暗号資産ETFと通常のETFの違いは?
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2025/02/11 18:43
男性
30代
ETFにはいろいろな種類があると聞きましたが、暗号資産ETFと一般的なETFの違いは何でしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ETFは「指数への連動性」と「株式のように取引できる利便性」を兼ね備えた投資信託です。ただし、連動対象によって性質とリスクの輪郭が大きく異なります。株式・債券・REIT・コモディティなど従来型ETFは、発行体の監督体制やカストディ(資産保管)、清算・時価評価の仕組みが長年の運用実績で磨かれてきました。そのため規制環境が安定し、税制も一般的な金融商品課税で整理されています。
暗号資産ETFは、ビットコインやイーサリアムなどブロックチェーン上のデジタル資産の価格に連動する点が最大の特徴です。仕組み自体は従来型と同じく「現物型(実際の暗号資産を保有)」と「先物型(CME先物などで価格連動)」に大別されますが、暗号資産ならではの課題がいくつかあります。
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カストディの複雑さ
現物型では秘密鍵の管理やコールドウォレットの選定、ハッキングリスク対策が不可欠です。従来型ETFの保管銀行とは異なり、暗号資産専業カストディアンやマルチシグ運用が登場しており、保管体制の信頼性を見極める必要があります。
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価格連動の難易度
先物型は限月ごとにポジションを乗り換える際のロールコストや、現物市場との乖離(コンタンゴ・バックワーデーション)の影響を受けやすく、指数との追随誤差が大きくなる傾向があります。
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規制・税制リスク
暗号資産ETFの承認可否は国によって温度差があり、取扱条件も頻繁にアップデートされます。また、居住国によっては暗号資産課税と金融商品課税が交錯するため、申告区分や損益通算の可否を事前に確認しなければなりません。
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ボラティリティ
基礎資産である暗号資産は短期的な価格変動幅が極めて大きく、ETFという包装で取引が容易になってもリスク自体は低減しません。ETFならではの透明性や分別管理の恩恵を享受できる一方で、値動きが激しい点は受け入れる必要があります。
結局のところ、暗号資産ETFは「暗号資産の値動きを証券口座で手軽に取り込みたいが、直接の管理(ウォレット運用や取引所リスク)は避けたい」という投資家向けの商品です。従来型ETFと同じ感覚で売買できるメリットを享受しつつ、暗号資産特有の高い変動性と規制変更リスクを許容できるかが投資判断のポイントになります。
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ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
現物型ETF
現物型ETF(Exchange Traded Fund)は、実際の株式や債券などの「現物資産」を保有するタイプのETFです。ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことで、株式のように売買できます。 例えば、日経平均株価に連動する現物型ETFの場合、運用会社は日経平均を構成する実際の銘柄を購入し、その価値に基づいてETFの価格が決まります。これにより、投資家はETFを1口買うだけで、多くの銘柄に分散投資できるメリットがあります。 また、先物を活用して運用するETFもありますが、現物型ETFは実際の資産を持つため、価格の透明性が高く、運用の仕組みがわかりやすいのが特徴です。初心者には、実際の株や債券を保有する現物型ETFが安心できる選択肢となるでしょう。
暗号資産ETF
暗号資産ETF(Exchange Traded Fund)は、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)の価格に連動する上場投資信託です。 証券取引所で株式と同じように売買できるため、投資家は直接暗号資産を保有せずに、その価格変動に投資できます。 暗号資産ETFには、現物型と先物型の2種類があります。現物型は、実際にビットコインなどを保有し、価格に連動する仕組みです。 一方、先物型は暗号資産の先物契約を通じて価格を追跡します。 2023年には、カナダやヨーロッパで現物型ETFが登場し、2024年には米国でもビットコイン現物ETFが承認されました ETFを利用することで、ウォレットの管理不要、規制の整った市場での取引、税制面の優遇といったメリットがあります。 一方で、価格の変動が大きいため、リスク管理も重要です。暗号資産市場の成長とともに、今後さらなる注目を集める分野です。