ナンピン買いとはなんですか?効果とリスクを教えて下さい
回答受付中
0
2025/05/28 16:59
男性
40代
初心者として初めて買った株が急落し含み損に不安を感じています。平均取得単価を下げる目的でナンピン買いを勧める声を見かけますが、どのような仕組みで効果が生まれ、失敗を防ぐには何に注意すべきでしょうか。資金が限られているので損失拡大を避けたいです。実行の判断基準とタイミング、ドルコスト平均法との違いに加え、現物取引と信用取引でのリスク差や追証の可能性も教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ナンピン買いは、保有している株式の価格が値下がりした際に、その株式を買い増すことで、1株あたりの平均購入価格、すなわち平均取得単価を引き下げる投資手法です。これにより、株価が当初の購入価格まで戻らなくても、より低い水準で損益分岐点、つまり損失が出なくなる価格に到達させ、損失からの回復を早める効果が期待できます。
しかし、これはあくまで株価が回復するという前提があってこその効果です。もし、企業の業績不振や事業環境の変化といった構造的な問題によって株価が下落している場合、安易なナンピン買いは底値で買い続けることになり、かえって損失を雪だるま式に膨らませてしまう大きな危険があります。
失敗を防ぐためには、まず下落の要因が市場全体の一時的なものか、その企業固有の問題かを冷静に分析し、回復の見込みがあるのかを慎重に検証することが不可欠です。次に、追加投資に使う資金額の上限と、どの価格水準で何回に分けて買うかという具体的な計画を事前に立て、必ず余裕資金の範囲内で行います。そして最も重要なのは、「想定以上に下落した場合は売却する」という損切りルールをあらかじめ設定し、それを感情に流されずに厳守することです。
定期的に一定額を買い続けるドルコスト平均法と異なり、ナンピン買いは下落時に特定の銘柄へ集中投資するため、リスクが偏りやすい点にも注意が必要です。特に、証券会社から資金を借りる信用取引でのナンピン買いは、追証リスクが高まるため初心者の方は避けるべきです。ナンピン買いは、綿密な計画と厳格な規律があって初めて検討できる、リスクの高い手法だと心得ましょう。
関連記事
関連質問
関連する専門用語
ナンピン
ナンピンとは、すでに保有している資産の価格が下がったときに、追加で同じ銘柄を買い増すことで、平均購入単価を下げようとする投資手法のことをいいます。たとえば、1株1,000円で買った株が800円に下がったときにもう1株買うと、平均購入価格は900円になります。 これにより、価格が少し戻るだけでも損失を回収しやすくなるメリットがありますが、一方で下落が続くと損失がさらに膨らむリスクもあるため注意が必要です。ナンピンは資金に余裕があり、冷静にリスクを判断できる中・上級者向けの戦略とされることが多く、初心者が無計画に行うと損失拡大につながることがあります。適切な資金管理とリスク管理が欠かせない投資行動です。
損切り(ロスカット)
損切り(ロスカット)とは、投資で保有している資産の価格が下がり、これ以上損失を広げないために、その資産をあえて売却して損失を確定させる行為のことをいいます。多くの投資家は、含み損の状態で損を確定させることに心理的な抵抗を感じますが、損切りをしないまま価格がさらに下がると、より大きな損失につながる可能性があります。そのため、あらかじめ損失の許容範囲を決めておき、一定の価格に達したら機械的に売る「ルールとしての損切り」が資産を守る手段として重要です。また、FXや信用取引では、証拠金維持のために強制的にロスカットが行われることもあります。損切りは投資のリスク管理の基本のひとつです。
信用取引
信用取引とは、証券会社からお金や株式を借りて行う株の売買のことをいいます。通常の取引では、自分の持っているお金の範囲内でしか株を買えませんが、信用取引を使うと、証券会社に一定の担保(保証金)を差し入れることで、元手の数倍までの取引が可能になります。 これにより、うまくいけば短期間で大きな利益を得ることができますが、その反面、損失も同じように拡大する可能性があるため、リスクも高くなります。信用取引では、株を「買う」だけでなく、持っていない株を「売る(空売り)」こともできるため、相場が下がる局面でも利益を狙うことが可能です。初心者にとっては魅力的に映るかもしれませんが、資金管理や相場の見通しに自信がない段階では慎重に扱うべき上級者向けの取引手法です。
証拠金
証拠金とは、FX(外国為替証拠金取引)や先物取引などの「レバレッジ取引」を行う際に、取引を始めるためにあらかじめ預けておくお金のことです。このお金は、取引の全額を支払う代わりに、一定の金額を担保として預けることで、より大きな金額の取引を可能にする仕組みを支えています。 証拠金は、取引によって生じる損失への備えという意味合いもあり、相場が大きく動いたときには追加で差し入れが求められることもあります。初心者にとっては、少ない資金で大きな取引ができる一方で、リスクも大きくなるため、証拠金取引は慎重に理解してから始めることが大切です。
マージンコール(追証/追加証拠金)
マージンコール(Margin Call) は、信用取引や CFD、FX のように証拠金でレバレッジをかける取引において、維持証拠金率(口座資産 ÷ 必要証拠金 × 100)が証券会社の基準を下回った際に送られる追加入金の要請です。日本では「追証(おいしょう)」「追加証拠金」とも呼ばれます。 たとえば借入金が 80 万円の状態で保有資産の評価額が 70 万円に下落すると維持率は 88 %となり、基準 100 %を割り込むためマージンコールが発生します。投資家はふつう 1〜3 営業日以内に不足額を入金するかポジションを減らして対応する必要があり、応じなければロスカット(強制決済)によって損失が確定します。 FX のように即時ロスカットが適用される商品もあり、詳細な条件は証券会社ごとに異なります。追証リスクを抑えるには、必要証拠金のおよそ 1.5~2 倍の余裕資金を常に預けておくことが基本です。あらかじめストップロスを設定して下落幅を限定し、相場急変時にアプリやメールのアラートで即座に状況を確認して対処すると、予期せぬマージンコールを大幅に減らせます。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。