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NISAが暴落したらどうする?やってはいけない4つの行動と売る・続けるの判断軸をわかりやすく解説

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NISAが暴落したらどうする?やってはいけない4つの行動と売る・続けるの判断軸をわかりやすく解説

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執筆者:

公開:

2026.01.29

更新:

2026.09.11

米国株式外国株式国内株式新興国株式

株価が急落すると、NISA口座の評価額が一気に下がり「いま売るべきか」「積立を止めるべきか」と迷いがちです。焦って行動すると、狼狽売りや短期売買への転換で損失を確定させ、長期運用の前提を崩すリスクもあります。この記事では、暴落の基本(定義・主因)を押さえたうえで、NISAでやってはいけない行動と、資金計画・リスク許容度・投資期間の軸で継続/見直しを判断する手順まで具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、暴落が起きる背景と「暴落=即売却」という誤解を整理し、評価額下落時に判断を誤りやすい行動パターンを把握できます。そのうえで、生活防衛資金と支出予定、投資目的までの期間、保有商品のリスクを点検し、積立の継続・減額・一部売却などを自分の条件に合わせて選べるようになります。結果として、不安に反応するのではなく手順に沿って冷静に判断できます。

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目次

暴落とは何か:下落・調整との違いと2026年の相場

下落・調整・暴落の違い

2026年の相場:3月の急落から6月の史上最高値、そして再びの急落

暴落が起きる5つの主因

金融政策の転換

景気の悪化

信用不安(金融システムの問題)

地政学リスク

需給の急変と投資家心理

暴落から回復までにかかった期間をデータで確認

NISAで暴落が起きたときにやってはいけない4つの行動

NG1:狼狽売りで損失を確定させる

NG2:積立を止めて安く買う機会を逃す

NG3:下落局面で別の商品に乗り換える

NG4:「一括で取り返す」つもりで大きく買い増す

暴落時につみたて投資枠の積立は止めるべきか

ドルコスト平均法は下落局面でこそ効く

2024年8月の暴落で積立を止めた人と続けた人の差

暴落の月もNISAの買付は減っていない

積立を減額・一時停止してよいケース

新NISAで暴落時に知っておきたい制度上の4つのポイント

非課税期間が無期限なので回復を待てる

売却すると翌年に「簿価」分の枠が復活する

NISAの損失は損益通算も繰越控除もできない

旧NISAの商品は非課税期間の期限に注意

暴落時にNISAをどうするか:売る・続けるを決める3つの判断軸

判断軸1:生活防衛資金は確保できているか

判断軸2:投資期間はどれくらいあるか

判断軸3:保有商品のリスクは適切か

暴落時に慌てないための実務手順5ステップ

Step1:生活防衛資金と近い支出予定を確認する

Step2:投資期間で継続・縮小・一部売却を決める

Step3:保有商品を棚卸しする(分散・地域・通貨・コスト)

Step4:積立設定の扱いを決める(継続・減額・増額の条件)

Step5:次の暴落に備えてルールを決める

売却や積立停止が「あり得る」3つの例外ケース

例外1:近い時期に使う資金を投資していた

例外2:リスクの高い商品に偏っていた

例外3:旧NISAの非課税期限が近い

暴落時にNISAを始める・再開するのは賢明か

暴落はチャンスでもあり、本当のリスク許容度がわかる機会でもある

安く買える期間と捉えれば長期投資家にはチャンス

本当のリスク許容度は暴落時に初めてわかる

暴落とは何か:下落・調整との違いと2026年の相場

株価が大きく下がると、ニュースでは「暴落」「下落」「調整」などさまざまな表現が使われます。言葉の違いを理解しておくと、いま起きている状況の深刻さを冷静に判断できるでしょう。ここでは用語の整理と、2026年に実際に起きた値動きを確認します。

下落・調整・暴落の違い

下落は、幅や期間に関係なく株価が下がる状態を広く指す言葉です。調整は、過熱した株価が適正な水準に戻る過程を指し、一般的には直近高値から10%程度の下げが目安とされます。

