確定申告は「どの収入・控除」で必要?やり方や給与・年金・投資・医療費の判断基準をわかりやすく整理

確定申告は「どの収入・控除」で必要?やり方や給与・年金・投資・医療費の判断基準をわかりやすく整理
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公開:
2026.02.04
更新:
2026.02.04
給与だけでなく、年金やパート収入、投資の利益、医療費やふるさと納税などが重なると、「自分は確定申告が必要なのか」「申告すればいくら戻るのか」が途端に判断しづらくなります。さらに、扶養の出入りや休職、保険金の受取りなど、生活の小さな変化が申告要否に影響することも少なくありません。放置すれば控除を逃したり、本来不要な申告をしてしまうなど、思わぬ損失につながる可能性があります。この記事では、代表的な収入・控除・家族構成のパターンをもとに、確定申告の必要性と判断軸を整理し、自分の状況で確認すべきポイントを具体的に解説します。
目次
確定申告の期間はいつからいつまで?提出期限と遅れた場合のリスク
還付申告・修正申告とは?「払いすぎ」や「間違い」がある時の手続き
申告が必要になる代表例|給与2000万超・副業・投資・年金など
申告不要なケースと「不要でも申告すべき(還付)」ケースの境界線
いくらから必要?「収入」と「所得」の違いと20万円ルールの判定
確定申告しないとどうなる?無申告のペナルティと住民税への影響
会社員が確定申告すべき5つのパターン(医療費・住宅ローン・投資等)
パート・アルバイトの「160万・130万の壁」と確定申告の混同を整理
税金を取り戻す「控除」完全ガイド|医療費・ふるさと納税・住宅ローン
ふるさと納税の確定申告|ワンストップ特例との違いと併用ルール
社会保険料控除|国民年金や追納分(学生納付特例)の証明書と申告
住宅ローン控除|初年度は確定申告が必須!必要書類と2年目以降の流れ
家族・夫婦の確定申告|医療費控除は誰がやる?共働きや世帯の論点
親を扶養に入れる(75歳以上等)条件と遺族年金・障害年金の扱い
投資(株・配当・NISA)の確定申告|損益通算と申告不要制度の選び方
特定口座(源泉あり・なし)と一般口座の違い|申告が必要なのは?
配当金は確定申告すべき?総合課税・申告分離課税・不要制度の有利不利
米国株・海外投資の確定申告|外国税額控除で二重課税を取り戻す
外国税額控除のやり方|配当の二重課税を調整する必要書類と上限
国内FXと海外FXの税金の違い|申告分離課税と総合課税の区分
仮想通貨(暗号資産)はいくらから申告?雑所得の計算と損失の扱い
ポイ活・ポイント投資などの副収入は見落とし厳禁|雑所得の申告ライン
副業や仮想通貨は会社にバレる?住民税の「普通徴収」とその限界
金・外貨・保険・年金の確定申告|解約返戻金や満期金の税金ルール
金(ゴールド)・貴金属を売却した時の税金|譲渡所得と50万円控除
入院給付金やがん保険金を受け取ったら医療費控除から差し引く?
退職・転職・休職した年の確定申告|年末調整していない場合の対応
年の途中で退職・失業した場合|還付申告で払いすぎた税金を取り戻す
失業手当・傷病手当金・遺族年金は非課税|確定申告における扱い
確定申告のやり方と必要書類|e-Taxの流れ・書き方・提出後の保管
必要書類チェックリスト|源泉徴収票・マイナンバー・控除証明書
確定申告とは?対象期間・期限と年末調整との違い
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得を合計し、国に納めるべき税額を最終的に確定させる手続きです。会社員は通常、会社が行う年末調整で納税が完了しますが、副業や投資による収入がある場合や、特定の控除を受けたい場合には、個別に確定申告を行う必要があります。ここでは基本的なスケジュールや、年末調整との役割の違いについて解説します。
確定申告の期間はいつからいつまで?提出期限と遅れた場合のリスク
申告の対象となるのは、原則としてその年の1月1日から12月31日までに得た所得です。この内容を申告・納税する期間は、申告・納税の期限は、原則として翌年2月16日から3月15日です。期限日が土日祝に当たる年は、翌平日が期限になります。年によって最終日が変わるため、国税庁の当年案内で必ず確認しましょう。
提出先は、原則として納税地(通常は住所地)を所轄する税務署です。住民票と実際の居住地が異なる場合などは、後述の「納税地」の考え方に沿って判断します。
- 書類を持参や郵送で提出する方法のほか、現在はスマートフォンとマイナンバーカードを利用したe-Tax(電子申告)が便利です。期限を過ぎると延滞税などのペナルティが発生する場合があるため、毎年の国税庁の案内を確認し、余裕を持って準備することが大切です。
確定申告と年末調整の違い|会社員でも両方必要なケースとは
年末調整と確定申告は、どちらも1年間の税金を精算する手続きですが、誰がどの範囲を行うかが異なります。年末調整は、勤務先が従業員の給与にかかる税金のみを計算し、過不足を調整する仕組みです。一方、確定申告は、個人が給与を含むすべての所得を計算し、税額を確定させる手続きです。
基本的には、会社員は年末調整だけで納税が完結します。しかし、給与以外の収入がある場合や、医療費控除、初年度の住宅ローン控除など、年末調整では対応できない控除を受ける場合は確定申告が必要です。年末調整は給与の精算装置、確定申告は所得全体の精算装置とイメージして使い分けましょう。
年末調整については以下記事で詳しく解説しています。
還付申告・修正申告とは?「払いすぎ」や「間違い」がある時の手続き
確定申告には、通常の申告以外に、税金を取り戻すための手続きやミスを直すための手続きがあります。
払いすぎた税金の返還を求める手続きを、一般に還付申告と呼びます。還付を受ける申告は、通常の申告期限とは別に、対象年分の翌年1月1日から5年以内に行えます。
