養老保険とはどのような保険ですか?活用法を教えて下さい
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2025/05/29 16:40
男性
30代
安全に教育資金や老後資金を積み立てたいと思い、養老保険を検討しています。死亡保障があり満期金も受け取れると聞きますが、利回り、税金、途中解約のリスクなど具体的にどのように理解すればよいでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
養老保険は、「保障」と「貯蓄」を一体化させた保険商品です。保険期間中に死亡した場合は死亡保険金が、満期まで生存した場合は同額の満期保険金が支払われ、途中で解約した場合には解約返戻金を受け取る仕組みです。満期保険金や解約返戻金は「一時所得」として扱われ、50万円の特別控除後、その残額の1/2が課税対象となるため、課税負担は比較的軽減されます。さらに、払込期間中は生命保険料控除の対象にもなり、所得税や住民税の軽減効果も得られます。
たとえば、30歳で月2万円の保険料を20年間支払った場合、払込総額は480万円となります。仮に返戻率が110%であれば、満期時に受け取る金額は528万円。このうち課税対象となる金額は、(528万円-50万円)÷2=239万円となります。
ただし、運用利回りという観点では注意が必要です。予定利率が0.9%の場合、仮にインフレ率が年2%で推移すれば、実質的な価値は20年後に約0.82倍に目減りします。この点では、期待リターン3〜4%の投資信託や新NISAの非課税枠による積立投資と比較して、パフォーマンス面で劣る可能性があります。加えて、契約後5年程度で解約すると返戻率は70〜80%にとどまり、元本割れとなるケースも少なくありません。
以上を踏まえると、養老保険は以下のような明確な目的がある場合に限定して検討すべき商品です。
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子どもの進学費や退職慰労金など「時期・金額があらかじめ確定している資金」を安全に準備したい
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相続対策として、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠を活かしつつ、受取人を指定して財産をスムーズに移転したい
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法人契約により、役員退職慰労金の原資を計画的に積み立てたい
加入を検討する際は、まず生活防衛資金と手元流動性を確保したうえで、複数の保険会社の返戻率・手数料・インフレ耐性を比較検討しましょう。他の積立手段(投信・NISA等)との費用対効果を冷静に見極めることが重要です。
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予定利率
予定利率は、生命保険会社が保険契約者に対してあらかじめ約束する運用利回りのことです。これは保険会社が保険料を計算する際に用いる重要な指標の一つで、契約者から払い込まれた保険料を運用して得られると予想される運用利回りを表します。 予定利率は保険料の設定に大きな影響を与えます。予定利率が高い場合は保険料が安くなり、低い場合は高くなります。これは、高い予定利率では将来の運用によるリターンを多く見込めるため、保険料を低く抑えることができるからです。 予定利率の決定方法は、まず金融庁が国債の利回りなどを参考に「標準利率」を設定し、その後各保険会社が標準利率を基準に自社の状況を反映して決定します。 予定利率には特徴があり、契約時点の率が適用され、基本的には支払い終了時や更新時まで同率で変わりません。バブル経済期には高い予定利率の保険が多く販売され、これらは「お宝保険」と呼ばれています。近年は低金利環境により、予定利率は低下傾向にあります。 保険料の計算には予定利率以外にも、予定死亡率(性別、年齢別に想定される死亡率)や予定事業費率(保険会社の運営に必要な経費の割合)も影響します。これら3つの要因を合わせて「予定基礎率」と呼びます。
生命保険料控除
生命保険料控除とは、個人が支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の課税所得額を一定金額まで減らすことができる税制上の優遇制度です。この控除によって、納める税金が軽減されるため、実質的に保険料の一部が戻ってくる効果があります。 対象となる保険は、「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3つの区分に分かれており、それぞれに控除限度額が設けられています。控除を受けるには、保険会社から発行される控除証明書を年末調整や確定申告の際に提出する必要があります。保険による万一への備えと、節税効果の両方を得られる制度として、多くの人に活用されています。初心者にとっても、生命保険を契約する際にはこの控除制度の存在を知っておくことで、より効果的な保険選びや家計管理につなげることができます。
一時所得
一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。
解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。
返戻率
返戻率とは、生命保険や学資保険などの貯蓄型保険において、支払った保険料の総額に対して、満期や解約時に受け取れる金額(解約返戻金や満期保険金)がどのくらいの割合で戻ってくるかを示す指標です。たとえば、200万円の保険料を支払って、満期時に220万円を受け取れる場合、返戻率は110%となります。 この数値が100%を上回れば「支払った保険料より多く戻る」、下回れば「元本割れ」ということになります。返戻率は商品選びの際の比較指標としてよく使われ、特に学資保険や個人年金保険など、将来の資金準備を目的とした保険において注目されます。 ただし、返戻率が高い商品は契約条件が厳しかったり、途中解約に弱かったりする場合もあるため、利率だけでなくライフプラン全体を見据えて判断することが大切です。保険を「貯蓄」としても考える初心者にとって、返戻率は理解しておくべき基本的な指標です。