Business cycle

暴落は、株価が急激かつ大幅に下がる状態です。明確な定義はありませんが、1日で数%以上の全面安や、高値から20%以上の下げが続く局面が該当します。暴落は経済要因に加えて投資家の不安心理で加速し、売りが売りを呼ぶ展開になりやすい点が特徴です。

順位年月日終値下落幅主な背景
1位2024年8月5日31,458円42銭−4,451円28銭米景気不安と急速な円高
2位1987年10月20日21,910円08銭−3,836円48銭ブラックマンデー
3位2026年6月26日69,360円88銭−3,005円46銭AI・半導体株の急落
4位2026年3月9日52,728円72銭−2,892円12銭中東情勢の悪化
5位2026年7月17日64,141円12銭−2,694円42銭米半導体株安と中東緊張
6位2025年4月7日31,136円58銭−2,644円00銭米国の相互関税発表
7位2026年7月28日62,364円92銭−2,566円27銭半導体株安と韓国株の急落
日経平均株価の1日の下落幅ランキング(終値ベース)

下落幅の上位7回のうち4回は2026年に起きています。株価の水準が5万〜7万円台に上がったため、同じ下落率でも円ベースの下げ幅が大きく見える点は差し引く必要があります。ただし、下落率でみても2024年8月5日の12.40%は、ブラックマンデー翌日の14.90%に次ぐ歴代2位です。

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル 上昇・下落記録」

2026年の相場:3月の急落から6月の史上最高値、そして再びの急落

2026年の日経平均は、1年のなかで暴落と急騰の両方を経験しました。2月末に米国とイスラエルがイランを攻撃したと伝わると、3月は月間で7,786円55銭(13.23%)安の51,063円72銭まで下げました。3月9日には1日で5.19%下落しています。

ところが、米国とイランが戦闘終結で合意すると相場は急回復し、6月には月間終値で初めて7万円を超えました。6月25日には終値で72,366円34銭の史上最高値をつけています。その翌日に3,005円安を記録し、7月は月間で8.13%下落しました。

  1. 2月末の高値から3月末の安値までの下落率は13.2%で、4月16日には高値を回復しています。一方、6月25日の高値からは7月29日に15.1%下げ、9月10日時点の終値65,270円95銭はまだ高値を回復していません。暴落のたびに「売るべきか」と迷う局面が、1年に何度も訪れているのが現状です。

出典:日本経済新聞社「2026年3月の日経平均」日本経済新聞社「2026年6月の日経平均」日本経済新聞社「日経平均プロフィル ヒストリカルデータ」

暴落が起きる5つの主因

暴落の原因は複雑ですが、主に5つに分類できます。原因を知っておくと、ニュースを見たときに「なぜ下がっているのか」を整理でき、感情的な売買を避けやすくなります。

金融政策の転換

中央銀行の利上げや利下げは、株価に大きな影響を与えます。金融引き締めは企業の資金調達コストを上げ、業績悪化の懸念から株価が下がりやすくなります。2024年8月の急落では、日銀の追加利上げと米国の景気後退懸念が重なりました。

景気の悪化

失業率の上昇や企業業績の下方修正など、景気の減速は株価を押し下げます。とくに雇用統計などの経済指標が市場予想を大きく下回ると、投資家心理が冷え込み、売りが加速しやすくなります。

信用不安(金融システムの問題)

2008年のリーマンショックは、サブプライムローンの破綻から金融機関の信用不安が広がり、世界的な株価暴落につながった典型例です。金融システムの問題は連鎖しやすく、回復にも時間がかかる傾向があります。

地政学リスク

戦争や紛争は市場に不透明感をもたらします。2026年3月の急落は、中東情勢の悪化による原油高とインフレ再燃への懸念が引き金でした。投資家がもっとも嫌うのは「先が読めない状態」であり、リスク要因が増えると資金は株式から逃げやすくなります。

需給の急変と投資家心理

大口投資家の大量売却や、信用取引の強制決済が連鎖すると需給が崩れます。2026年6月の急落のように、高値圏で利益確定売りが集中する場合もあります。下落を見た投資家が恐怖から売りに走る「狼狽売り」も、暴落を加速させる要因です。