- 一方、申告内容に誤りがあった場合は訂正が必要です。本来より税額が少なかった場合は修正申告を行い、速やかに追加納税します。逆に、本来より多く申告してしまった場合は更正の請求を行うことで、納めすぎた税金を取り戻せます。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
確定申告が必要な人・不要な人・した方が得な人の判断方法
確定申告の要否判断は、収入の種類や金額、適用したい控除によって分かれます。ここでは、申告義務がある人、原則不要な人、そして義務はないものの申告することで税金が戻ってくる可能性がある人のパターンを整理し、自分に必要な手続きを判断するための基準を解説します。
申告が必要になる代表例|給与2000万超・副業・投資・年金など
会社員や年金受給者であっても、一定の収入条件を超えたり、複数の収入源があったりする場合は確定申告が必須となります。ここでは、給与、投資、年金など、収入の性質ごとに申告が必要となる典型的なケースを紹介します。
給与所得者(会社員等)で確定申告が必要になりやすい例
会社員でも給与年収が2,000万円を超える場合は年末調整の対象外となり、確定申告が必要です。また、給与や退職金以外の所得が年間20万円を超える場合も申告義務が生じます。
ここでの「給与以外の所得」とは、副業(業務委託、転売、広告収入など)による所得や、投資の利益、保険の満期金などが該当します。
投資で申告が絡みやすい例
源泉徴収なしの特定口座や一般口座で利益が出ている場合は、自分で税額を計算して申告する必要があります。
源泉徴収ありの特定口座は原則申告不要ですが、複数の口座で損益を通算したい場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合は申告を行います。また、米国株などの配当で外国税額控除を受けたい場合も申告が必要です。
年金受給者で申告が必要になりやすい例
公的年金等の収入が400万円以下で、その他の所得が20万円以下であれば申告は不要という「確定申告不要制度」があります。逆に言えば、この基準を超える場合や、医療費控除などで還付を受けたい場合は申告を検討する必要があります。
給付金(失業手当・傷病手当金など)
失業手当や傷病手当金、遺族年金などは非課税所得であり、これら自体には税金がかかりません。そのため、これらの受給のみを理由とした確定申告は不要です。
ただし、年の途中で退職し年末調整が済んでいない場合や、これら以外の所得がある場合は、全体の収支を見て申告の要否を判断します。
申告不要なケースと「不要でも申告すべき(還付)」ケースの境界線
原則として、給与が1か所で年末調整が済んでおり、副業等の所得が20万円以下の場合は申告不要です。また、源泉徴収ありの特定口座で運用が完結している場合も同様です。
一方で、義務はなくても申告した方が得になるケースがあります。医療費控除、ふるさと納税(ワンストップ特例未使用時)、住宅ローン控除(初年度)など、年末調整で処理できない控除がある場合です。これらは自ら申告しないと税金が戻ってきません。
公的年金受給者の場合の特則
年金収入が400万円以下等の条件を満たし申告不要制度の対象であっても、税金が還付される申告を行うことは可能です。ただし、所得税の申告をしない場合でも、住民税の申告は別途必要になることがあるため注意してください。
いくらから必要?「収入」と「所得」の違いと20万円ルールの判定
確定申告の要否判定で最も重要なのが、入金額である「収入」と、そこから経費等を引いた「所得」の違いです。会社員の副業における「20万円」基準は、収入ではなく所得(収入−必要経費)で判定します。なお、所得税の確定申告が不要となる場合でも、住民税の申告が別途必要になることがある点には注意が必要です。
例えば、副業の売上(収入)が30万円あっても、そのためにかかった必要経費が15万円であれば、所得は15万円となります。この場合、基準の20万円以下となるため、所得税の確定申告は不要です。
副業がある場合の確定申告については、以下Q&Aでも説明しています。
確定申告しないとどうなる?無申告のペナルティと住民税への影響
申告義務があるのに放置すると、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されます。
また、申告をしないと正確な所得証明が発行できず、住宅ローンや保育料の算定、各種給付金の手続きで支障が出る可能性があります。さらに、本来受け取れるはずの還付金を取り逃がすことは、家計にとって単純な損失です。リスクを避けるためだけでなく、適正な納税と還付のために申告を行いましょう。
会社員・パート・副業の確定申告|年末調整済みでも必要な場合
会社員やパート勤務の方は、基本的に年末調整で税金の手続きが完了します。しかし、年末調整では処理できない控除を受ける場合や、給与以外の収入がある場合には、個別に確定申告を行う必要があります。ここでは、会社員でも申告が必要になる具体的なケースや、パート勤務の方が特に注意すべき年収の壁について解説します。
会社員が確定申告すべき5つのパターン(医療費・住宅ローン・投資等)
年末調整が済んでいても、確定申告が「必要になる」場合と、「義務はないが申告すると有利な(還付が見込める)」場合があります。以下は代表例です。
会社員が確定申告すべき代表例
- 申告が必要になりやすい例:副業所得が年間20万円を超える場合、投資で申告が必要な口座・取引がある場合など
- 申告すると有利な例:医療費控除、住宅ローン控除(初年度)、ふるさと納税(ワンストップ特例が無効になるケースを含む)など
年末調整済みだから申告不要と決めつけず、年末調整では反映しきれない事情がないかを確認することが重要です。
