専門用語解説
ポータビリティ
ポータビリティとは、制度やサービスの権利や機能を、職場や生活拠点が変わっても継続して利用できる性質を指します。資産運用や年金の分野では「年金ポータビリティ」が代表例で、転職や独立の際にも、それまで積み立てた年金資産を失わずに次のステージへ持ち運べる仕組みを意味します。
日本の企業年金は大きく確定給付型(DB)と確定拠出型(DC)に分かれますが、ポータビリティの取り扱いは両者で異なります。DBは会社が将来の給付額を保証する仕組みのため、そのまま転職先へ持ち運ぶことはできません。ただし、在職中に積み立てた掛金相当額を「企業年金連合会」に移管して将来年金として受け取る、あるいは一定条件を満たして企業型DCや個人型DC(iDeCo)に移換する方法が用意されています。
一方、DCは本人ごとの個別口座で運用されるため転職時の移管が柔軟で、旧勤務先の企業型DCの残高を新勤務先の企業型DCやiDeCoへスムーズにスライドできます。こうした制度を理解し、転職時には自分が加入している年金がDBかDCかを確認し、どの移換先を選ぶかを早めに検討しておくことが、資産形成の継続性と安心感を高める鍵となります。