暴落から回復までにかかった期間をデータで確認

暴落時にもっとも気になるのは「いつ戻るのか」ですが、回復時期を正確に予測するのは専門家でも困難です。ここでは、過去の主な暴落で高値から安値までどれだけ下げ、高値を回復するまで何か月かかったかを終値ベースで整理しました。

局面指数高値→安値下落率高値回復までの期間
ITバブル崩壊(2000〜2003年)日経平均20,833円→7,608円−63.5%約15年2か月(2015年6月)
ITバブル崩壊(2000〜2002年)S&P5001,527→777−49.1%約7年2か月(2007年5月)
リーマンショック(2007〜2009年)日経平均18,262円→7,055円−61.4%約7年7か月(2015年2月)
リーマンショック(2007〜2009年)S&P5001,565→677−56.8%約5年6か月(2013年3月)
コロナショック(2020年)日経平均24,084円→16,553円−31.3%約9か月(2020年11月)
コロナショック(2020年)S&P5003,386→2,237−33.9%約6か月(2020年8月)
米利上げ局面(2022年)S&P5004,797→3,577−25.4%約2年(2024年1月)
日銀利上げ・円高(2024年8月)日経平均42,224円→31,458円−25.5%約13か月(2025年8月)
相互関税ショック(2025年4月)日経平均40,083円→31,137円−22.3%約6か月(2025年6月)
相互関税ショック(2025年4月)S&P5006,144→4,983−18.9%約4か月(2025年6月)
中東情勢の悪化(2026年3月)日経平均58,850円→51,064円−13.2%約2か月(2026年4月)
AI・半導体株の調整(2026年6〜7月)日経平均72,366円→61,434円−15.1%未回復(2026年9月10日時点)
主な暴落の下落率と高値回復までの期間(終値ベース・編集部算出)

表からわかるのは、回復期間が暴落の原因によって大きく異なる点です。金融システムの問題が原因だったリーマンショックやITバブル崩壊では、高値回復まで5年から15年かかりました。一方、一時的なショックだったコロナショックや2025年の関税ショックは、半年前後で高値を取り戻しています。

もう1つ重要なのは、急落した翌日以降の戻りの速さです。2024年8月5日の急落は5営業日後の8月13日に前日の水準を回復し、2025年4月7日の急落は3営業日後に戻りました。2026年3月9日は21営業日、7月17日は15営業日で急落前の終値を回復しています。急落直後に売った人ほど、この戻りを取り逃がしています。

  1. 回復時期を当てるのではなく、いま起きている暴落が「一時的なパニックか」「構造的な問題か」を分類し、自分の投資期間と照らして対応を決める姿勢が大切です。

※日経平均は日経平均プロフィルの日次終値、S&P500は日次終値をもとに編集部が算出しました。高値回復日は「安値をつけたあとに直前の高値以上の終値をつけた日」です。将来の回復を保証するものではありません。

NISAで暴落が起きたときにやってはいけない4つの行動

暴落が起きると、不安や恐怖から冷静な判断ができなくなりがちです。しかし、感情的な行動は長期的な資産形成を台無しにします。ここでは、NISA利用者がとくに避けたい4つのNG行動と、その代替策を解説します。

NG1:狼狽売りで損失を確定させる

暴落時にもっとも避けたいのが「狼狽売り」です。株価が急落する様子を見て、恐怖心から慌てて保有資産を売却してしまう行為を指します。損切りとの違いは計画性の有無で、損切りは事前に決めたルールに基づく行動、狼狽売りは感情による行動です。

  1. 売却前の損失は「含み損」ですが、資産価値が減っていることに変わりはありません。過去には急落後の数営業日で急落前の水準を回復した例もありますが、保有を続ければ必ず回復するわけではありません。値下がりへの不安だけで売却を急がず、保有商品の見通しや資金の使用時期、リスク許容度を踏まえて判断しましょう。

NG2:積立を止めて安く買う機会を逃す

暴落時に積立を停止するのも、大きな機会損失につながります。つみたて投資枠で毎月一定額を買い付けていれば、価格が下がった月ほど多くの口数を購入できるのが強みです。積立を止めると、安く買えるチャンスを自ら手放す形になります。