パート・アルバイトの「160万・130万の壁」と確定申告の混同を整理
パートやアルバイトで働く際に意識される年収の壁ですが、税金(所得税・住民税)の話と、社会保険(健康保険・厚生年金)の話をごちゃ混ぜにしてしまうと判断を誤ります。それぞれの壁はルールも判定基準も異なるため、分けて理解することが大切です。
所得税側:「160万円の壁」だけで考えない(制度改正に注意)
いわゆる「160万円の壁」などの税制上の基準は、基礎控除や給与所得控除などの見直しにより変更されることがあります。実際に、2026年からは「178万円の壁」に引き上げられる予定です。
就業調整や扶養の判定は、数字を固定的に覚えるのではなく、対象年分の最新制度(控除額・判定基準)に基づいて確認しましょう。
社会保険側:「130万円」「106万円」等は“税”とは別ルール
税金とは別に、社会保険の扶養に入れるかどうかの基準として130万円の壁があります。これは主に健康保険のルールであり、交通費込みの年収見込みで判定されるなど、税金とは計算方法が異なります。
また、勤務先の規模によっては年収106万円以上で社会保険への加入義務が生じるケースもあります。所得税がかからなくても、社会保険の扶養からは外れるというケースは多々あるため、税と社会保険は別物として考える必要があります。
掛け持ち(複数給与)の落とし穴
複数の勤務先から給与をもらっている場合、メインの勤務先で年末調整を受けていても、サブの勤務先からの給与やその他の所得が申告の対象になることがあります。
源泉徴収されているから大丈夫とは限りません。年末調整はあくまで一か所の勤務先で行うものなので、それ以外の収入がある場合は、確定申告で全体の税額を精算する必要があります。
年の途中で扶養から外れた・入った場合の税金と申告の注意点
扶養の判定において最も注意すべきなのは、税と社会保険で判定期間が異なる点です。
税の扶養は、その年の1月1日から12月31日までの実際の合計所得で判定します。一方、社会保険の扶養は、今後向こう1年間の見込み収入や、その時点での実態収入で判定されます。
年の途中で就職や退職、勤務時間の変更があった年は、このズレが原因でトラブルになりがちです。最新の税制改正による所得要件の変化も踏まえ、年収見込み、年末調整の適用範囲、そして確定申告の要否をセットで確認しましょう。
社会保険の切り替えに関しては、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。
税金を取り戻す「控除」完全ガイド|医療費・ふるさと納税・住宅ローン
確定申告を行う最大のメリットは、各種「控除」を活用して払いすぎた税金を取り戻せることです。ここでは、特に申告する人が多く、還付金が発生しやすい主要な控除について解説します。それぞれの適用要件や計算方法、手続き上の落とし穴を事前に押さえ、申告漏れによる損を防ぎましょう。
医療費控除はいくらから?対象範囲・計算式と還付金額の目安
医療費控除は、自分や生計を一にする家族のために支払った医療費が、年間で一定額を超えた場合に受けられる制度です。一般的には「10万円」が基準ですが、総所得金額等が200万円未満の人は「所得の5%」を超えれば対象となります。
計算する際は、実際に支払った医療費から、保険金や給付金で補てんされた金額を差し引く必要があります。また、勘違いしやすい点ですが、控除額がそのまま戻ってくるわけではありません。控除額に自分の税率を掛けた金額が、実際の還付金の目安となります。
手続きでは、領収書の提出は不要ですが、代わりに「医療費控除の明細書」を作成して添付します。ただし、領収書は捨てずに、自宅で5年間保管しておく義務があるため注意してください。
医療費控除の申請や金額については、以下記事で詳しく解説しています。
妊娠・出産・不妊治療費用は医療費控除の対象?補てん金の扱い
妊娠や出産、不妊治療にかかる費用は高額になるため、医療費控除の対象となりやすい項目です。ただし、ここでも「補てんされる金額」の扱いが重要になります。
出産育児一時金や高額療養費などが支給された場合は、その金額を支払った医療費から差し引いて計算します。どの費用が対象で、どの給付金を引くべきか迷ったときは、領収書と給付決定通知書を手元に用意し、費用の性質ごとに整理してから計算するとスムーズです。
ふるさと納税の確定申告|ワンストップ特例との違いと併用ルール
ふるさと納税は、寄附金控除として税金の還付・控除を受けられる制度です。普段は確定申告不要の「ワンストップ特例」を利用している人も多いですが、医療費控除などで確定申告を行う場合は注意が必要です。
確定申告を行うと、それまでに申請したワンストップ特例はすべて無効になります。そのため、確定申告書にはワンストップ特例を申請した分も含め、すべての寄附先と金額を記載し直さなければなりません。これを忘れると、控除が適用されず損をしてしまうため気をつけましょう。
現在はマイナポータル連携を利用することで、寄附データを自動で取り込み、入力を簡略化することも可能です。医療費控除とふるさと納税を併用する場合の計算と入力順序
医療費控除とふるさと納税を同時に申告する場合、効率よく進めるための手順があります。
まずは源泉徴収票や年間取引報告書を用意して、収入金額を確定させます。次に、医療費の明細書と寄附金の受領書を整理します。e-Taxなどの作成コーナーに入力する際は、収入、所得控除(医療費など)、税額控除(住宅ローンなど)、最後に寄附金控除という順番で進めると計算が狂いにくくスムーズです。
ふるさと納税に関する確定申告は「寄附金控除」で行います。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
生命保険料控除|年末調整で忘れた分は確定申告で追加できる?
