格付け会社を評価する指標は何ですか?
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2024/08/14 21:02
男性
60代
現在債券投資を検討しており、格付け機関の格付けをもとに投資対象を絞り込んでいます。ただ、格付け機関の格付けを調べる中で、そもそも、格付け機関がどの程度信憑性をもつのか気になり始めました。格付け会社はどのように評価されているのでしょうか?格付け会社を評価する方法はありますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
格付け機関の実力を測る最も客観的な指標の一つは、格付け等級別の「累積デフォルト率」が信用リスクの階段構造をどれだけ適切に映しているかです。各社は毎年、等級ごとに過去何年間で何%の発行体が債務不履行に至ったかを公表しており、この実績が格付けの精度を裏付けます。たとえば「A」格付けでデフォルト率が極めて低く、「B」以下で徐々に高まっていれば、格付けが妥当と判断できます。反対に、高格付けを付与した発行体が短期間で相次ぎデフォルトしていれば、その機関の予見力には疑問が残ります。
もっとも、デフォルトの定義や計算期間は機関ごとに差があるため、S&P、ムーディーズ、フィッチなど複数社の統計を並べて傾向を確認することが重要です。さらに、格付けプロセスの開示度、利益相反を排したガバナンス体制、長期にわたる景気循環を通じた実績といった定性的要素もあわせてチェックすると、格付け機関の信頼性を多角的に評価できます。
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格付け(信用格付け)
格付け(信用格付け)とは、取引をする際に参考にされる基準の一つで、取引の相手側の信用度を確認するために支払い能力や財務状況、安全性などを総合的にランク付けしたものである。アルファベットや数字で表されるのが一般的である。 (例)格付投資情報センター(https://www.r-i.co.jp/index.html) による発行体格付の定義 AAA:信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。 AA:信用力は極めて高く、優れた要素がある。 A:信用力は高く、部分的に優れた要素がある。 BBB:信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。 BB:信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。 B:信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。 CCC:発行体の金融債務が不履行に陥る懸念が強い。 CC:発行体の金融債務が不履行に陥っているか、その懸念が極めて強い。 C:発行体のすべての金融債務が不履行に陥っているとR&Iが判断する格付。
社債
社債とは、企業が事業資金を調達するために発行する「借金の証書」のようなものです。投資家は社債を購入することで企業にお金を貸し、その見返りとして、あらかじめ決められた利息(クーポン)を一定期間ごとに受け取ることができます。満期が来れば、企業は投資家に元本を返済します。 銀行からの融資とは異なり、社債は不特定多数の投資家から直接資金を集める方法であり、企業にとっては柔軟かつ効率的な資金調達手段です。 投資家にとって社債の魅力は、株式に比べて価格の変動が小さく、定期的な利息収入が得られる点にあります。一方で、発行体である企業が経営破綻した場合、元本が戻らないリスクがあるため、信用格付けや業績などを十分に確認することが重要です。 安定的な収益を目指しつつ、リスク管理も重視する投資家にとって、社債はポートフォリオの中核を担いうる資産クラスのひとつです。
円貨建て債券
円貨建て債券とは、日本円で元本や利息が支払われる債券のことをいいます。日本国内の企業や政府が発行するだけでなく、海外の発行体が日本円で発行する場合も含まれます。投資家にとっては、為替変動の影響を受けにくいため、リスクを抑えた運用がしやすいというメリットがあります。一方、発行体にとっては、日本市場から円建てで資金を調達できる手段のひとつです。円貨建て債券は、特に日本国内の投資家にとって、通貨の変動リスクを避けながら安定的な収益を期待できる商品として利用されています。