NG3:下落局面で別の商品に乗り換える

「いまの銘柄がダメなら別の商品へ」という衝動も要注意です。SNSで話題の商品への乗り換え、損失を早く取り戻そうとするレバレッジ商品への移行、長期投資から短期売買への転換が典型的なパターンです。

含み損のある商品を売却して乗り換える場合は損失が確定し、新しい商品を十分に理解しないまま買うリスクも伴います。NISAでは、売却してもその年に使用した年間投資枠は復活せず、売却した商品の取得金額に相当する非課税保有限度額を再利用できるのは翌年以降です。

NG4:「一括で取り返す」つもりで大きく買い増す

「安くなったから大量に買い増そう」という判断も、一見合理的に見えて危険です。暴落がどこで止まるかは誰にも予測できず、一括で買った直後にさらに下がれば損失が拡大します。2026年6月の急落後も、7月末までさらに下げ続けました。

手持ちの余裕資金をすべて投資に回すと、本当に必要なときに現金が使えなくなります。下落した銘柄を買い増して平均取得単価を下げる「ナンピン買い」は、資金計画とルールがあって初めて機能する手法です。詳しくは、こちらのFAQを参考にしてみてください。

暴落時につみたて投資枠の積立は止めるべきか

「積立を続けるべきか、いったん止めるべきか」は、暴落時にもっとも多い相談です。結論からいえば、投資期間が10年以上あり生活防衛資金が確保できているなら、積立は続けるのが基本です。ここでは、その根拠をデータで確認します。

ドルコスト平均法は下落局面でこそ効く

一定額を定期的に買い付ける方法を「ドルコスト平均法」と呼びます。価格が高いときは少なく、安いときは多く購入するため、平均購入単価が平準化されるのが特徴です。金融庁のガイドブックでは、4か月で計4万円を投資する例が示されています。

基準価額が1万円→2万円→5千円→1万円と動いた場合、最初に4万円を一括で買うと平均購入単価は1万円です。毎月1万円ずつ買うと、安い月に多くの口数を買えるため平均購入単価は約9千円に下がります。暴落は、この「安く多く買える月」にあたります。

出典:金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」

2024年8月の暴落で積立を止めた人と続けた人の差

SBI証券は、2024年8月5日の暴落時に積立を止めた場合と続けた場合の差を検証しています。日経平均に連動する投資信託を2024年1月から毎月3万円積み立てた前提で、暴落時に積立を止めて保有分だけ持ち続けた人と、積立を継続した人を比較しました。

  1. 2026年8月3日時点で、両者の運用益の差は約30万円でした。差の原因は、止めた人が見送った24回分の買付です。とくに暴落後の11回は日経平均が4万円以下の時期で、その後の上昇で大きな利益を生みました。この検証は「売らない」だけでなく「止めない」ことの重要性を示しています。

暴落の月もNISAの買付は減っていない

日本証券業協会の調査によると、大手証券10社のつみたて投資枠の買付額は、日経平均が13%下落した2026年3月に4,643億円でした。前月の4,134億円を上回っており、多くの利用者が積立を継続したとみられます。

2025年4月の関税ショック時も、つみたて投資枠の買付額は3,621億円と、前月の3,783億円から小幅な減少にとどまりました。資産運用業協会の統計でも、2026年3月の公募株式投信(ETF除く)は2兆3,198億円の純流入となっています。

出典:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況調査結果(証券会社10社・2026年3月末時点)」資産運用業協会「数字で見る投資信託(2026年3月末)」

積立を減額・一時停止してよいケース

積立の継続が基本とはいえ、家計が苦しいときに無理をする必要はありません。収入が減って生活費に食い込む、3年以内に使う予定の資金を積み立てていたといった場合は、減額や一時停止も選択肢です。

その場合も「全額売却」ではなく、まず積立額を減らし、それでも厳しければ一時停止という段階的な対応が賢明です。保有分を売らずに残しておけば、相場が回復したときの恩恵は受けられます。