生命保険料控除は通常、年末調整で処理されますが、証明書の提出を忘れてしまった場合などは確定申告でリカバリーが可能です。
確定申告書には、年末調整ですでに控除された分も含めて、正しい控除額を記載します。源泉徴収票の内容をもとに、申告書作成コーナーで追加や修正を行うことで、年末調整で漏れていた分の税金を取り戻すことができます。
社会保険料控除|国民年金や追納分(学生納付特例)の証明書と申告
その年に支払った国民年金保険料などは、全額が社会保険料控除の対象となります。申告には日本年金機構から送られてくる控除証明書が必要です。
過去に学生納付特例などで猶予されていた分を追納した場合も、その支払った年の控除対象になります。将来受け取る年金額が増えるだけでなく、追納した年の税負担も軽くなるため、節税効果も加味して追納を検討するのが賢い方法です。
住宅ローン控除|初年度は確定申告が必須!必要書類と2年目以降の流れ
住宅ローン控除を受ける最初の年は、会社員であっても必ず確定申告が必要です。売買契約書や登記事項証明書など、添付書類が多くなるため早めの準備が欠かせません。
無事に初年度の申告を済ませれば、2年目以降は税務署から送られてくる申告書等を勤務先に提出することで、年末調整だけで控除を受けられるようになります。
障害者控除・寡婦控除|要件確認と「いくら戻るか」の考え方
本人や家族に障害がある場合の障害者控除や、シングルマザー・ファザー向けの寡婦・ひとり親控除などは、要件に該当すれば一定額を所得から差し引くことができます。
これらも「控除額=戻る金額」ではありません。あくまで課税対象となる所得を減らす仕組みなので、自分の所得税率によって実際の減税効果(戻ってくる金額)が変わる点を理解しておきましょう。家族構成に変化があった年は、適用漏れがないか確認することが大切です。
家族・夫婦の確定申告|医療費控除は誰がやる?共働きや世帯の論点
日本の税金は、原則として個人ごとに計算します。しかし、実際の家計は家族や世帯単位で動いているため、医療費の支払いや扶養の判定において「誰の申告に含めるのが正解か」という疑問が生じがちです。ここでは、家族間で損をしないための申告ルールや、住所と生活実態が異なる場合の対応について解説します。
医療費控除は夫・妻どっちが得?年収による判断と家族分の合算
医療費控除は、自分自身の分だけでなく、生計を一にする家族の分もまとめて申告できます。共働き夫婦の場合、どちらが申告するかで迷うことがありますが、基本的には「所得が高い方」が申告する方が有利です。
所得税は所得が高いほど税率が上がる仕組みのため、同じ控除額でも、税率が高い人が適用した方が節税効果が大きくなるからです。ただし、実際にその医療費を負担していることが前提となるため、家計の実態に合わせて判断しましょう。
共働き夫婦の確定申告は別々が原則|「合算」ができる例外とは
欧米などと異なり、日本には夫婦の所得を合算して申告する制度はありません。夫婦であっても財布(税金)は別々であり、申告書は一人ずつ作成するのが原則です。
ただし、例外として「所得控除」の一部は家族分を含めることができます。前述の医療費控除や、社会保険料控除(配偶者の年金を負担した場合など)が代表例です。収入は合算できないけれど、特定の支出(控除)はまとめて申告できると整理しておくと、混乱を防げます。
親を扶養に入れる(75歳以上等)条件と遺族年金・障害年金の扱い
親を扶養に入れる際は、税法上の収入要件を満たす必要があります。ここで重要なのが、遺族年金や障害年金は「非課税所得」であり、税金の計算上は収入に含まれないという点です。
例えば、遺族年金を多く受け取っていて実際の入金額が多くても、課税対象となる所得が基準以下であれば、税法上の扶養親族になれる可能性があります。健康保険などの社会保険上の扶養とは基準が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
単身赴任・別居・世帯分離|生計を一にする家族の判定基準
税法上の「生計を一にする」とは、必ずしも同居していることを意味しません。単身赴任や就学、療養などで別居していても、生活費や学費の送金が行われていれば、生計を一にしていると認められます。
逆に、同居していても世帯分離をして完全に家計が独立している場合は、別生計とみなされることもあります。住民票上の世帯主が誰かということよりも、実際にお金のやり取りがあり、生活の財布が共通しているかどうかが判断のポイントになります。
住民票と住所が違う場合の確定申告|提出先(納税地)はどこ?
確定申告書を提出する税務署は、原則として「生活の本拠(住所地)」を管轄する署となります。住民票の住所と実際に住んでいる場所が異なる場合は、実際に住んでいる場所を納税地として申告することが一般的です。
この場合、申告書には実際の住所を記載します。管轄の税務署を間違えると書類の転送などで手続きが遅れる原因になるため、国税庁のサイトなどで自分の住所地を管轄する税務署を事前に確認しておきましょう。
投資(株・配当・NISA)の確定申告|損益通算と申告不要制度の選び方
投資の利益にかかる税金は、利用している口座の種類や、申告するかどうかの選択によって最終的な手取り額が変わります。ここでは、申告が必須となるケースと、あえて申告することで払いすぎた税金を取り戻せるケース(損益通算など)の違いを整理し、自分にとって有利な選択ができるよう解説します。
特定口座(源泉あり・なし)と一般口座の違い|申告が必要なのは?
