短期間で退職した従業員に対する中退共掛金の取り扱いについて
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2025/04/01 01:03
男性
当社は人材の流動性が高く、採用後1年未満で離職するケースも散見されます。こうした場合に、中退共へ支払った掛金はどのように扱われるのでしょうか?制度上のルールと、実務的な注意点についてご教示いただけますと幸いです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
中退共では「掛金を12か月以上納付したこと」が退職金受給の絶対条件です。したがって 加入から1年未満で離職した従業員には退職金が支給されず、事業主が拠出した掛金も返還されません。掛金は制度全体の財源に充当されるため、短期離職が多い企業では実質的に“掛け捨て”となる点をまず押さえてください。
一方、在籍12か月を超えた従業員は退職時に本人が請求書を提出すれば掛金月数に応じた退職金を受け取れます(加入期間が通算される転職先での再加入制度もあり)。そのため、掛金水準・加入タイミングと自社の平均在職期間・人事施策の整合性を事前に検証することが不可欠です。
<実務上のチェックポイント>
- 加入時期の工夫:試用期間満了後に加入させる、あるいは勤続見込みが立った時点で段階的に掛金を引き上げる。
- 代替制度との比較:企業型DCや確定給付企業年金、退職金準備保険などとコスト・柔軟性を比較し、自社の離職率に合った制度設計とする。
- 社内周知と手続き管理:退職届受理と同時に中退共への資格喪失届を提出し、該当者には退職金請求の手順を案内する。
短期離職が常態化している場合、掛金総額に対する実質受益率が大幅に低下するリスクがあります。福利厚生としての投資対効果を定量的に試算したうえで、必要に応じて専門家とともに制度導入や掛金設定を再検討することを強く推奨します。
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