積立投資やドルコスト平均法のメリットは、こちらの記事で詳しく解説しています。

新NISAで暴落時に知っておきたい制度上の4つのポイント

2024年に始まった現行NISA(新NISA)は、旧制度と比べて暴落に強い設計になっています。制度の仕組みを知っておくと、暴落時に「売らなければならない」という思い込みを避けられるでしょう。ここでは、判断に関わる4つのポイントを整理します。

項目新NISA(2024年〜)旧NISA(2023年まで)
非課税保有期間無期限つみたてNISA20年・一般NISA5年
年間投資枠つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円つみたてNISA40万円・一般NISA120万円
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)制度ごとの年間枠×年数
売却後の枠翌年以降に簿価分が復活復活しない
損失の扱い損益通算・繰越控除ともに不可
新NISAと旧NISAの違い(暴落時の判断に関わる項目)

それぞれのポイントが暴落時の判断にどう関わるかを、順に見ていきましょう。

出典:金融庁「NISAを知る」金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

非課税期間が無期限なので回復を待てる

新NISAの非課税保有期間は無期限です。旧制度のように期限が来たら課税口座へ移される仕組みがないため、暴落時に「期限までに売らなければ」と焦る必要がありません。回復を待つ時間を、制度が保証してくれています。

売却すると翌年に「簿価」分の枠が復活する

新NISAでは商品を売却すると、翌年以降に売却した商品の簿価(取得金額)分の非課税保有限度額が復活します。たとえば100万円で買った商品が暴落で60万円になり売却した場合、翌年に復活する枠は簿価の100万円です。

ただし、手元に戻る現金は60万円です。枠は戻っても、確定した40万円の損失は戻りません。「枠が復活するから売っても損はない」という考え方は誤りです。

NISAの損失は損益通算も繰越控除もできない

NISA口座で出た損失は、特定口座や一般口座の利益と相殺(損益通算)できません。翌年以降に損失を繰り越す繰越控除も使えません。課税口座なら損失確定に「節税」の意味がありますが、NISAにはそれがなく、暴落時に売るデメリットが相対的に大きくなります。

旧NISAの商品は非課税期間の期限に注意

2023年までに旧制度で買った商品は、新NISAとは別枠で管理され、新NISAへの移管はできません。つみたてNISAは購入した年から20年間、一般NISAは5年間が非課税期間で、期限が来ると課税口座へ払い出されます。

たとえば一般NISAで2023年に買った商品は2027年末、つみたてNISAで2018年に買った商品は2037年末に非課税期間が終わる計算です。

暴落時にNISAをどうするか:売る・続けるを決める3つの判断軸

暴落局面でもっとも大切なのは、慌てて売買を判断する行動ではありません。自分の投資計画を再点検し、当初の目的や資金の性質に照らして「継続」「縮小」「売却」を冷静に選ぶ作業が先決です。判断の順番は3つだけです。

判断軸1:生活防衛資金は確保できているか

生活防衛資金とは、病気や失業など予期せぬ事態に備えて確保しておくお金で、一般的には生活費の6か月分以上が目安です。投資が生活防衛資金を削っている場合、暴落時に家計が苦しくなり、不本意な売却を余儀なくされます。

生活防衛資金が別途確保できていれば、暴落時に売る必要は基本的にありません。必要な金額の目安は、こちらの記事を参考にしてみてください。

判断軸2:投資期間はどれくらいあるか

資金を使う時期が5年以内か、10年以上先かで対応は変わります。住宅購入や教育費など近い将来に使う資金を投資していた場合、回復を待つ余裕がないかもしれません。一方、老後資金など10年以上先の資金なら、回復を待つ選択が現実的です。

金融庁のガイドブックによると、1989年以降のデータで国内外の株式と債券に毎月同額を積立投資した場合、保有期間5年では100万円が74万〜176万円と元本割れの年がありました。保有期間20年では186万〜331万円となり、元本割れとなったケースはありません。

出典:金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」

判断軸3:保有商品のリスクは適切か

個別株や特定地域に集中した投資信託など、値動きが大きい商品に偏っていると、暴落時の下落幅も大きくなります。全世界株式やバランス型など分散が効いた商品と比べて、リスクの高い構成になっていないかを確認しましょう。