証券口座の種類によって、申告の手間は大きく異なります。「源泉徴収ありの特定口座」を選んでいる場合は、利益が出るたびに税金が自動的に引かれるため、原則として確定申告は不要です。
一方、「源泉徴収なしの特定口座」や「一般口座」で利益が出た場合は、自分で税額を計算して申告・納税する義務があります。ただし、源泉徴収ありの口座であっても、複数の口座間で利益と損失を相殺したい場合などは、あえて申告することを選択できます。
配当金は確定申告すべき?総合課税・申告分離課税・不要制度の有利不利
上場株式の配当金は、受け取る際にすでに税金が引かれているため「申告不要」とするのが一般的です。しかし、あえて申告し、課税方式を選ぶことで節税できる場合があります。
課税所得が低い人は「総合課税」を選んで配当控除を受ける、株の売却損がある人は「申告分離課税」を選んで配当と損失を相殺する、といった使い分けが可能です。どの方式が得かは個人の所得状況や損失の有無によって変わるため、シミュレーションをして判断するのが賢明です。
配当控除をすべきかどうかの基準や具体的な方法に関しては、こちらの記事で解説しています。あわせて参考にしてみてください。
株の損失は繰越控除・損益通算で節税できる|仕組みと手続き
株を売って損失が出た場合、確定申告をすることで、その損失をその年の配当金と相殺したり、翌年以降3年間にわたって繰り越したりできます。これを「繰越控除」と呼びます。
将来利益が出た際の税金を減らせる重要な制度ですが、対象となるのは売却して確定した損失のみです。保有しているだけで値下がりしている状態(含み損)は、税務上の損失としては扱われないため注意してください。
NISAは原則確定申告不要|損益通算できない点に注意
NISA口座での利益は非課税であるため、確定申告は原則不要です。ここで注意すべきなのは、NISAは税制上、他の口座と完全に切り離されているという点です。
NISAで損失が出ても、他の課税口座の利益と相殺(損益通算)することはできず、損失の繰越もできません。「非課税のメリットがある代わりに、損失の救済措置もない」のがNISAのルールです。申告の際は、課税口座の計算にNISA分を混ぜないようにしましょう。複数の証券口座がある場合の確定申告|損益通算のやり方と必要書類
複数の証券会社を利用している場合、それぞれの損益を合算して申告することで、A社の損失でB社の利益を相殺するといった節税が可能になります。
申告の際は、各社から発行される「年間取引報告書」を手元に用意し、口座ごとの数値を集計して記入します。なお、現在は年間取引報告書の税務署への提出(添付)は原則不要となりましたが、申告書の正確な作成には必須の資料であるため、捨てずに保管しておきましょう。
米国株・海外投資の確定申告|外国税額控除で二重課税を取り戻す
近年人気の米国株や海外ETFへの投資ですが、利益が出た際の税金計算は国内株よりも少し複雑です。最大の問題は、現地(米国など)と日本で税金が二重に取られてしまうこと。ここでは、その二重課税を解消するための「外国税額控除」の仕組みや、海外投資特有の申告のポイントを解説します。
外国税額控除については、以下記事で詳しく解説しています。
米国株・ETFの税金が複雑な理由|外国税と為替レートの計算
米国株などの税金が面倒に感じる主な理由は、現地で税金が引かれること、そして日本円への換算が必要なことです。配当金を受け取る際、まず現地で外国税(米国なら10%)が引かれ、残った金額に対してさらに日本の税金(約20%)がかかります。
まずは難しく考えず、国内株と同じように日本の税金を計算して申告書を作ることから始めましょう。その上で、現地で引かれた税金を取り戻すためのオプションとして外国税額控除を追加する、という2段階で考えると全体像がつかみやすくなります。
外国税額控除のやり方|配当の二重課税を調整する必要書類と上限
外国税額控除は、確定申告をすることで、外国で支払った税金を日本の所得税や住民税から差し引ける(取り戻せる)制度です。
手続きには、証券会社から送られてくる「年間取引報告書」や「支払通知書」が必要です。これらの書類で現地の源泉徴収額を確認し、申告書の「外国税額控除」の欄に入力します。ただし、全額が戻ってくるわけではなく、自分の所得税額に応じた上限(控除限度額)がある点には注意が必要です。手間はかかりますが、配当収入が多い人ほど節税効果が高まるため、検討する価値は大いにあります。
海外証券口座・海外所得がある場合の申告区分と注意点
日本の証券会社ではなく、海外の証券会社に直接口座を開設している場合や、海外不動産などの所得がある場合は、さらに注意が必要です。日本の「特定口座(源泉徴収あり)」のような便利な制度が使えないため、自分で年間の損益や為替レートを計算し、日本円に換算して申告しなければなりません。
まずはその収入が配当、譲渡(売却益)、利子などのどの所得区分に当たるかを整理することから始めましょう。区分を間違えると税額が大きく変わることもあるため、金額が大きい場合や判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。FX・仮想通貨・副業の確定申告|雑所得の計算と「会社にバレる」リスク
会社員の副業として人気のFXや仮想通貨、ポイ活などは、税区分上「雑所得」に分類されることが一般的です。しかし、同じ雑所得でもルールが異なったり、損失の扱いが違ったりと、判断に迷いやすいポイントが多々あります。ここでは、それぞれの税金の計算方法の違いと、多くの人が気にする「会社への副業バレ」を防ぐための住民税対策について解説します。
国内FXと海外FXの税金の違い|申告分離課税と総合課税の区分
同じFXでも、国内の業者を使うか海外の業者を使うかで税金のルールが全く異なります。
