経済指標が悪くても株価が上がることがあるのはなぜ?
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2025/03/31 19:17
男性
40代
景気が悪化していると判断できる経済指標が発表されたのに、なぜ株価が上昇することがあるのでしょうか?どのような要因が関係しているのか知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
景気悪化を示す指標でも株価が上昇するのは、市場が「現状」ではなく「これから」を織り込んで価格を付けるためです。主な背景は次の4点です。
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金融緩和シナリオ
悪化指標は中央銀行の利下げや量的緩和強化を想起させ、将来の資金供給拡大を見込んだ買いが先行します。
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予想との差(ギャップ)
市場は悪材料を事前に織り込む傾向があり、発表値が「想定よりマシ」なら安心感から買い戻しが入ります。
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コスト低減メリット
景気減速は資源価格や賃金の上昇圧力を抑え、企業利益率の改善を期待した買いを誘発する場合があります。
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資産間の相対評価
景気悪化で安全資産の利回りが低下すると、債券や現金より株式のリターン期待が相対的に高まり、資金が流入します。
株価は「数字の良し悪し」よりも「期待の変化」で動きます。指標発表の前後には、市場予想や金融政策の方向性も合わせて俯瞰し、短期的な値動きに振り回されないことが肝要です。迷う場合は専門家に相談し、ご自身のリスク許容度に沿った判断を行いましょう。
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金融緩和
金融緩和とは、景気が悪化したときに、中央銀行が金利を引き下げたり、市場にお金を多く供給したりすることで、経済活動を活発にしようとする政策のことです。 たとえば企業が資金を借りやすくなったり、消費者がお金を使いやすくなったりすることで、物やサービスの需要が増え、景気の回復を後押しします。日本では長引くデフレへの対応として、日銀がゼロ金利政策や量的緩和を行ってきました。 金融緩和は、物価を安定的に引き上げたり、雇用の改善を図ったりするために使われますが、その一方で、資産バブルの形成や円安などの副作用が生じることもあります。資産運用の観点からは、金融緩和が続く局面では株価が上昇しやすくなる傾向があるため、政策動向に注目することが大切です。
量的緩和
中央銀行が金融市場に多くの資金を供給し(マネーサプライを増大させ)、景気回復を目指す金融政策のこと。 政策金利がゼロ金利となり、これ以上金利を下げる余地がない際に、当座預金残高量を拡大することで、金利の引き下げや銀行貸し出しの増加などの効果を期待して中央銀行が実施する。 2013年には日本銀行が量的・質的緩和として、資金の供給を増やす際に、長期国債やリスク性資産であるETF(上場投資信託)など、買い入れ額を拡大する対象も考慮した金融緩和策を実施した。2022年現在では量的緩和は縮小傾向にあり、金融引き締め期に世界的に突入している。
経済指標
経済指標は、国や地域の経済の状態を評価するために使用されるデータや数値です。これには国内総生産(GDP)が含まれ、これは一定期間内に国内で生産された財とサービスの総価値を示し、経済の全体的な規模と成長を測ります。失業率も重要な指標で、労働力人口の中で仕事を求めているが就職できていない人々の割合を示し、経済の健康状態を反映します。また、インフレ率は物価の変動を示し、消費者物価指数(CPI)に基づいて算出され、物価の安定性や通貨の価値を評価するのに役立ちます。 鉱工業生産の数値は、製造業、鉱業、公益事業の出力を示しており、これらのセクターの活動の活性度を測るのに使われます。貿易収支は国の輸出と輸入の差額を表し、国際貿易のバランスの状態を示します。 これらの経済指標は、特に政府や中央銀行が金融政策や財政政策を決定する際に重要な役割を果たします。例えば、インフレ率が高い場合、金利を引き上げることが検討されるかもしれません。また、高い失業率は、政府による追加の景気刺激策の可能性を示唆します。経済指標を理解し分析することで、投資家や政策立案者はより情報に基づいた意思決定が可能になり、リスクを管理し、戦略を調整することができます。