この3つの軸を順番に点検すると、感情的な判断を避け、自分の状況に合った行動を選べます。判断の目安を表にまとめました。

状況やることやらないこと
生活防衛資金が不足している生活費の確保を最優先し、必要な分だけ段階的に売却を検討する全額を一度に売却する/借金をして投資を続ける
投資期間が10年以上ある積立を継続し、分散が効いているか商品を見直す慌てて売却する/積立を停止する
投資期間が5年以内リスク資産の比率を段階的に下げ、債券や預金への移行を検討するすべてを株式のまま保有する/大幅に買い増す
集中投資をしている分散型への組み替えを段階的に進める一気に全銘柄を売却する/さらに集中投資を強める
余裕資金がある積立を継続し、スポット購入は分割で慎重に行う一括で大量に買い増す/レバレッジ商品に投資する
暴落局面で「やること」「やらないこと」の早見表

暴落時は資産が減っていく様子を目の当たりにするため、不安から冷静に判断しにくくなることがあります。慌てて売却すると、その後の反発を取り逃がす可能性がある一方、保有を続けて損失が拡大する可能性もあります。まず自分の投資計画を確認し、表を参考に継続・縮小・売却を判断しましょう。

暴落時に慌てないための実務手順5ステップ

暴落が起きてから慌てて考えるのではなく、平時のうちに行動手順を決めておくのが理想です。ここでは、暴落時に冷静に判断するための5つのステップを解説します。事前に自分の状況を確認しておけば、いざというときにパニックにならずに済みます。

Step1:生活防衛資金と近い支出予定を確認する

最初にすべきは「本当にいま売る必要があるのか」の客観的な確認です。生活防衛資金が確保できていて、近い将来に大きな支出予定がなければ、慌てて売却する必要はありません。

一方、生活防衛資金が不足している場合や、来年の学費など近い時期に使う資金を投資に回していた場合は、段階的な売却を検討する正当な理由になります。

Step2:投資期間で継続・縮小・一部売却を決める

次に「投資期間」の観点から方針を決めます。10年以上の投資期間があり、生活防衛資金を確保でき、保有商品のリスクも適切であれば、積立の継続が基本的な選択肢になります。価格が下がったときは同じ積立額で多くの口数を購入できますが、長期間続けても利益や元本の回復が保証されるわけではありません。

3年以内に使う予定の資金を株式に投資していた場合は、回復を待つ余裕がありません。この場合は、3〜6回に分けて売却するなど、段階的な現金化を検討しましょう。

Step3:保有商品を棚卸しする(分散・地域・通貨・コスト)

継続の方針が決まったら、保有商品の内容を確認します。「何が暴落しているのか」を理解するためです。値動きによって当初の資産配分は徐々に崩れるため、必要に応じて棚卸しを行い、目標のバランスに戻す作業が選択肢になります。

バランスを調整する「スイッチング」の具体的な方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。

Step4:積立設定の扱いを決める(継続・減額・増額の条件)

積立投資をしている場合、設定をどうするか決めます。基本は継続です。やむを得ない場合でも、まず減額、それでも厳しければ一時停止という順番で対応しましょう。余裕資金があり投資期間が長い人は、増額を検討する余地もあります。

Step5:次の暴落に備えてルールを決める

一度暴落を経験したら、次に備えて自分なりのルールを決めておきましょう。暴落で何を感じたか、その経験こそが次に活かすヒントになります。

パニックに陥った人はリスクの取りすぎです。投資額を減らす、債券を混ぜるなど、下落しても平常心でいられる配分に見直しましょう。「買い増したいのに資金がない」と感じた人は、生活費とは別枠で暴落用の現金を用意しておくと次の機会を活かせます。

淡々と投資を継続する「ほったらかし投資」も有効な手段になり得ます。詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

売却や積立停止が「あり得る」3つの例外ケース

暴落時の狼狽売りは避けるべきというのが基本ですが、すべての状況で「売るな」と断言するのも危険です。投資は個人の状況によって最適解が異なり、売却や積立の見直しが必要なケースも存在します。どのケースでも「段階的な対応」と「代替策の検討」を前提にしましょう。