国内FXは「申告分離課税」です。給与所得などとは切り離して一律の税率(約20%)で計算し、損失が出た場合は翌年以降3年間の繰越控除が可能です。
一方、海外FXは一般的に「総合課税」となります。給与など他の所得と合算して税率が決まるため、所得が高い人ほど税率が上がります。また、国内FXとは異なり、損失の繰越控除はできません。両者は損益通算(利益と損失の相殺)もできないため、別物として計算する必要があります。
仮想通貨(暗号資産)はいくらから申告?雑所得の計算と損失の扱い
ビットコインなどの暗号資産で得た利益は、原則として「雑所得(総合課税)」に分類されます。会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。
注意点は、株や国内FXのような優遇措置がないことです。給与所得と合算されるため最大税率は高くなり、損失が出ても給与の税金を減らすこと(損益通算)はできません。「バレないだろう」と放置せず、取引所から取引履歴をダウンロードし、正しく計算して申告しましょう。
ポイ活・ポイント投資などの副収入は見落とし厳禁|雑所得の申告ライン
ポイントサイトでの報酬やアフィリエイト収入なども、原則として課税対象です。ポイントは「獲得した時」ではなく、「使用した時(または現金等に交換した時)」に所得が発生したとみなされるのが一般的です。
これらも雑所得や一時所得として扱われます。少額であれば申告不要の範囲に収まることが多いですが、年間でまとまった金額を換金している場合は計算が必要です。いつ、いくら分を使ったかという記録は必ず残しておきましょう。
副業や仮想通貨は会社にバレる?住民税の「普通徴収」とその限界
副業が会社に知られる最大の原因は、住民税の金額です。会社は従業員の住民税を給与から天引き(特別徴収)していますが、副業で所得が増えると住民税も増えるため、「給与の割に税金が高い」と気づかれてしまうのです。
対策としては、確定申告書の住民税の納付方法欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択することです。これにより、副業分の住民税通知は自宅に届くようになり、会社への通知を防ぐことができます。ただし、自治体によってはこの選択が認められないケースもあるため、絶対にバレない保証があるわけではない点は理解しておきましょう。
金・外貨・保険・年金の確定申告|解約返戻金や満期金の税金ルール
金や外貨、保険の満期金などは、受け取り方や利益の出方によって税金の区分が複雑に変化します。給与所得とは計算方法が異なる「譲渡所得」や「一時所得」になるケースが多く、特別控除(50万円)の適用可否が納税額を大きく左右します。ここでは、それぞれの金融商品における税金の計算ルールと、申告が必要になるラインについて解説します。
金(ゴールド)・貴金属を売却した時の税金|譲渡所得と50万円控除
金地金などを売却して得た利益は、原則として「譲渡所得」になります。この所得には年間50万円の特別控除枠があるため、金を含むその年の譲渡益の合計が50万円以下であれば、税金はかからず申告も不要です。
また、所有期間が5年を超えている場合は「長期譲渡所得」となり、課税対象額がさらに半分(2分の1)になる優遇措置があります。ただし、短期売買の利益や他の譲渡益がある場合は合算が必要になるため、単に「50万円以下だから大丈夫」と即断せず、年間の取引全体を確認してください。
外貨預金・外貨MMF・外貨建て保険の論点
外貨建ての商品は、利益の種類によって税区分がバラバラになりやすいため注意が必要です。
例えば、外貨預金の為替差益は「雑所得(総合課税)」となり、給与などと合算されて税率が決まります。一方、外貨MMFの売却益は「譲渡所得(申告分離課税)」として、株と同じように約20%の税率で完結します。外貨建て保険は解約のタイミング等で一時所得や雑所得に分かれます。「外貨だから全部雑所得」と決めつけず、商品ごとの年間取引報告書を確認して区分けすることが大切です。
債券・国債の利子|源泉分離課税と申告不要制度の基本
国債や社債の利子は、受け取る時点で約20%の税金が天引きされているため、原則として確定申告は不要です。
あえて申告をするメリットがあるのは、債券の売却で損失が出ている場合などです。申告分離課税を選択して利子と損失を相殺(損益通算)すれば、天引きされた税金の一部を取り戻せる可能性があります。特に損失がない場合は、申告不要のままにしておくのが最も手間のかからない方法です。満期保険金・解約返戻金の税金|一時所得の計算と申告要否
生命保険の満期金や解約返戻金を一括で受け取った場合、それは「一時所得」に分類されます。一時所得には50万円の特別控除があり、さらにその残額を2分の1にした金額だけが課税対象となります。
計算式は「(受取額 − 支払った保険料 − 50万円)× 1/2」です。この計算結果がゼロ以下なら税金はかかりません。プラスになった場合でも、会社員であれば給与以外の所得が合計20万円以下なら申告不要となるため、実際に申告が必要になるケースは利益が大きく出た場合に限られます。
学資保険の満期金や個人年金|受取人による税区分の違い
保険の税金で最も注意すべきなのは、「誰が保険料を払い、誰が受け取るか」という契約形態です。保険料を負担した人と受取人が同じであれば所得税の対象ですが、異なる場合は「贈与税」の対象となり、税負担が重くなる傾向があります。
また、同じ所得税でも、一括で受け取れば「一時所得」、年金形式で受け取れば「雑所得」となり、計算方法が変わります。特に個人年金(雑所得)は、公的年金とは分けて計算する必要があるため、保険会社から届く通知書をよく確認しましょう。
入院給付金やがん保険金を受け取ったら医療費控除から差し引く?
