なぜアセットアロケーションが投資成果を左右するのですか?
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2025/06/10 14:51
男性
40代
投資では「銘柄選びより配分が9割」とよく聞きます。しかし具体的にどのような研究や仕組みで、資産クラスの配分が結果を大きく左右するのでしょうか?初心者にも分かる理由を知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
米国の年金基金を対象にしたブリンソンらの研究(1986年・1991年)によれば、運用成果の約9割は資産配分(アセットアロケーション)によって説明できるとされています。個別銘柄の選定や売買のタイミングといった要素の寄与は1割程度にとどまりました。これは、値動きの異なる資産を組み合わせることで、一方の下落を他方の上昇が補い、全体としてリスクに対するリターン効率(リスク当たりの期待リターン)が高まるためです。
こうして設計された資産配分は、投資目標や許容できる損失額に基づく「戦略の骨組み」となり、定期的なリバランスによって市場の変動に過度に振り回されることなく、安定した運用軌道を維持できます。逆に、銘柄選びや市場タイミングに依存する投資では、予測の誤りが即座に損失に直結し、再現性も乏しくなります。
だからこそ、まずはアセットアロケーションを設計し、その枠組みに沿って低コストかつ分散性の高い商品を組み込むという順序が重要です。この手順は初心者にも実践しやすく、長期的な成果を高める合理的な投資アプローチといえるでしょう。
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アセットアロケーション(資産配分)
アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。
アセットクラス(資産クラス)
資産クラスとは、性質やリスク・リターンの特性が似ている金融資産を分類するためのカテゴリーのことです。代表的な資産クラスには、以下のようなものがあります。 株式(国内株・外国株など) 債券(国債・社債など) 不動産(現物不動産・REITなど) 現金・預金(流動性資産) コモディティ(金、原油、農産物など) それぞれの資産クラスは異なる値動きをするため、特定の市場環境で上昇するものもあれば、下落するものもあります。この特性を活かし、複数の資産クラスを組み合わせることでリスクを分散し、安定的な運用成果を目指す方法が「アセットアロケーション(資産配分)」です。 資産運用において、資産クラスの特徴を理解することは、自分に適した投資スタイルやリスク許容度に合った運用戦略を組み立てるうえで欠かせません。投資初心者にとっても、資産クラスの考え方を知ることは、長期的な資産形成の出発点となります。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。
市場サイクル
市場サイクルとは、株式市場や不動産市場などが時間の経過とともに繰り返す価格の変動パターンのことを指します。具体的には、景気の拡大にともなって市場が上昇する「上昇局面」、成長が鈍化する「天井圏」、価格が下落する「下降局面」、そして再び回復を始める「底値圏」といった段階が循環的に訪れるという考え方です。 このサイクルは経済活動や企業業績、金利動向などと密接に関連しており、必ずしも予測通りに進むわけではありませんが、投資判断においては重要な視点になります。初心者にとっても、今市場がどの局面にあるのかを意識することで、リスクを抑えたり、適切な資産配分を行ったりする手助けになります。