例外1:近い時期に使う資金を投資していた

1〜2年以内に使う教育資金、住宅購入の頭金、確定した納税資金などを株式に投資していた場合は、売却を検討すべき状況です。投資期間が短すぎたという設計上の問題であり、損失を抱えたまま使用時期が来ると回復を待てません。

対応策は、一度に全額売るのではなく、必要な時期から逆算して数回に分けて現金化する方法です。他の流動性資産で賄えないか、支出時期を数か月ずらせないかも検討しましょう。今後は3〜5年以内に使う確定資金は預金や債券で持ち、投資は10年以上使わない資金に限定するルールが有効です。

例外2:リスクの高い商品に偏っていた

特定の業種や銘柄への集中、レバレッジ型商品や新興国株式の比率の高さ、外貨建て資産が大半で為替リスクが二重に効いている状態では、リバランスの検討が必要です。暴落時は「リスクの取りすぎ」が露呈するタイミングです。

ただし、慌てて全部を売却すると損失を確定してしまいます。数か月から1年かけて全世界株式やバランス型へ段階的に切り替える、売却せずに今後の積立先を低リスク商品に変えて全体のバランスを改善する、といった方法を検討しましょう。

例外3:旧NISAの非課税期限が近い

一般NISAの5年、つみたてNISAの20年の非課税期間が残り1〜2年で、期限と暴落が重なる場合は判断に迷います。旧制度は期限が来ると課税口座へ払い出され、その時点の時価が新たな取得価格になります。

含み益があれば非課税の恩恵を受けられているため、期限まで保有して問題ありません。含み損がある場合は、課税口座へ移った後の回復分に課税される点に注意が必要です。損失が大きく回復の見込みが薄いなら、いったん整理して新NISAで再スタートする選択肢もありますが、損失確定は慎重に判断しましょう。

暴落時にNISAを始める・再開するのは賢明か

「株価が下がったいまこそ始めるべきか」は投資初心者からよく聞かれる質問ですが、一概に賢明とも避けるべきともいえません。重要なのはタイミングではなく、条件が整っているかどうかです。

大前提は余裕資金であることです。生活費の6か月分以上の生活防衛資金を別途確保し、投資額を10年以上触らなくても生活に支障がない状態が求められます。次に、長期で続ける覚悟があるかです。暴落時に始めてもさらに下がる可能性は常にあり、短期的に含み損が膨らむシナリオは十分あり得ます。

  1. 暴落時の投資で失敗する典型は「底を当てようとして一括投資する→さらに下落する→耐えきれず売却する」という流れです。毎月定額の積立ならタイミングを気にする必要が減り、精神的にも楽です。過去に投資をやめた経験がある人は、やめた理由を振り返り、同じ失敗を繰り返さない仕組みを先に作りましょう。

なお、NISA口座数は2025年12月末で2,821万口座、買付額は累計71兆円に達しています。2026年の乱高下は、多くの新規利用者にとって初めての本格的な試練でもあります。

出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果(令和7年12月末時点)」

暴落はチャンスでもあり、本当のリスク許容度がわかる機会でもある

長期投資は10年、20年、30年という長いスパンで考えるものです。目の前の暴落は、この長い道のりではあくまで短期的な出来事にすぎません。ここでは、暴落を前向きに活かすための2つの視点を紹介します。

安く買える期間と捉えれば長期投資家にはチャンス

株価が下がった時期に買い続ければ、平均取得価格を下げられます。月1万円の積立なら、株価が半分になれば同じ金額で2倍の口数を買える計算です。この仕組みにより、株価が元の水準に完全に戻る前の段階で、資産がプラスに転じる可能性が高まります。

金融庁のガイドブックには、2003年1月から2022年12月まで毎月1万円を積立投資した場合の試算があります。総積立額240万円に対し、全世界株式に連動する資産では690万円、日経平均に連動する資産では443万円になりました。この20年にはリーマンショックもコロナショックも含まれています。

出典:金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」

本当のリスク許容度は暴落時に初めてわかる

投資を始める際に「多少の値動きには耐えられる」と考えていても、本当のリスク許容度は実際の暴落で初めて明らかになります。含み損が100万円、200万円と膨らむ状況で冷静さを保つのは簡単ではありません。

