバード大学基金は、資産の7割以上をオルタナティブに配分し、2021年度には34%という高いリターンを記録しました。イェール大学基金も同様の戦略で、過去20年間の平均年利が12%に達した実績があります。一方、日本の年金積立金を運用するGPIFは上限を5%と定め、比較的慎重に分散効果を追求しています。これらの事例は、運用目的や期間に応じてオルタナティブ資産の比率を調整することの重要性を示唆しています。
ケース3:日本の大学基金|60%の配分で低リスクのままリターンを底上げする例
日本国内でも先進的な事例があります。東京大学基金は、2020年に策定した目標ポートフォリオでオルタナティブ資産の比率を60%に設定。多様な非伝統資産を駆使し、運用開始から2024年3月末までの平均年利は5.5%と安定した成果を上げています。これは、伝統的資産に偏らず高度な分散投資を行うことで、低金利下でもリターンの底上げを目指す好例です。個人投資家にとっても、資産を守り育てる上でオルタナティブ投資の活用が有効な選択肢となり得ます。
よくある質問(FAQ)
この記事のまとめ
オルタナティブ投資は、株式や債券と異なる値動きにより、リスクを抑えながら収益向上を目指せる点が魅力です。一方で、流動性の低さや高い手数料、透明性の不足など、注意すべき課題も存在します。初心者の場合は、REITやコモディティETFのような換金性が高く少額で始められる資産から取り入れ、経験を積むのがおすすめです。高額投資となるヘッジファンドやPEファンドなどは、専門家の助言を得て慎重に検討するとよいでしょう。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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オルタナティブ投資
オルタナティブ投資とは、伝統的な投資対象である株式や債券以外の資産への投資を指します。主な投資対象には、不動産、インフラ、プライベートエクイティ(未公開株式)、コモディティ(商品市場)、ヘッジファンド、ベンチャーキャピタル、貴金属、仮想通貨などが含まれます。 この投資手法の主な特徴として、伝統的な市場との相関が低いため、ポートフォリオ全体のリスク分散効果が期待できることが挙げられます。また、投資対象や手法の選択肢が広がることで、より柔軟な投資戦略を構築することが可能になります。 ただし、オルタナティブ投資には留意点もあります。一般的に流動性が低い場合が多く、また専門的な知識が必要とされることから、長期的な投資視点を持って取り組む必要があります。
証券化
証券化とは、もともと流動性の低い資産(すぐに現金化しにくい資産)をもとに、将来得られる収益を裏付けとして、投資家向けに売買可能な証券を発行する仕組みのことです。わかりやすく言えば、「資産を金融商品に変える」手法です。 たとえば、住宅ローンやオートローン、売掛金、不動産などから将来得られる返済や収入をまとめて、それを担保とした「資産担保証券(ABS)」を発行し、投資家に販売します。これによって、企業は本来すぐに現金化できない資産を活用して資金を調達できるようになります。 証券化された商品は、複数の資産をまとめて分散効果を持たせたり、信用リスクを分割・構造化することもできるため、機関投資家向けの高度な金融商品として発展してきました。一方で、2008年のリーマン・ショック時には、住宅ローン担保証券(MBS)の過剰な証券化が信用不安を拡大させた側面もあり、リスク管理の重要性も同時に認識されています。 証券化は、資産の有効活用・流動性向上・資金調達の多様化といった観点で、現代の金融市場における重要な金融技術のひとつです。
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金を使って、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの不動産に投資し、そこで得られた賃貸収入や売却益を分配する金融商品です。 REITは証券取引所に上場されており、株式と同じように市場で売買できます。そのため、通常の不動産投資と比べて流動性が高く、少額から手軽に不動産投資を始められるのが大きな特徴です。 投資家は、REITを通じて間接的にさまざまな不動産の「オーナー」となり、不動産運用のプロによる安定した収益(インカムゲイン)を得ることができます。しかも、実物の不動産を所有するわけではないので、物件の管理や修繕といった手間がかからない点も魅力です。また、複数の物件に分散投資しているため、リスクを抑えながら収益を狙える点も人気の理由です。 一方で、REITの価格は、不動産市況や金利の動向、経済環境の変化などの影響を受けます。特に金利が上昇すると、REITの価格が下がる傾向があるため、市場環境を定期的にチェックしながら投資判断を行うことが重要です。 REITは、安定した収益を重視する人や、実物資産への投資に関心があるものの手間やコストを抑えたい人にとって、有力な選択肢となる資産運用手段の一つです。
J-REIT(Japan Real Estate Investment Trust)
J-REIT(ジェイリート)とは、「Japanese Real Estate Investment Trust」の略で、日本国内で設立・運用される不動産投資信託のことです。東京証券取引所を中心に上場しており、オフィスビル、商業施設、住宅、物流施設、ホテルなど、多様な不動産に投資します。投資家から集めた資金で不動産を取得・運用し、賃貸収入や売却益を原資として、利益の90%以上を分配することで法人税の軽減を受ける仕組みになっています。 J-REITは、税制優遇を受けられる点や比較的安定した分配金が期待できることから、国内投資家にとって魅力的な資産運用手段の一つです。ただし、日本経済や不動産市場の動向、金利変動、自然災害リスクなどの影響を受けるため、慎重な運用が求められます。もともとREITは米国で生まれた仕組みですが、日本の法律や市場環境に適応した制度が整備され、J-REITとして発展しています。
ヘッジファンド
ヘッジファンドは、私募形式の投資信託です。富裕層や機関投資家向けに設計された投資ファンドで、高いリターンを追求するために多様な戦略を活用します。短期売買や空売り、デリバティブ(金融派生商品)などを駆使し、市場平均を上回る成果を目指します。 伝統的なファンドに比べて規制が比較的緩やかであるため、運用の柔軟性が高い一方で、情報開示の水準が異なり、ファンドによっては透明性が低い場合があります。また、成功報酬を含む手数料体系は一般的な投資信託よりも高く設定される傾向があり、一定の資金拘束期間が設けられることが多いため、流動性が低い点にも留意が必要です。 投資家は、これらの特性を理解した上で、自身のリスク許容度に合った選択をすることが重要です。
アセットクラス(資産クラス)
資産クラスとは、性質やリスク・リターンの特性が似ている金融資産を分類するためのカテゴリーのことです。代表的な資産クラスには、以下のようなものがあります。 株式(国内株・外国株など) 債券(国債・社債など) 不動産(現物不動産・REITなど) 現金・預金(流動性資産) コモディティ(金、原油、農産物など) それぞれの資産クラスは異なる値動きをするため、特定の市場環境で上昇するものもあれば、下落するものもあります。この特性を活かし、複数の資産クラスを組み合わせることでリスクを分散し、安定的な運用成果を目指す方法が「アセットアロケーション(資産配分)」です。 資産運用において、資産クラスの特徴を理解することは、自分に適した投資スタイルやリスク許容度に合った運用戦略を組み立てるうえで欠かせません。投資初心者にとっても、資産クラスの考え方を知ることは、長期的な資産形成の出発点となります。