医療費控除を計算する際、入院給付金や出産育児一時金などで補てんされた金額は、支払った医療費から差し引かなければなりません。
ただし、差し引くのは「その給付の対象となった医療費」の範囲内です。例えば、骨折の治療費に対して出た保険金を、関係のない風邪の治療費や歯科矯正費から引く必要はありません。給付金をもらったからといって医療費控除が使えないわけではないので、治療内容と給付金を紐づけて整理することがポイントです。
退職・転職・休職した年の確定申告|年末調整していない場合の対応
退職や転職、休職といったライフイベントがあった年は、会社での年末調整ができなかったり、収入の計算が複雑になったりしがちです。払いすぎた税金を取り戻すための申告や、失業手当などの非課税所得の扱いについて、損をしないための正しい対応方法を解説します。
年の途中で退職・失業した場合|還付申告で払いすぎた税金を取り戻す
退職して年内に再就職しなかった場合、会社での年末調整が行われません。在職中に源泉徴収された所得税は「1年間働き続ける前提」で計算されているため、途中で退職すると多くの場合で税金を払いすぎています。確定申告をすることで、これらが還付される可能性が高いです。
また、退職後に自分で納めた国民健康保険料や国民年金保険料も全額が控除の対象になります。申告書の作成には退職時の源泉徴収票が必要になるため、必ず手元に用意しましょう。現在は提出(添付)は不要ですが、正しい数字を入力するために不可欠です。
失業手当・傷病手当金・遺族年金は非課税|確定申告における扱い
ハローワークから受け取る失業手当(基本手当)、休職中の傷病手当金、遺族年金や障害年金は、いずれも「非課税所得」です。これらには税金がかからないため、確定申告の収入金額に含める必要はありません。
よくある誤解ですが、「失業手当をもらったから確定申告が必要」ということはありません。ただし、年の途中で退職して年末調整が済んでいない場合や、在職中の給与所得について医療費控除を受けたい場合などは申告が必要です。その際も、これら非課税の給付金は計算から除外して申告書を作成します。
転職して再就職した場合|前職の源泉徴収票がない時の対処法
年の途中で転職した場合、原則として新しい勤務先で前職分も含めて年末調整を行います。これが完了すれば、自分で確定申告をする必要はありません。
しかし、前職の源泉徴収票の発行が遅れるなどして新居先への提出が間に合わなかった場合は、年末調整で前職分が反映されません。このケースでは、自分で確定申告を行って前職と現職の収入を合算し、税額を精算する必要があります。放置すると正確な納税ができていない状態になるため、必ず手続きを行いましょう。
確定申告のやり方と必要書類|e-Taxの流れ・書き方・提出後の保管
確定申告の準備から提出までの実務的な流れを解説します。手戻りを防ぐためには、いきなり入力を始めるのではなく、手元に必要な書類をすべて揃える「段取り」が8割です。ここでは、必要書類のチェックリスト、スマホを使ったe-Taxの送信手順、そして提出後の書類保管ルールまで、作業をスムーズに進めるためのポイントをまとめました。
必要書類チェックリスト|源泉徴収票・マイナンバー・控除証明書
確定申告のスムーズさは、事前の資料集めで決まります。作成途中で「あれがない」と中断しないよう、以下の書類を手元に揃えてからスタートしましょう。
必要書類
- 給与・年金関係:源泉徴収票(提出は不要ですが、正確な入力のために必須です)
- 投資関係:年間取引報告書、配当金の支払通知書
- 控除関係:医療費のお知らせや領収書、ふるさと納税の受領証、生命保険・地震保険・社会保険の控除証明書
- その他:マイナンバーカード(および利用者証明用パスワード)、還付金受取用の口座情報
特に住宅ローン控除を初めて受ける場合は、売買契約書の写しや登記事項証明書など、通常より多くの書類が必要になるため早めの手配が重要です。
スマホ・PCでのe-Tax(電子申告)の流れ|入力手順と送信方法
現在はスマートフォンとマイナンバーカードがあれば、自宅から簡単にe-Taxで申告できます。事前に「マイナポータルアプリ」をインストールし、暗証番号を用意しておきましょう。
入力作業は、一般的に「収入の入力」から始まり、「所得控除(医療費や扶養など)」、「税額控除(住宅ローンなど)」を経て、「還付・納付の手続き」という順に進めるとエラーが起きにくくスムーズです。特に投資の損益通算や外国税額控除などの複雑な項目は、基本情報を入力した後の後半で処理するのがコツです。
申告書の書き方|「収入金額」と「所得金額」の記載ミスを防ぐ
申告書作成で最もつまずきやすいのが、「収入」と「所得」という用語の違いです。ここを間違えると税額や控除判定が変わってしまうため、次のように日常用語に置き換えて理解しましょう。
書き方
- 収入金額:入ってきたお金の総額(給与なら天引き前の額面、事業なら売上)
- 所得金額:収入から必要経費や給与所得控除を引いた「実際のもうけ」
- 合計所得金額:すべての所得を合算した額(配偶者控除などの判定に使います)
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、源泉徴収票の「支払金額」を収入欄に入力するだけで、所得金額は自動計算されるため安心です。領収書や証明書の保管期間|提出不要でも5年間保存が必要な理由
e-Taxの普及により、源泉徴収票や医療費の領収書など、多くの書類が税務署への提出不要となりました。しかし、これらは「捨ててよい」わけではありません。
税務署から内容の確認を求められた場合、自宅にある原本を提示する必要があります。特に医療費控除の領収書は、法定申告期限から5年間の保存義務があります。その他の控除証明書や取引書類も、後から間違いに気づいた際の確認に使うため、申告書控えと一緒にクリアファイル等にまとめ、5年間は保管しておくのが安全です。申告後の疑問|還付金はいつ振り込まれる?住民税への影響と修正
確定申告書を提出して終わりではありません。払いすぎた税金がいつ戻ってくるのか、申告結果が翌年の住民税にどう影響するのか、もし間違いに気づいたらどうすればいいのか。ここでは、申告後に多くの人が抱く疑問点と、トラブルを防ぐための事後対応について解説します。
還付金の入金時期と振込通知|予定より遅い場合の確認方法