夜眠れない、株価が気になって仕事に集中できないと感じるなら、リスクを取りすぎているサインです。パニック売りや積立の中断をしてしまったなら、真のリスク許容度を超えていた証拠といえます。この気づきは失敗ではなく、次の投資戦略を設計するための貴重な情報です。

以下の記事も参考にしながら、あなたのリスク許容度の範囲内で投資を行いましょう。

この記事のまとめ

この記事では、株価の急落局面でまず「暴落とは何か」「なぜ起きるか」を整理し、NISA利用者が陥りやすい狼狽売り・積立停止・短期売買化といったNG行動を確認しました。あわせて、相場予測ではなく、資金計画(生活防衛資金と支出予定)・リスク許容度・投資期間の3軸で、継続/見直しを判断する実務手順を学びました。次は、現在の家計と投資目的を棚卸しし、積立設定と商品のリスクを点検して、自分ルールを決めましょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

つみたて投資枠

つみたて投資枠とは、2024年から始まった新しいNISA制度の中で、少額から長期的に資産形成を行うことを目的として設けられた非課税投資の枠組みです。 この枠では、一定の条件を満たした投資信託などの商品に対して、年間最大120万円までの投資額が非課税の対象となります。毎月コツコツと積み立てるスタイルの投資に向いており、長期的な資産形成を支援することが狙いです。つみたて投資枠を活用することで、運用益や分配金にかかる税金がかからず、複利の効果を最大限に活かしながら資産を増やしていくことができます。特に投資初心者にとっては、少額から手軽に始められ、長く続けることで将来の資金づくりに役立つ有効な制度です。

成長投資枠

新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。

非課税枠

非課税枠とは、税金が課されない金額の上限を指し、様々な税制に適用される制度。 例えば相続税では基礎控除額として「3,000万円+600万円×法定相続人数」が非課税枠となる。贈与税では年間110万円までの贈与が非課税。また、NISA(少額投資非課税制度)では年間の投資上限額に対する運用益が非課税となる。 このような非課税枠は、税負担の軽減や特定の政策目的(資産形成促進など)のために設定されており、納税者にとって税金対策の重要な要素となっている。

評価額

評価額とは、資産や企業の価値を金銭的に算定した金額のことである。市場価格が存在する場合はその価格を用いるが、不動産や非上場株式などの場合は、鑑定評価や財務分析を基に算出される。税務や会計、投資判断の場面で重要な指標となり、資産売却や企業のM&Aの際にも適正な価格を判断するために用いられる。評価額は算出方法によって異なることがあり、状況に応じた適切な評価が求められる。

基準価額(NAV)

NAV(基準価額)とは、投資信託やETFなどが保有する資産の「1口あたりの価値」を示す指標です。英語ではNet Asset Valueと呼ばれ、ファンドの純資産総額から負債を差し引き、発行口数で割って算出されます。投資信託の価格の基本となるもので、投資家が保有している資産の時価を把握する際の中心的な指標です。 通常の投資信託では、この基準価額は1日に1回(多くの場合、取引終了後)に算出されます。そのため、日中の値動きは反映されず、翌営業日に公表される形になります。一方で、ETFの場合も同様のNAVが算出されていますが、これは「取引日の理論的終値」を示すもので、リアルタイム取引用にはiNAV(インディカティブNAV)が補完的に使われます。 NAVの値は、ファンドが保有する株式・債券・コモディティなどの時価評価額や、分配金・費用(信託報酬など)を反映して計算されます。そのため、市場の変動や為替の影響により日々変化します。投資家はこのNAVをもとに、「ファンド全体の価値がどの程度増減しているか」を把握することができます。 ただし、NAVはあくまで算出時点の理論価格であり、市場での売買価格(ETFの取引価格や投資信託の購入・解約価格)とは必ずしも一致しません。特にETFでは、取引時間中に市場価格がNAVから乖離することがあります。 まとめると、NAVはファンドの「公的な時価」を示す指標であり、投資信託・ETF双方の基準となる価格です。ETFの場合はこれに加え、リアルタイムの理論値であるiNAVを組み合わせることで、投資家はより正確に市場状況を把握できます。

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