専門用語解説
段階的接近法
段階的接近法(Successive Approximation Method)は、短期マクロ経済予測で用いられる反復的な精緻化手法です。まず GDP や物価などのベースラインを設定し、その後に発表される統計や企業ヒアリングの情報で乖離を確認し、モデルや前提を少しずつ修正します。
海外では 1950 年代からフランス政府や OECD の需要予測で同様の「逐次近似法」が採用されており、日本経済研究センター(JCER)は 1967 年に四半期モデルへ組み込み、日本の景気見通しに定着させました。統計と実務感覚を両立させ、不確実性下でも外生ショックに追随しやすいことが利点です。
このプロセスを複数回回すことで数値が収れんし、最終的に国民経済計算の整合性を保ったまま予測表を完成させます。また、前提変更の影響を逐次把握できるため、政策シナリオ比較にも応用しやすいとされています。
一方、中央銀行が金利を小幅ずつ動かす運営スタイルは漸進主義(gradualism)と呼ばれ、“政策実行”の手法であって、予測手順である段階的接近法とは区別されます。