還付金の振込にかかる期間は、申告方法によって異なります。還付金の入金時期は目安で、申告時期や内容、税務署の処理状況により前後します。一般に、e-Taxは比較的早く、書面提出は時間を要する傾向があります。
具体的な入金予定日は、e-Taxのマイページで処理状況を確認するか、税務署から届くハガキ(振込通知書)で知ることができます。還付金はボーナスではなく、あくまで払いすぎた税金の精算です。資産運用の観点からも、戻ってくるはずのお金を申告漏れで失わないよう、最後まで確実に受け取りましょう。
確定申告の結果は住民税にどう反映される?納付方法の変更点
確定申告の内容は自動的にお住まいの自治体に共有され、翌年度の住民税額が計算されます。会社員の場合、決定した住民税は原則として6月から翌年5月にかけて給与から天引き(特別徴収)されます。
副業をしている人が気にする「会社バレ」の多くは、この住民税額が給与に対して不自然に増えることで発覚します。対策として、確定申告書の住民税欄で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ方法はありますが、自治体の方針によっては強制的に給与天引きとされるケースもあります。「絶対にバレない裏ワザ」は存在しないため、就業規則を確認した上で適正に申告・納税を行うのが最も安全な道です。
なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告だけは別途必要になるケースがある点にも注意してください。
申告内容を間違えた・忘れた場合|修正申告と更正の請求の手順
申告期限が過ぎた後に間違いに気づいた場合は、税額が増えるか減るかで手続きが異なります。
税金を本来より少なく申告していた場合は「修正申告」を行います。不足分を納付する必要がありますが、放置すると延滞税などが加算されるため、気づいたらすぐに手続きしましょう。
逆に、税金を払いすぎていた場合は「更正の請求」を行います。こちらは原則として法定申告期限から5年以内であれば請求可能です。諦めずに手続きをすれば、納めすぎた税金が戻ってきます。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
関連する専門用語
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
年末調整
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。
申告納税制度
申告納税制度とは、納税者が自ら所得や利益を計算し、税額を算出して申告し、その金額を納める仕組みのことを指します。日本の所得税や法人税はこの制度を採用しており、納税者は決算や収支に基づいて正しい税額を申告する責任があります。税務署は提出された申告内容を確認し、必要に応じて調査を行いますが、基本的には納税者の自主的な申告に依存しています。この制度により、納税者は自分の経済状況に即した形で税額を把握できる一方、正しい知識と手続きを行わなければ延滞税や加算税といったペナルティの対象になるリスクもあります。資産運用で得た収益もこの制度のもとで申告対象になるため、理解しておくことが大切です。
延滞税
延滞税は、所得税や住民税などの国税を法定納期限までに納めなかった場合に、自動的に課される「利息」に相当する追加負担です。 未納期間の日数に応じて年率がかかり、納期限の翌日から2か月までは原則として特例基準割合+1%、それ以降は+7.3%(いずれも年度ごとに見直し)と段階的に高くなるため、放置すると負担が膨らみやすい点が特徴です。 修正申告や期限後申告で不足税額が判明した場合も、その納期限からさかのぼって延滞税が計算されるため、投資取引の計上漏れなどに気付いたら早めに対応することが節税につながります。
控除
控除とは、税額や保険料などを計算する際に、一定の金額や要素を差し引いて基準となる数値を調整する仕組みを指します。 この用語は、税金や社会保険料の計算過程を理解する場面で頻繁に登場します。給与明細や確定申告、年末調整などにおいて、「なぜその金額が課税対象になるのか」「なぜ手取りがこうなるのか」を説明する際の前提概念として使われます。支払う金額そのものを直接示す言葉ではなく、計算の途中段階で用いられる調整要素として位置づけられます。 誤解されやすい点として、控除が「戻ってくるお金」や「もらえる給付」と理解されることがあります。しかし、控除は支給や還付を意味するものではありません。あくまで、課税や算定の対象となる基準を小さくする仕組みであり、結果として負担が軽く見えるだけです。控除額=得をした金額と単純に考えてしまうと、制度の効果を過大に評価してしまう判断ミスにつながります。 また、「控除が多いほど必ず有利」という理解も注意が必要です。控除は、個人の事情や制度上の考え方を反映するための調整手段であり、すべての控除が同じ意味や効果を持つわけではありません。どの段階で、どの基準から差し引かれる控除なのかによって、実際の影響は大きく異なります。この違いを意識せずに控除額の大小だけを見ると、税や保険料の仕組みを誤って捉えてしまいます。 控除を理解するうえで重要なのは、「何を減らしているのか」という点です。収入そのものを減らしているのか、課税対象を減らしているのか、計算結果の税額を直接減らしているのかによって、意味合いは変わります。この用語は、負担を軽くする魔法の言葉ではなく、制度を公平に運用するための調整装置として捉えるべきものです。控除は、税や社会保険の計算構造を読み解くための基礎的な前提概念です。
e-Tax
e-Taxとは、国税庁が運営するインターネット上の税務手続きシステムで、所得税の確定申告や源泉所得税の納付などを自宅や職場からオンラインで行えるサービスです。 紙の申告書を税務署へ持参・郵送する必要がなくなり、24時間いつでも送信できるうえ、申告ミスの自動チェックや過去データの再利用といった利便性があり、手続き時間の短縮や控除額の自動計算による精度向上に役立ちます。 また、電子納税と連携すれば振替納税の手数料が不要となり、税金の支払いもスムーズになります。マイナンバーカードとICカードリーダー、あるいはスマートフォンの対応アプリを利用して本人認証を行うため、セキュリティ面でも高い安全性が確保されています。

