含み損を抱えたままだと税金はどうなる?
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2025/03/03 22:02
男性
40代
投資で含み損が出ている場合、税金に影響はありますか?また、損益通算を活用する方法はありますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
含み損は帳簿上の評価差損にすぎず、売却して損失が確定するまでは課税対象になりません。日本の証券課税は実現利益にのみ20.315%(所得税・住民税・復興税)がかかるためです。節税を図るには、含み損の銘柄を一度売却して「実現損」に転じさせ、同じ年に生じた株式・投資信託の譲渡益や配当と損益通算します。たとえば50万円の譲渡益に対して20万円の損失を確定させれば、課税対象は30万円へ縮小し、およそ4万円の税負担を軽減できます。通算し切れなかった損失は確定申告を行うことで最長3年間繰り越せるため、翌年以降の利益とも相殺が可能です。ただし、NISAやiDeCoの損失は通算できず、上場株式と先物・FXなど他の金融商品の損益通算には制限がある点にもご留意ください。
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含み損益
含み損益とは、保有している資産をまだ売却していない段階で発生している、見かけ上の利益や損失のことを指します。たとえば、購入時よりも価格が上がっている株を持っていれば「含み益」、逆に価格が下がっていれば「含み損」となります。 これはあくまで現在の評価額と購入額の差であり、実際に売却して現金化しない限り、確定した損益とはなりません。そのため、「含み」とは「まだ確定していない」という意味を含んでいます。 投資判断をする際には、この含み損益をもとに、売却のタイミングや資産配分の見直しを検討することがあります。また、税金は原則として実際に売却して利益が確定した時点で課税されるため、含み益があるだけでは課税対象にはなりません。資産運用において、現在の状況を把握する重要な指標のひとつです。
実現損益
実現損益とは、株式・債券・投資信託・FX などの資産を売却や決済によって現金化した時点で確定する利益(実現益)または損失(実現損)のことです。評価損益(含み損益)が「保有中に価格変動で増減する未確定の数字」であるのに対し、実現損益は取引が完結しているため課税額やキャッシュフローに直ちに反映されます。 実現損益の計算は「売却(決済)価格 − 取得原価 − 取引コスト」で求めます。たとえば、100 株を 1 株 1,000 円(購入手数料 1,000 円)で取得し、その後 1,200 円(売却手数料 1,000 円)で売却した場合、実現益は 18,000 円です。投資信託で 10 万円を購入し、信託財産留保額 0.3%を差し引いて 12 万円で解約するケースでは、実現益は 19,640 円となります。 国内株式や公募投資信託の実現益には原則 20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)の譲渡益課税が課されます。損失が出た場合は年内の利益と相殺(損益通算)でき、相殺し切れない場合でも翌年以降 3 年間繰り越して控除することが可能です。NISA 口座での実現益は非課税ですが、その代わり損失は損益通算の対象外となる点に注意が必要です。 運用成績を評価するときは、含み益だけで判断せず、税引き後の実現損益を確認し、実際に手元に残るリターンを把握することが重要です。長期保有であっても出口を設計し、定期的な利確やポートフォリオのリバランスを行うことで、市場急変に伴う機会損失や想定外の税負担を防ぎやすくなります。